【アイアンショット】よく肥えた太い茎は刈るように打つ! 夏ラフに大根ギリ‼ 夏ラフアイアン短期集中講座
よい取り合わせのたとえとして春は「梅にうぐいす」というが、夏は……、「夏ラフに大根」とゴルファーは思うといいみたい。なんておかしなことのようだが、夏のラフからの攻略法は“大根切り”が相性抜群なんだって。小林プロにその打ち方を詳しく教えてもらおう!
【スウィングイメージ】
カマで刈るように
上から切っていく
GD 夏ラフはカマで切るように打つのが成功の秘けつと言いますが、詳しく教えてください。
小林 カマで芝を切る要領と同じように、ヘッドの刃でラフを切るんです。上からカットにボールの手前の芝を切っていくイメージですね。すると、芝の抵抗をあまり受けないので、ラフに負けずに打っていけるんです。
GD 僕らアマチュアが得意の大根切りのイメージですね。
小林 そうなんです。切るように打てると、芝との接触が少なくなり、ヘッドの抜けがよくなります。ボールに対して斜めにヘッドが入っていくので、スムーズに抜けていくんです。“切る”イメージを持つだけでも、かなり変わってくると思います。夏のラフは芝が長く、ボールが沈んでいるように見えますが、茎が太くて固いことが多いので深くまで沈みにくいのも特徴です。ラフに入ったからといって諦めず、グリーンを狙えることも知っておきましょう。
[上から切るイメージは何がイイの?]
【メリット①】
クラブの抜けがいい
芝を切るように振っているので、ヘッドが斜めに抜けクラブの抜けがよくなる。ヘッドを飛球線に向けて出していこうとすると、ラフに当たり負けしてつまりやすいが、切りながら打つのでスムーズに抜けてくれる。
【メリット②】
ラフとの接触が少なくなる
芝との接触が少ないので、抵抗を最小限に抑えられる。ヘッドが上から入って、ボールだけをひろいやすい。横から滑らせるように振ると、ボールの手前の芝をこするようになりラフの重さに負けてしまう。
「上から切っていくから芝の抵抗に負けないんです」
ラフのお悩みQ&A
【お悩み1】
夏ラフのライっどうなってる?
A、「茎が太いから浮いている確率が高い」
芝が多く生い茂っているように感じるが、夏のラフは茎が太いので比較的深くまで沈み込むことは少ない。
【お悩み2】
番手はどうする?
A、「茎が太いから浮いている確率が高い」
ある程度芝の多い夏ラフでは、フライヤーを計算する必要はなく、むしろややキャリーは落ちる。難しく考える必要はない。
【お悩み1】
狙い目はどこ?
A、「手前からが鉄則です」
ラフからのアイアンショットは手前から攻めるのがセオリー。スピンがかかりにくく、落ちてからも転がるので、手前から攻めて運よく乗ればいいという気持ちを持つ。
【フェースは返さない】
オープンに構えて
スタンスなりに打つ
GD 次に、“大根切り”のポイントを教えてください。
小林 まずはオープンスタンスに構えることが大切です。実際にはその開いたスタンスに沿って振るだけで、ターゲットに対して自然なカット軌道になってくれます。極端に上から打ち込もうとすると、右肩が前に出て突っ込んでしまうので、注意してください。
GD ほかに意識するポイントはありますか?
小林 スタンスなりに振り抜く際、フォローでは手元を体から離さないように左に振っていきましょう。左を警戒して、ピンに向かってヘッドや手元を出したくなりますが、それはミスの原因。芝の抵抗をもろに受けて、ヘッドがつまってしまいます。体の近くを通すように、左に振り抜きましょう。そのときフェースは返さない意識を持ってくださいね。
【カットに打つために①】
開いて構える
目標に対してオープンに構えて、自然とカットに振れる準備をする。オープンに構えるとトップも浅くなり、アウト・インに振りやすくなる。また無理なスウィングをする必要がないのもいい。
【カットに打つために②】
フォローで左方向に振り抜く
フォローで手元を左方向に動かす。目標方向にヘッドと手元を動かすと、芝の抵抗を受けやすく、距離感が作れなくなる。手元を体から離さないよう意識する。
【カットに打つために③】
フォローでフェースが空を指す
フォローでフェース面が空を指す意識。左ひじを抜くように使うといい。フェースローテーションを抑えられると、左への引っかけを防げる。左ひじをたたんで手首を返すと、芝の抵抗に負けてしっかり打てない。
「ヘッドを返さないイメージこれが大切なんです!」
スタンスはオープンにし、フェースもややオープンにする。フェースを開くことで、芝との接地面積
をさらに小さくできる。また、芝の抵抗でヘッドが返っても左に飛ぶリスクが抑えられる。
【力の伝え方】
いつも以上の
“左手リード”
小林 もうひとつ大切なことがあります。ラフはフェアウェイと比べると、芝の密度が高いので、よりボールに力を伝える必要があるんです。
GD どうすれば、いつも以上にパワーを伝えられますか?
小林 左手リードを意識して、左手の甲が正面を向いたままインパクトしてください。左手に力を入れて、グッと押し込んでいきます。すると、ハンドファーストが強くなり、カット軌道でも力の伝わるインパクトになります。右手が強いと、手首が返り芝の抵抗をもろに受けるので、パワーが伝えられません。
GD スウィングの意識は左手ということですね。
小林 そのとおり。それ以外にも僕はしっかり体重移動を行いダウンスウィングで左股関節に乗ることを意識しています。ラフだと下半身をがっちり固めて打ちがちですが、それでは手打ちになり十分な力を伝えられません。体の回転も忘れずに振ってくださいね。
【パワーを伝えるために①】
ダウンで左足に体重を乗せる
左手の甲が正面を向いたままインパクトをすることで、ハンドファーストが強くなり力をより伝えられる。ハンドレートになると、ヘッドが返りやすく芝の抵抗をもろに受けやすい。
【パワーを伝えるために②】
インパクトで左手に力を入れる
下半身の体重移動を十分に行い、体の回転で振る。ダウンスウィングで左股関節に体重を乗せていくことで、ボールに力を伝えられる。下半身を固めると、足を使えず手打ちになるので注意。
【パワーを伝えるために③】
フィニッシュまで振り抜く
力を伝えるために、フィニッシュまでしっかり振り抜くのもポイント。夏のラフからのショットは、
打って終わりにしがちだがそれでは100%の力が出せない。
【注意】力を抜くとゆるみが出やすい!
力まないようにすることは大事だが、力を抜くとゆるみにつながるため、しっかりと飛距離を出せない。夏ラフでは、芝の抵抗に負けないためにある程度の力を入れておく必要があるので、抜くよりも少し力が入っているほうがいい。
【沈んだライは脱出優先】
“突っ込む”くらいで
ちょうどいい!
GD 最後に、ボールが沈み込んでいる場合はどうしますか?
小林 見えないくらいすっぽり埋まっているときは、グリーンは狙わず脱出を優先させましょう。ウェッジに持ち替えて、上から鋭角に打ち込みます。ダウンスウィングで突っ込むくらい左に体重を乗せてください。極端にやるのが大切です!
【ポイント①】
コックを使う
コックは積極的に使う。スウィング中のフェース面の向きなどは気にしないで、いかに上から入れられるかを考える。
【ポイント②】
打ち込んで終わり
ラフが深い場合は、フィニッシュはとらず打って終わりでOK。結果として腰くらいまでのフォローになるが、インパクト後は惰性で動くイメージ。
PHOTO/Tsukasa Kobayashi
週刊GD7月28日号より
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