【大人ゴルフの歩き方】Vol.6「名門ゴルフ倶楽部巡礼」
ILLUST/Shinichi Hoshi
スコアだけがゴルフじゃない! コラムニスト・木村和久が独自の視点から現代の正しいゴルフの在り方を指南。
第6講 名門ゴルフ倶楽部巡礼
①一生に一度は名門倶楽部だよね?
②実際は自称名門が多いけど
名門倶楽部のやんごとなき世界
日本で真の名門倶楽部と言えるのは、関東で10倶楽部ほどですか。あとはそれなりの名門、自称名門、新名門と裾野は広がって行きます。
では真の名門倶楽部の特徴は何か? まずは言い方です。真の名門メンバーは、自ら名門と名乗りません。「戦前からある古い倶楽部で……」とだけ言います。それだけで開場75年以上経過しているのがわかるってものです。
自分で「うちは名門だから」と言ってしまっては、オシマイです。自分でモテるとか金持ちと言うのは、恥ずかしいでしょ。あくまで他人が「名門ですか、いいですね」と言って、成り立つ世界です。あと呼び名ですがカンツリー倶楽部と昔の言い方をしがち。ラウンドは英国文化の影響で、歩きが当たり前。高い入会金を払って乗用カートなしは、俗物には理解しがたい世界です。クラブハウスも最低2回は建て替えています。近代的な建物だけど、本物の暖炉を設置するのが名門風かな。
入会審査はとても厳しく、有力国会議員の紹介状持参でも数年待ちがザラ。入会しても売買、譲渡、継承不可の一代限りが多く、2000万円程が払いっきり。いや~男の浪漫だな~、ってほんとかよ!
●裾野
「真の名門が10、それなりの名門が20、自称名門が30、新名門はご自由にって案外多いね」
●歩き
大金払ってストイックに歩くのが英国紳士のメンタリティ。日本にはアメリカンスタイルの名門コースは見当たりませんね
●数年待ち
●カンツリー倶楽部
昔の言い方は風情あるね「大名古屋ビルヂング」「スティアリング」「メルツェデス」「ジャグワー」「マゼラティ」「ベントリィ」って、あなたは徳大寺さん?
名門クラブをラウンドしてみよう
真の名門倶楽部は、平日でもメンバー同伴プレーが多いので、我々庶民はなかなかラウンドできません。そこで戦後開場したそれなりの名門倶楽部まで間口を広げて、ビジターラウンドを試みましょう。
名門倶楽部のメンバーは、平均年齢65歳以上の高齢者ばかり。コロナワクチン接種率が異常に高いのです。元気はいいけど、年寄りは暑さ寒さが苦手。夏はみんな提携コースを利用して、軽井沢や富士山周辺や北海道に、避暑ゴルフをしに行きます。ゆえに夏の名門コースはガラガラです。
だからその穴埋めに、メンバー紹介でプレーできる割引券を大量にバラ撒いています。ほか会員制プレミアム倶楽部でも、名門倶楽部のラウンド企画があり、比較的ラウンドチャンスはあります。しかも安いしね。
コース入場時の服装ですが、サンダル、スニーカー、ジーンズでの入場禁止は当たり前。ただ夏場、ジャケット着用はなし。これは助かります。
プレーの服装は、どこもショートソックス、サイドポケット、ミリタリー柄禁止となっています。たまに見ず知らずのメンバーがやって来て「お前、迷彩柄じゃないか」と小言を言いますからね。そこは要注意。
あとキャディさんがスタート前に「以前、いらっしゃったことがありますか?」と聞いて来ます。それはコース案内の目安を知るためです。ほとんどの場合「初めてです」と答えますが、たまに「何度か来てます」と、一緒のビジターが言った時の、得意気なドヤ顔、うっせいわ~。
ティーショットでOBになった場合、決して前進4打ティーを探さないこと。基本ないです。「念のため暫定球を打って下さい」と言われることも。キャディ教育、コースのメンテは一流。グリーン整備は実に素晴らしい。食事はどこもカレーは美味。年配客が多く、がっつり系は少なし。風呂に入り、この倶楽部に入るのに高級外車一台分かあ~。ならばメンバーと懇意になって誘ってもらおう。そう思う、あなたの考えは実に正しいです。
●それなりの名門倶楽部
我々が名門と言ってるのは、むしろこっち。たまに呼ばれてラウンドするので存在を確認できる。真の名門は行ったことないから、半ば伝説化している
●提携コース
金持ち喧嘩せず。名門メンバーはリゾートコースへ。相互利用ゆえ、リゾートコースを安く買ったほうが、名門を手っとり早く回れます
●小言を言います
揉めると「誰の紹介だ」と、紹介者に迷惑がかかるので、決して逆らわないように
●ドヤ顔
●美味
名門コースの食事は案外地味。和風、中華、そば、うどん系多し。つまみ類は充実。迷ったらカレーは案外正解かも。まず外さない
今月のまとめ
名門倶楽部に憧れる気持ちはわかる。
コスパを考えればメンバーと
友達になったほうが手っとり早い。
盆と暮れに割引で名門をラウンド
このやり方がサイコーよね
教える人/木村和久
ゴルフ歴32年のコラムニスト。ベストスコア75、2001年鶴舞CCキャプテン杯優勝。『89ビジョン』など新しいゴルフの楽しみ方を様々提案する自称「ゴルフ生活評論家」
月刊ゴルフダイジェスト2021年9月号より