【ヘッドデータは嘘つかない】インテンショナルに球を操れる! 上級者好みのブリヂストン「B1」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はブリヂストンゴルフの『B1』ドライバーを取り上げる。
古江彩佳が21年9月から使用
JLPGAの20-21年シーズンに最優秀選手賞と新人賞に輝き、22年シーズンは米LPGAにフル参戦予定の古江彩佳が使用しているブリヂストン『B1 ドライバー』を紹介していこう。
まずは計測から。いつもどおり数値はすべて実測値だ。クラブ重量は307.5gとやや重いが、クラブ長さが45.13インチと長すぎず標準的なので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが289万g・㎠に抑えられている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが44㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすい設計といえる。
ではヘッドを見ていこう。兄弟モデル『B2 ドライバー』に比べてひと回り小さい丸型形状で、米国モデルのような強いオープンフェースと、『B2』よりもフラットに見えるライ角で、球をつかまえすぎないイメージが出ている。しかし、『B2』と同じように、ヘッドの輪郭が時計盤でいう4~5時方向の張り出しが大きく、いわゆる日本のつかまり系モデルらしい形状をしている。またフェースのトウ先に丸みが少なく、いわゆる「逃げ顔」ではないので、つかまり感も残されている。
Point1 クラブ重量は307.5gとやや重い
Point2 クラブ慣性モーメントは289万g・㎠とやや大きい
Point3 リアルロフト角が9.3度と小さい
アスリート好みの小ぶりヘッド
実際に試打したところ、まずアドレスではフェースアングルが1.5度オープンという強いオープンフェースで、『B2』よりも投影面積が小さく、小ぶり感があるので、インテンショナルに操作できそうなイメージが浮かんでくる。試打クラブは9.5度で標準『ツアーAD BS-6』のSフレックス仕様。シャフトはプロモデルにしては軟らかめの設計で、素直なしなりでヘッドスピードが42~43㎧くらいのゴルファーでも十分に扱えそうだ。
ヘッドの重心距離が37.0ミリと短めの設計で、ネック軸周りの慣性モーメントも7160g・㎠と大きすぎない。この数値であれば、ある程度インテンショナルに弾道を操作しやすく、球のつかまりもいい感じだ。そして、ヘッドは低重心率が65.5%と高重心設計で、適度なスピンが入って弾道は安定しやすい。また、ドローに打っても球がドロップしづらいのが良く、飛距離を伸ばしやすいと感じた。スコアラインがフェース全面に入っているため、雨の日でも球がドロップしにくく、安心感を与えてくれる。
そして、ヘッドとシャフトのマッチングが良く、『B2』よりも素直なストレート系弾道でフェアウェイをとらえやすく、よりスコアメイクできそうなクラブといえるだろう。また、クラブが長すぎないのも好材料で、長いクラブよりも厚くインパクトしやすいので、結果、ミート率が高い飛ばせるドライバーになっている。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ブリヂストンゴルフ
B1 ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年2月8日号より