【ヘッドデータは嘘つかない】短尺仕様でミート率アップ! プロギア 「egg 44」ドライバー
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はプロギアの『egg 44』ドライバーを取り上げる。
短尺シャフトでミート率アップ
44.5インチのシャフトに重ヘッドを組み合わせたプロギア『egg44 ドライバー』。短いので芯に当たりやすく、ミート率が向上し、飛ばせるクラブだ。
さて、クラブを計測していこう。数値はいつもどおり実測値だ。クラブ長さが44.25インチと短いが、クラブ重量が304.1gと標準で、スウィングウェートがD4.2と非常に大きいので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体慣性モーメントは289万g・㎠とやや大きくなっている。この数値だとドライバーのヘッドスピードが44㎧くらいのゴルファーがタイミングよく振れる設計といえる。
ではヘッドを見ていこう。横幅が非常に広い丸型形状で、投影面積が大きく、いかにも打ちやすそうなイメージが出ている。また、ヘッド後方が低い、いわゆるシャローバック形状で、インパクトでのアッパースウィングをイメージさせている。そして、ヘッドにはカチャカチャやウェートビスがなく、とてもシンプルな構造で、米国メーカーのドライバーに比べてヘッド重量が重いのも特徴だ。
Point1 クラブ長さが実測44.25インチと通常1Wより1インチ短い
Point2 スウィングウェートがD4.2と非常に大きい
Point3 ヘッド重量が206.1gと米国モデルよりも重い
リアルロフト角が大きく弾道が安定する
実際に試打したところ、ヘッドの投影面積が大きいため、実測長さの44.25インチよりもクラブがさらに短く感じられる。そして、スクエアフェースだが、FP値(フェースプログレッション)が小さいので、グースネック風に見え、球をつかまえようとしているのがわかる。試打クラブは10.5度で「オリジナルegg44 ドライバー専用シャフト」のM43(S)仕様。このシャフトは軟らかめ設定なので、ヘッドスピードが40㎧くらいのゴルファーでも十分に扱える。そして、一般のドライバーよりも1インチは短いので球をとらえやすくなっており、普段ドライバーでミスショットが多いゴルファーにとっては有効で、ナイスショットの確率は高くなりそうだ。
深い重心深度でヘッド慣性モーメントは大きいが、同時にヘッドのネック軸周り慣性モーメントが非常に大きいので、ダウンスウィングでのヘッドの返りは緩やかで、スウィング中にフェースクローズを意識すると球をつかまえやすいだろう。また、最近のドライバーとしてはリアルロフトも大きめで球が上がりやすく、適度なスピンも入るので、弾道は高めで安定しており、普段狭いコースでのプレーが多いゴルファーにとっては、フェアウェイをキープしながらスコアメイクできそうだ。ただし、ヘッドのパフォーマンスに比べて、ややシャフトが負けている感じなので、球がばらつくヤングゴルファーにとっては、もっとしっかりしたカスタムシャフトに替えて気持ち良く振ったスウィングができると、さらにパフォーマンスが上がるだろう。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
プロギア
egg 44 ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2021年12月14日号より