【インタビュー】「4度目の正直」でプロテスト通過。遅れてきた黄金世代・山田彩歩
PHOTO/Tsukasa Kobayashi
小祝さくらと同郷で同い年、ジュニア時代から互いに切磋琢磨してきた22歳の山田彩歩。4度目の挑戦でついにプロテスト合格を果たした彼女の、これまでとこれからについて聞いた。
「夏は北海道、冬は宮崎でキャディの
仕事をしながらプロを目指していました」
先月のプロテストに合格した山田。北海道出身でジュニアのころから小祝さくらと切磋琢磨してきた。
「北海道でジュニアからゴルフをしていたのは人数も少なくて、どこかの試合に行けば必ず顔を合わせる仲。だから当時からライバルという感覚はなく、どちらかといえば同じ仲間みたいな感じ。さくらちゃんが活躍してうれしいし、私も頑張らなくちゃと、いつも刺激を受けていました」
小祝は4年前のプロテストに合格してプロの道を歩み出したが、山田は3度苦杯をなめた。その間、キャディの仕事をしながら練習を重ね、プロテスト合格を目指していたという。
「ザ・ノースカントリーGCでキャディとして働きながら、仕事後にラウンドさせてもらっていました。でも冬はゴルフができないので、その間は宮崎のフェニックスCCでお世話になっていました。この4年間で何か変わったという感覚はありませんが、時間の使い方が上手になったかなと思います。高校の頃は進学校だったこともあり、毎日勉強とゴルフでくたくた。夜ご飯を食べながらそのまま寝ちゃうことがほとんどでしたけど、そのころから比べると体力的にも充実しているかな(笑)」
出身地の北海道が大好きと話してくれた山田だが、お世話になった宮崎にも愛着があるという。
「皆さんすごくよくしてくれて。冬しかいない私なんですが、北海道に帰るときはキャディ仲間やゴルフ場の方が送別会を開いてくれるんです。本当に暖かくて優しい人ばかり。あと、地鶏とかおいしいものがいっぱい(笑)」
人を引き付ける魅力溢れる彼女だが、出会う人にも恵まれていると話す。
「プロテストが終わってスポンサーさんにご挨拶に伺ったのですが会社についてみると、社員の方々総出で花道を作って迎えてくれて、本当にうれしかったです。ちゃんとスーツ着てきてよかった、と思いました(笑)。北海道や宮崎でお世話になった方もそうなんですけど、本当に人に恵まれているな、と思います」
「すぐに練習に行けるように
普段はジャージです(笑)」
今年の11月で23歳を迎える。世間でいえば大学を卒業したばかりで、オシャレや流行に敏感な年ごろだが、普段はジャージを着ることが多いといい、イマドキの女の子像とはかけ離れていた。
「とにかく練習時間を確保することが最優先。移動するときも練習場にすぐ行けるようにいつもジャージです。洋服も買うんですけど、タンスに仕舞ったまま一度も着ないことがほとんどです。流行とかにもあまり興味がなく、今はまっている物といえばユーチューバーの『東海オンエア』さんくらい。趣味もあまりないのですが、1回だけ父について釣りに行きました。それが趣味かな(笑)」
それほどゴルフに真摯に向かい合っているということは、さぞ練習のムシで、相当追い込んで練習しているのだろうか……。
「練習は好きです。でもボールを打つことは楽しいですが、フィジカルのトレーニングは正直あまり好きではないですね(笑)。あと、練習のムシではないです。日によっては数球打って、今日はもういっか~、みたいな日も結構あるし。やるときはとことんやりますけど、メリハリを大事にしています」
そんな彼女のプロデビュー戦は、7月22日から地元北海道で行われる「大東建託・いい部屋ネットレディス」。意気込みを聞いてみると。
「ここ数年、ゴルフと仕事が忙しくて友達の誘いを断り続けていたら、最近誰からも誘われなくなっちゃって(笑)。みんな就職したからお互い忙しくなったのもあるけど、それでもデビュー戦にはみんな『応援に行く』って言ってくれました。予選を通過して、今までお世話になった人にも活躍している姿を見せたい。目標はシード権獲得。将来的には賞金女王になりたいです」と目標を語ってくれた。
愛嬌のある笑顔でこれから人気を集めそうな彼女。また楽しみな黄金世代がプロの仲間入りを果たした。
週刊ゴルフダイジェスト2021年7月27日号より