「試合はほぼセルフ」「プレーフィは自腹」“ステップ女子”がお金のことから恋愛事情まで赤裸々トーク!
TEXT/Tomohide Yasui
レギュラーツアー、ステップ・アップ・ツアー、両ツアーを転戦する女子プロ3人に、お金の話や恋愛事情など、聞きにくいことをズバっとぶつけてみた!
吉野茜(右)
1992 年生まれ、千葉県出身。2011年プロテスト合格。16年ラシンク・ニンジニアRKBレディース優勝。今季はレギュラー6試合、ステップ7試合に出場
岸部桃子(中)
1993 年生まれ、福島県出身。2012 年プロテスト合格。16年九州みらい建設グループレディース優勝。今季はレギュラー3試合、ステップ6試合に出場
村田理沙(左)
1995年生まれ、東京都出身。2016年プロテスト合格。15 年JLPGA ツアー外競技グアム知事杯で優勝。今季はレギュラー3試合、ステップ6試合に出場
――今回はステップ・アップ・ツアーを主戦場にする3人に集まっていただきました。まずは昨年を振り返ってもらえますか。
吉野 QTランクの順位だとレギュラーにはそんなに出られないと思っていましたが、外国人選手が入国できなかったので(出場権が)けっこう下りてきました。NEC軽井沢72以降はレギュラーとステップで9週連続で試合に出たので、意外と忙しかったです。
村田 私はステップ6試合すべてで予選を通過できたのはよかったです。でも、レギュラーでは予選落ちが2試合で、予選を通過した1試合でも今の実力では上に行けないなと感じたので、その底上げをオフにしたいです。
岸部 昨年はPCR検査があったりして、けっこう前に入らなきゃいけない試合もあり、調整がすごく難しかったです。そのなかでもレギュラー2試合で予選通過できたことは自信になりました。でも、ステップの最後の2試合が予選落ちだったので、見つかった課題にしっかり取り組んで、今年も頑張りたいと思います。
――ステップも全試合でPCR検査が実施されたのですか?
吉野 ありました。レギュラーは火曜、水曜が練ラン(練習ラウンド)で月曜がPCR検査ですからいつもと同じか1日早いくらいなんですけど、ステップは平日開催の場合、月曜の練ランに間に合わせるため、土日はコースでPCR検査ができないので金曜に来てくださいというケースが多かったんです。でも、土日は一般営業ですからコースでは練習できないし、練習場所を自分で探したりして、それが大変でした。
岸部 PCR検査のためだけに土日も宿泊していたので、経費も余計にかかりましたね。
――ステップ1試合の経費はどのくらいかかりますか?
吉野 エントリー費はレギュラーが1万800円で、ステップが5400円です。
村田 でも、レギュラーはプレーフィーは必要ないですよね。
吉野 必要ないです。ステップは必要なんですよ。
――試合中もプレーフィーを払うということですか?
吉野 そうです。しかも、安いところもありますけど、コースによっては割高なところもあります。
村田 割高なのはメンバーフィーがそもそも高いのだと思います。
吉野 ですからプレーフィーが1試合3~4万円で、飛行機で行って、レンタカーを借りて、ホテルに泊まって……。
――1試合10万円くらい?
吉野 それくらいですね。
岸部 レギュラーだと帯同キャディさんにお願いしたら基本給が10万円です。
――ステップでは帯同キャディをつけるという選択肢は?
吉野 ありません。ステップは1組にハウスキャディが一人です。
村田 しかも昨年はコロナでセルフプレー……。
吉野 そう! セルフは本当に大変なんですよ
――どういうことですか?
村田 キャディさんは選手のクラブもボールも触っちゃいけないから、カートの運転手として乗っているだけなんです。選手は自分たちでボールを拭いて「タオル、どうぞ」みたいな感じです。
吉野 あとはクラブの番手を間違えて、カートまで取りに戻ったりすることもありました。
村田 クラブを間違えたときのショックといったら。「4本持っているのに間違えた」みたいな。
――そんなことあるのですか?
岸部 ありますよ。風が強いと番手もぜんぜん変わりますから。
経費だけで年間200万円
村田 それでもキャディフィーは必要でしたね。
吉野 増枠予選会(QT)もエントリーフィーが高かったですね。
村田 けっこう高かったです。ステップと同じか、それ以上かかる感じでした。
――ステップを1年間転戦すると、経費はどのくらいかかるのでしょうか?
吉野 1試合10万円と考えたら、10万円×試合数です(20年は18試合予定で8試合開催。19年は20試合開催)。
村田 200万円くらいですね。
――ツアーの転戦費用は賞金だけでまかなえるのですか?
