20年ぶりに下部ツアー出場の高山忠洋。そこで感じた“違和感”とは
先のAbemaTVツアー2020-21シーズンの9戦目『大山どりカップ』で高山忠洋が約20年ぶりに下部ツアーへ出場。43歳、百戦錬磨のベテランだが何やら勝手が違ったようで……。
高山は2018年に中心性漿液静脈絡網膜症と診断されツアーを離脱し、同年末に手術に踏み切った。2020年の9月に特別保障制度を利用してツアーに復帰したものの、16 年間守り続けたシード権を手放すことになった。今回は下部ツアーへの出場で結果を残せなかったが、その要因の一つにアプローチを挙げていた。
「グリーンが軟らかくてアプローチの距離感が合いませんでした。ただ、気付いたことが一つ。以前から若い選手の多くがアプローチでめちゃくちゃハンドファーストにして打つなって思っていたんですが、その理由がわかりました。グリーンが軟らかいので、ヘッドを強く入れても、低く出てキュキュッと止まるんです。ただ、レギュラーツアーの硬いグリーンだと、あの打ち方で球は止まりません」
これは決してコースセッティングのあり方を問題視しているわけではない。もちろんレギュラーツアーと下部ツアーのコンディションが統一されることは望ましいことだが、さまざまな要因で難しい部分があるのが現状。
高山が懸念するのは選手たちの意識だ。状況に合わせて打ち方を変えるのは必要だが、常に上で戦うことを頭に入れつつ下部で戦うことができれば、レギュラーツアーに上がってもすぐ優勝争いを演じられるはずだと言う。
とはいえマイナス点だけではない、AbemaTVが冠についたのをきっかけに3日間競技となったことで、レギュラーツアーと近い感覚で戦える環境になった。現に中西直人や大岩龍一、阿久津未来也など“AbemaTVツアーチルドレン”ともいえる選手たちがレギュラーツアーで成績を残している。男子ツアーのレベル底上げの環境は整いつつある。
週刊ゴルフダイジェスト2021年7月20日号より