【ヘッドデータは嘘つかない】フェード系弾道でコントロールしたいゴルファーに! ヤマハ「RMX VD」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はヤマハの『RMX VD』ドライバーを取り上げる。
オープンフェースかつフラット
ウェート位置を調整しても慣性モーメントが変化しない「RMX VDウェイトシステム」を採用したモデルが『RMX VD ドライバー』だ。
さて、クラブやヘッドを計測していこう。数値はいつもどおり実測値になる。クラブ重量は300.9gと標準的だが、クラブ長さが45.5インチとやや長いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが289万g・㎠とやや大きくなっている。この数値であればドライバーのヘッドスピードが44㎧くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れるクラブといえる。
ヘッドを確認すると、全体にオーソドックスな丸型形状だが、フェースアングルが2度開いている、非常に強いオープンフェースと55度というフラットなライ角で、球をつかまえすぎないイメージが強く出ている。そして、ヘッドの後方が低いシャローバック形状なので、インパクトでアッパースウィングがイメージできる。また、プロモデルの割には、排水効果のある溝のスコアラインがないことも特徴だ。
Point1 クラブ長が45.5インチとやや長い
Point2 ライ角が55.0度とフラット
Point3 ネック軸周り慣性モーメントが7774g・cm2と大きい
安定したフェード系弾道が打ちやすい
実際に試打したところ、まずアドレスでは、前モデル『RMX 120』とは違い、強いオープンフェースとかなりフラットなライ角で左に行かないイメージがある。そして、フェース面には丸み感があり、バルジ(フェースの水平方向の湾曲)とロール(フェースの上下方向の湾曲)がきちんと出て、フェースのトウ側はフェースがかぶって見えないように、いわゆる「逃げ感」が出ている。試打クラブは10.5度の『ディアマナ YR(Sフレックス)』仕様で、シャフトは軟らかめの設定ながらもスムーズなシナリ感がある。そして、可変ウェートはヘッドのトウ寄りを動く仕様になっており、標準位置にウェートを置いた場合でも、フェース面のスイートスポット位置はトウ寄りになるので、フェースの中央で球をヒットした場合でもフェード系スピンが入りやすくなっている。
また、兄弟モデル『RMX VD59』に比べてヘッドは小ぶり感があり、シャープにスウィングできそうだが、重心深度が46.5ミリと非常に深く、低重心率が65.4%と高重心設計なので、適度なスピンが入って弾道は安定し、総じて、やや高めのフェード系弾道が打ちやすいと感じた。そして、20gもある可変ウェートの影響は大きく、ウェート位置を変えるとクラブを持ったフィーリングも変わり、インパクト音も変化するので、いろいろ試してみるといいだろう。個人的には、ウェートを「DRAW(いちばんヒール寄り)」位置にしたときが『VD59』も含めてもっとも飛距離が出たので、オススメだ。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ヤマハ
RMX VD ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年1月25日号より