吉野 賞金だけでまかなえるのは賞金ランク上位選手だけです。
――それ以外の収入は?
村田 スポンサーの契約金とプロアマ収入がメインです。
吉野 スポンサーさんからの契約金が3月までに一括で入ってくれば、それで1年間転戦する人もいます。契約金は月払いの場合もありますし、経費を出してくれる場合は領収証を出してからもらうところもあります。
――3人とも所属先がありますけど、契約金の金額ももらい方も選手によって違うのですか?
吉野 違います。ほかの選手のことはぜんぜん知りません。
村田 選手同士でお金の話はあまりしないですよね。
吉野 金額は言ってはいけないことになっていますから。
――プロアマは試合以外のときでも開催されているのですか?
吉野 そうです。企業がお客さんを集めて、女子プロを集めて、チーム戦が多いです。
村田 12月は例年だとプロアマ祭りなんですけど……。
吉野 昨年は、ほとんどのプロアマが中止でした。
――収入としてはけっこう大きいのですか?
吉野 大きいです。12月はめちゃくちゃ稼げますよ。プロアマはエントリー費やプレーフィーなどの経費がかかりませんから。
村田 効率はいいですよね。試合に出ているとシーズン中のプロアマに出る余裕はないですけど。
――シーズン中に開催されるプロアマもあるのですか?
吉野 意外とあります。少人数でやっているところが多いので、試合に出ていない人たちは、けっこう参加していると思います。
――試合中の過ごし方を伺いたいのですが、朝は早いですか?
吉野 スタート時間によります。私はスタートの1時間50分前にコースに入ります。
岸部 私は2時間前です。
村田 私は朝ごはんをコースで食べるときは2時間半前で、食べないときは2時間前かな。
吉野 そこからストレッチして、練習を始めます。練習は最初にパットをやる人もいるし、ショットに行く人もいます。
――ホールアウト後の練習は?
吉野 みんなしますよ。
岸部 うふふふ(笑)。
村田 桃ちゃん、しないよね。夜ごはんを一緒に食べることが多いから、ホールアウト後に話をしようと思ったら「あれっ、もういない!?」みたいな(笑)。
――夜ごはんは選手同士で行くことが多いのですか?
吉野 時間が合えば行くこともありますけど、時間が合わなかったらひとりで食べます。
――どこで食べるのですか?
吉野 どこでも行きますよ。私、この前、ひとりで焼肉3日連続で行きました。
村田 私もひとりで焼肉、行けますよ。この間、しゃぶしゃぶもひとりで行きました。
岸部 えー、さみしい。
吉野 ダメ?
岸部 いや、行けますけど、でも基本はあんまり……。
村田 行くなら誰かと行きたい気持ちはあります。
吉野 でも、予定を合わせるのも大変だし。
価値観の合う男性がなかなかいない
――女子プロの恋愛事情について伺いたいのですが、出会いはありますか?
村田 ありません(笑)。
吉野 私たちは感覚がおかしいんです。片道100キロくらいだったら「近い」と思って、コンビニに行くくらいの感覚ですから。
岸部 わかります!
吉野 普通の人はそう思わないから、価値観が合わないんです。
村田 女子プロは気が強いじゃないですか。私たちを扱える男性はなかなかいないと思いますよ。
――昨年は、若林舞衣子選手が産休から復帰するなど、結婚している選手が話題になりました。
村田 純粋にすごいと思いますけど、私は結婚願望がありません。
岸部 えーっ!?
――長く現役を続けたいと?
村田 現役もそうですけど、現役が終わってからも、やりたいことがたくさんありますから、彼氏を作って遊んでいる時間がもったいないです。
吉野 何をやりたいの?
村田 大学で勉強したい。
吉野 えー、すごい。
村田 それと旅行に行きたい。世界中を旅して、いろいろな国を回ってみたいです。
岸部 似合いそう。
吉野 理沙ちゃん、いま何歳?
村田 25(歳)です。
吉野 でしょ。私も25歳のとき、そんな感じだったもん。でも、30近くになったら結婚したいということしか思いつかないのよ。
岸部 私も結婚したい。一刻も早く結婚したいです。
吉野 子どももほしいと考えると、先輩たちが妊活で苦労しているのも見ているから、それなら早く産みたいなと思いますね。
岸部 私も早く結婚したいし、子どももほしいけど、私は不器用なので、ツアーと子育ての両立は絶対に無理ですね。
週刊ゴルフダイジェスト2021年1月19日号より