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【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.52 「断崖から小さな滝壺に飛び込め。」 ゴルフダイジェストWEB

「怖くてもそこを狙い続ける自分でいられるか」。今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第五十二話。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

前回のお話し

奥田 今回も六甲(神戸ゴルフ倶楽部)にて。とにかくこのコースはよそと全然違いますね。

高松 そやね。百年前から使い続けているレストランの椅子とか、文化財としての価値も高いチェンバー(宿泊施設)がコースのなかにあるとか、そういう部分はもちろん、なんといっても開場当時からほとんど変わってないコースが素睛らしい。

奥田 距離的には後ろから約4000㍎でパー61ですけど、このコースを昔の道具でよう回ったもんですわ。

高松 ここの開場百周年記念コンペでは、ダンロップに当時のガッタパーチャを再現してもろうて、1番のパー3だけ全員そのボールでやったことがあるらしいけど、120人中ワンオンしたの3人だけやて。

奥田 たった3人ですか。今のクラブで打ってそれですから、当時のクラブでやったら難易度は計り知れませんね。

高松 そんな時代にこんなコースでやろういうんやから、イギリス人のゴルフ好きいうんは相当やね。

奥田 でも、それじゃ今の道具なら楽に回れるのかいうたらとんでもない。ここでプロの試合やってほしいくらい独特の難しさがある。

高松 そやね。グリーンは小さいし、ラフのある時期には、ちょっとのミスがすぐアンプレヤブルやロストになる。

神戸ゴルフ倶楽部

奥田 ラフの種類も熊笹、ティフトン、フェザーとか4、5種類もありますしね。ただ、それもこれもここはコースの特性通りの球を打ってるかどうかで、効きが甘くなってくる。

高松 間違いないわ。パー4でもワンオン狙えるホールが多いけど、それを安全な場所に刻んでスコアメークしはじめたら、スコアにはなっても、ここの面白さは半減してまう。

奥田 本筋の球を打ってはじめて、六甲の魅力が分かるし、ゴルフの楽しさが味わえるいうことですわね。

高松 うん。ここの7番なんて、グリーン方向を狙うのは東尋坊から1カ所だけ助かる小さな滝壺目がけて飛び込むようなもん。ちょっと間違ったらゴーンと即死や。なかなか怖くて飛び込めんけど、それを試すホールでもあるんよね。

奥田 なるほど。飛距離がギリギリ足りてるのに、ここを右に刻んでいるようでは、ゴルファーとして「はい、ご苦労さん」と肩たたきされてるのと同じいうことですわね。コースマネジメントして、逃げ回っても際限がなくなるだけやから。

高松 そうそう。バンカーからパターで1回上手く行ったら、次もまた行きた<なるやろ。それと同じ。

奥田 でも、その1回の経験のせいで10回はひどい目にあう。いや10回で済まんかもしれませんわ。

高松 たとえは悪いけど、悪い世界のもんに喰われるもんはみんなそれやろ。いっぺん甘い汁の味を知ったら、絶対そっちの世界に引っ張られる。逆にいっぺんゴンと強気で対応したら、もう二度とそういうもんは寄ってこん。ゴルフにはそういうところがある。

奥田 つまり、たとえ熊笹のラフに突き刺さったりOBになってもやっばりそこに打っていかないといけないんです。上級者だろうがアベレージだろうが、100%できなくても本筋にトライしていく。そしてそれを自分のテーマにすることで、また次のテーマというのが出てくる。

高松 そういうこっちゃ。コースをつねに本筋で攻められる自分でいられるかどうか。六甲が素晴らしいのは、そこをつねにゴルファーに問いかけてくれるところやね。

神戸ゴルフ倶楽部1番

月刊GDより

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