練習どおりの球が出る! 理想のプレショットルーティンの作り方
練習場ではいいのにコースに行くとダメ……。そんな悩みを持っているアマチュアは多いが、岩本砂織コーチによると、プレショットルーティンを決めておくことで、解決できるという。
【解説】
岩本砂織(右)
ナショナルチームのテクニカルコーチを務める。横浜で最新機器を導入したインドアゴルフスタジオ「SALTO GOLF」を主宰
高橋 舞(左)
LPGAティーチングプロA級ライセンスを持ち、ジュニア時代からのゴルフ経験を活かし、ジュニアから大人へと幅広い世代のレッスンを行う
女子プロのルーティンがお手本だ
ショットに入る前のルーティンを大事にするプロは多い。その重要性を岩本プロが語る。
「プレショットルーティンは、ショットを行うための準備であり、スウィングの再現性を高めるツールでもあります。ルーティンの目的を大きく分けると、①同じセットアップをする、②同じリズムでスウィングをする、③メンタルを安定させる、の3つになります。ルーティンは一連の流れで行われますが、ティーアップしてから素振りなどを行う準備段階と、アドレスに向かって動き出す本番段階があり、この2つを明確に分けて構築する必要があります。写真の3選手のルーティンからも、それが見て取れるはずです。この点も参考にしてほしいですね」
【原英莉花の場合】飛ばし屋ならではの方向重視型
原といえば男子顔負けの飛距離。飛ばし屋だからこそ打ち出す方向性にシビアに。利き目を使った方向性重視のルーティン
【小祝さくらの場合】無意識にイメージどおりに打てる理想形
小祝はなんと言っても流れるようなリズム。イメージを無意識に具現化できるブレない形はまさに教科書に載せたいルーティン
【古江彩佳の場合】動き出しのタイミングを確認
一見リズムよくルーティンしているように見えるが、体のパーツごとに始動するタイミングを確認しながらルーティンを行っている
素振りはボールの後ろで最大2回まで
ルーティンの準備段階では、プロとアマチュアに決定的な違いがあると岩本プロは言う。
「アマチュアの場合、準備段階で打ちたい場所や弾道、球筋をイメージしたり、スウィングの注意点を考えながら素振りをしている人が多いんです。対して、プロや上級者はそれらすべてを決断してから、準備段階に入っていくんです。だから手順や秒数が、常に一定になるんです」
バッグからクラブを抜き、ティーアップするまでの間に、打ちたいショットのイメージを明確にすることが大事だという。
「ティーアップした後、飛球線後方に2~3歩下がったら、その場で素振りをします。ボールの横に移動して素振りをする人がいますが、目標確認でまた後方に戻るとムダな移動が多くなります。後方で素振りをすることでムダがなくなるし、流れもスムーズになるので、リラックスできて集中力も増します。素振りの回数は多すぎると力みにも繋がるので最大2回まで。再度、後方から目標を確認したら、準備段階は完了です。ラウンド中に自分のルーティンを動画で撮影して、見てみるといろんな発見がありますよ」
【ポイント①】
クラブを持ったらスウィングは考えない
【ポイント②】
7割以上の素振りは厳禁
【ポイント③】
気持ちよく打っている俯瞰図を想像しよう
上体を開きながら右足をセット
「飛球線後方で目標を確認し、ボールに向かって一歩を踏み出す瞬間から本番段階に入ります。ここで大事なのはアドレスの入り方。いつでも同じ手順で入ること。そうすると再現性も高くなります」 (岩本)
最初に踏み出す足は右か左か、グリップは片手で握るか両手かなど、細かい部分まで決めて統一しておくのがベターだという。アドレスしたときにどうしても力んでしまうという人は、「息を100%吸った状態から、60%吐くという呼吸法がおすすめです。また、ルーティンを新しくイチから作り直すのではなく、これまで行っていたワッグルやフォワードプレスなどはルーティンの手順に残しておいてください。始動のきっかけは無意識に行っていることなので、それを捨てるのはもったいないです。その癖を上手に生かすことで、始動がスムーズになるし、スウィングの再現性も高くなります」
【ポイント①】
10割吸って、6割吐く
【ポイント②】
ボールは凝視せずぼんやり見る
PHOTO/Tadashi Anezaki, Hiroaki Arihara
TEXT/Toshiyuki Funayama
週刊GD2019年10月27日号より