【ヘッドデータは嘘つかない】狭いホールでもしっかり振れる! テーラーメイド「300 ミニドライバー」
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はテーラーメイドの『300 ミニドライバー』を取り上げる。
懐かしの名器が最新技術を纏って復活
テーラーメイドの象徴ともいうべき初代『300シリーズ』。460㏄が全盛の時代に、その系譜を受け継ぐ、『300ミニドライバー』が誕生。 「ツイストフェース」や「カーボンクラウン」「Vスチールソール」などテーラーメイドの最新技術が詰まったドライバーになっている。
さて、クラブを計測していこう。数値はいつもどおりすべて実測値になる。クラブ重量は317.1gと重いが、クラブ長さが43.5インチと短いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが285万g・㎠に抑えられ、この値だとドライバーのヘッドスピードが42~43㎧くらいのゴルファーがタイミング良く振れる設計になっている。
Point1 ヘッド重量が214.1gと重い
Point2 クラブ長が43.5インチと短い
Point3 クラブ全体慣性モーメントが285万g・㎠に抑えられている
狭いホールのティーショットに最適
ではヘッドを見ていこう。形状は丸型でオーソドックスだが、ドライバーヘッドとして考えた場合、もちろんかなり小ぶり感がある。米国モデルらしくアドレスではオープンフェースで、フェースがかぶっておらず、しかもライ角もフラットなので、アドレスで球がつかまりすぎる感はない。275㏄だった前モデルの『オリジナルワン』と比べると、体積も投影面積もともに大きくなったので安心感が増し、ヘッドの慣性モーメントも大きくなり、やさしくなっている。
体積が302㏄と、20年くらい前のドライバーと同じくらいの小ぶりなヘッドだが、フェースアングルが1度オープン、かつ56度のフラットなライ角により、しっかり振り抜けるイメージが出ている。
試打クラブは11.5度でシャフトは標準『TENSEI SILVER TM50 MD』(フレックスS)仕様だったが、スムーズなしなりで打ちやすく感じた。ネック軸周りの慣性モーメントが5760g・㎠と非常に小さく操作性が良いヘッドながらも、フェース面のスイートスポットがフェースの中央よりもトウ側に設定されている。そのおかげで、フェース中央で球をヒットした場合、スライス系スピンが少し入って、フェード系弾道を打ちやすいのが特徴だ。前モデルよりも少し低重心になり、ロフト角が11.5度でも比較的低スピンの弾道を打ちやすくなっている。
クラブ長が短く、3Wよりはヘッドが大きいので、3Wでティーショットするよりも明らかにミートしやすいが、ドライバーよりもフェース高さが10㎜ほど低いので、ティーアップは低めにしたほうが芯を食いやすそうだ。
普段狭いコースでのプレーが多いゴルファーにとって、ドライバーと3Wの中間的飛距離でフェアウェイをキープしながらスコアメイクするのであれば、ダブルドライバーとしてセッティングしてもいいだろう。
【クラブ&ヘッドデータ実測値】
テーラーメイド
300 ミニ ドライバー
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
週刊ゴルフダイジェスト2021年10月19日号より