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【わかったなんて言えません】Vol.68 香妻陣一朗 #1「好調の理由は“今風”スウィング」

「ゲンちゃん」こと時松隆光がプロを招いてトークをする連載「わかった! なんて言えません」。今週からのゲストは、同じ九州出身でジュニア時代から切磋琢磨してきた香妻陣一朗プロ。昨年後半戦、優勝こそなかったもののずっと上位で活躍していた香妻プロに、好調の理由を聞いた。

TEXT/Yuzuru Hirayama PHOTO/Hiroaki Arihara

ホスト/時松隆光

1993年生まれ、福岡県出身。ツアー通算3勝。プロ10年目。テンフィンガーグリップで戦う。愛称は“ゲンちゃん”

ご指名/香妻陣一朗

1994年生まれ、宮崎県出身。12年プロ入り。20年の三井住友VISAマスターズで初優勝。昨季は賞金ランク8位。SNSにも注目

時松 陣とは学年一つ違いで、福岡と鹿児島だったからジュニア時代から試合では一緒になることが多かったよな。

香妻 二人で優勝争いしたこともけっこうありましたね。源さんが優勝した小倉CCでの九州アマ(2011年)とか。

時松 あのとき、僕、ピンクボールやった。当時、モニターさせてもらっていたブリヂストンがオレンジと黄色とピンクのボールを出して、宮本勝昌さんたちがオレンジのボールを使っていたんだけど、僕はピンクをお願いしたら見えにくくて……。

香妻
 ピンクですか(笑)。黄色が一番見えやすいんですよね。でも当時の源さんはめちゃくちゃ上手いゴルフしてました。曲がらんし、変なことしないから、絶対にパーオンするゴルフで。

時松 今の稲森(佑貴)みたいなゴルフだったね。

香妻 でも高校生のときに一度、めっちゃ調子悪くなったことありましたよね。チーピンみたいなとんでもない球を打っていた記憶があるんだけど(笑)。

時松 それは高校2年か3年。高1で小田(龍一)さんが勝った日本オープン(2009年)に出たとき、7番アイアンくらいで打ってナイスオンしたと思った球が全部グリーンオーバーしたのを見て、この設定では自分のドローボールじゃ止まらんと思って、それで球筋を変えたんだよ。

香妻 じゃあのときは、ドローからフェードに変えている時期だったんですね。

時松 ドローとフェードじゃ出球が全然違う。それが違和感あって。ダウンスウィングがインからきてインに引っ張るもんだから、チーピンっていうか、左斜め方向にパサパサッて感じで飛んでいく。

香妻 即OB、という感じの球を打ってましたよね。それで日本ジュニアに行けなかった。

時松 うん。あまり過去にいないと思うよ、ナショナルチームのメンバーで日本ジュニアに行けなかったのって。

香妻 今は完全にフェード一本ですか。

時松 ドローも打てないわけではないけどね。ピンが右に立っていたら左を向いてサッと打てるけど、左に立っていたらとりあえず真ん中に打っていく感じの攻め方になる。陣は?

香妻 僕はどっちも打ちます。

時松 それが理想だよね。

香妻 でもアイアンの場合はドローのほうが好きなので、右ピンにフェードで狙うときは若干精度は落ちますけど。

時松 ところで、去年は秋に東海、ブリヂストン、日本オープン(11位タイ)、ISPS HANDAと、日本オープンを挟んで2位が続いたね。

香妻 日本オープンも途中までよかったんですけどね。

時松 後半戦はずっと、発言を聞いても自信を持ってる感じがした。なんか「勝ちます!」みたいな感じで言うことが多くて。「がんばりまぁ~すぅ」という感じじゃなくて(笑)。

香妻 そうですか。でも確かに、終盤は自信があったので、「勝てる」と思ってやっていました。

時松 その自信は、どこから?

香妻 ティーショットが思ったように打てていたので、それが大きい。実は、去年は春先からずっと調子がよくなくて、夏の休みでさらに悪くなっていた。それが9、10、11月の3カ月くらいでよくなってきたんです。

時松 スウィングを何かいじったの?

香妻 テークバックでちょっとフェースが開くような動きが出ていたので、それをシャットめに閉じながら上げていって、インパクトはローテーションを少なめにして打っていくというふうにやり始めたら、しっくりくるようになって。

「フェースをシャットめに閉じながら上げていき、インパクトはローテーションを少なめにして打っていくようにしました」(香妻)

時松 それは自分で直したの。

香妻 ずっと見てもらっている森守洋コーチとか、あとほかの人からの意見をもらって、それで自分なりに変えたらしっくりきた感じです。まあ、いいとこ取りでやっていったらよくなったって感じですね。

時松 今風のスウィングってやつじゃないの。

香妻 まあ、今風ですよね(笑)。インパクトからフォローのイメージが変わったので、慣れるまではちょっと違和感がありました。でも今はけっこうしっくりきています。

時松 よくハンドファーストのインパクトって言うけど。

香妻 ハンドファーストなんですけど、あまりそこは意識していないです。極力フェースローテーションを抑えて打とうと思っていて、すると勝手にハンドファーストになる感じです。

時松 それが好調の理由だね。

香妻 でも源さんはそもそもシャットに上がるし、インパクトでローテーションもそんなにしないじゃないですか。

時松 俺は前からだもん。最新のスウィングじゃないし。

香妻 そこがすごいところだと思いますよ。

週刊ゴルフダイジェスト2022年2月22日号より