【ヘッドデータは嘘つかない】初の「カチャカチャ」搭載。ほどよくつかまる「ゼクシオ X」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はダンロップの『ゼクシオ X』ドライバーを取り上げる。
セミアスリート向けの『ゼクシオ』
先週紹介した『ゼクシオ12』の兄弟モデル『ゼクシオX』を計測していく。数値はいつもどおり実測値を表記する。クラブ重量は298.6gと標準的だが、クラブ長さが45.5インチとやや長く、スウィングウェートもD2.7と大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが294万g・㎠と大きくなり、この数値だと、ドライバーのヘッドスピードが46~47㎧くらいのゴルファーにとって、タイミング良く振れる設計といえる。
ヘッドは兄弟モデルの『ゼクシオ12』同様、全体にオーソドックスな丸型形状だが、『ゼクシオ12』よりもフックフェース度合いとライ角のアップライト度合いが弱まり、素直に構えやすいイメージが出ている。そして『ゼクシオ11』と同時発売した前モデルの『X』よりもフェースプログレッションが小さくなり、かつバルジ(フェースのトウ〜ヒール方向の曲がり)のない平らなフェース面で、球をつかまえたい気持ちが伝わってくる。そして、ゼクシオ史上初めてネック部にカチャカチャ機能が加わったのも大きな特徴だ。
実際に試打したところ、まずアドレスでは『ゼクシオ12』のフェースアングルよりもフックフェース度合いが1.5度弱く、かつライ角度も1.5度フラットになっているので、素直に構えやすい。そして『ゼクシオ12』と比べると、微妙に『X』のほうがやや丸みのある形状に見える。そして、リアルロフトは『ゼクシオ12』と同じ11.5度だが、フェース面が黒いため、ややロフトが立っているように見える。
Point1 クラブ全体慣性モーメントが294万g・㎠と大きい
Point2 スウィングウェートがD2.7と大きい
Point3 ヘッド重量が200.2gと重い
ゼクシオらしい弾き感が心地いい
そして、試打クラブは10.5度で標準『Miyazaki AX-2』のSフレックス仕様。シャフト自体は細めでグリップも細く、軟らかめの設計ながら、適度なしっかり感があり、インパクトの再現性はいい感じだった。そして、『ゼクシオ12』よりは球がつかまりすぎず、バックスピン量は少なめで、ストレート~ドロー系弾道が打ちやすい。またゼクシオらしい球の弾き感も心地よかった。クラブ長さは45.5インチで、45.75インチと長めの『ゼクシオ12』よりもミート率は良くなり、重めのヘッド重量でボール初速を出しやすい。また、『ゼクシオ12』と同様に、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが7985g・㎠と非常に大きく、ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかなので、ある程度フェースクローズを意識しながらスウィングしたほうが、より球をつかまえやすいはずだ。『ゼクシオ12』よりはフックフェース度合いが小さいとはいうものの、まだ少しフックフェースでライ角もアップライトなので、つかまり系ドライバーの分類で間違いないだろう。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
ダンロップ
ゼクシオX ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2022年1月11・18日合併号より