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不調の原因は「スウィングのことばかり考えていた」から。久々優勝争いのファウラーに光明

強いファウラーが帰ってきた。マキロイが20勝目を挙げた「ザ・CJカップ」で最終日を単独トップで迎えたリッキー・ファウラーは、優勝こそ逃したが、トップ3入りで長かったトンネルをようやく抜け出した。

3日目に「63」をマークし首位に立つと、「バック9をプレーしながら、良かった頃のことを思い出した」と久々の上位争いを楽しんだ。

「来たるべき時が来た。驚きはなかったよ。打つべきショットを打つべきときに打てた」と手応えをにじませた。

思えばここ数年、ファウラーは輝きを失っていた。昨季は24試合に出てベスト10入りは全米プロ(8位タイ)だけ。ポイントランク134位に沈み、プロ生活12年目で初めてプレーオフシリーズ進出を逃した。2年前には世界ランク18位だった彼が、大会前は128位。今年はマスターズと全米オープンに出場できず、マスターズは怪我で療養中のタイガーとテレビ観戦を余儀なくされた。

不調の原因はスウィングにこだわりすぎたこと。「ゴルフというゲームではなく、スウィングばかり考えてしまった」。結果が出ないなか、徐々にメンタルもむしばまれていった。「家庭にゴルフは持ち込むべきではないのに、気づくとゴルフのことばかり。妻に申し訳なかった」

大会前、かつてのコーチ、ブッチ・ハーモンにスウィングチェックを受けた。試合中は親友でもあるJ・トーマスと一緒に家を借り、シェフも雇って環境を整えた。そして手応えをつかんで立った舞台で躍動していた頃の自分に再び出会った。

最終日はパットが決まらずスコアを伸ばせなかったが、それでも「すごく良かった。72ホール通してようやく満足のいくショットが打てるようになった」と納得の表情。

人気先行といわれた彼も32歳。これからは人気プラス実力で、3年ぶり通算5勝目を目指す。

その人柄から、低迷期も人気を保っていたファウラー。復活優勝を全米が待ち望んでいる(写真は2020年ファーマーズインシュランスオープン。PHOTO/Tadashi Anezaki)

週刊ゴルフダイジェスト2021年11月9日号より