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「夏ラフはアイアンよりUTが簡単!」青木瀬令奈が明かすラフ攻略のマル秘テク

PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/カレドニアンGC

芝が元気に成長する時期のラフ。そんな夏ラフこそ「UTの出番です!」と豪語するのは、今季サントリーレディスで優勝したUTの名手・青木瀬令奈だ。その真意を聞いてみた。

解説青木瀬令奈

1993年生まれ、群馬県出身。11年にプロ転向し、17年に初優勝。今季6月のサントリーレディスで4年ぶりに優勝。飛距離のハンディをものともせずFW・UTを駆使してシード権を保持。JLPGAプレーヤーズ委員長

解説/大西翔太

プロコーチとして青木瀬令奈を指導し、キャディとしてツアーにも帯同。幅広い層のアマチュアにもレッスンを行う。女子ツアーで活躍する大西葵は実妹

UTは9番アイアンより
ピンに寄せる自信があります

私とユーティリティ(以下UT)との出合いは中学生のときでした。ゼクシオのUTを使ったのを今でも覚えています。タラコ型のUTなんですけど、ボールは上がらないし、クラブも長くて身長の低い私にとって難しい印象でした。ただソールが滑るのでフェアウェイバンカーなどで多用していたのを覚えています。でもやっぱり球も上がりにくくて、『このクラブは私には無理なんだな……』と正直思いました。結局UTを諦めて4番アイアンを入れていました。そのころはまだUTの番手は3と4しかなかったですね。

プロになってしばらく経った15年ごろにはロフトが20度以上のモデルが主流になり、UTは“お助けクラブ”となっていました。この機会に再投入し、モデル違いの5UTを2本、5ヤード刻みで使っていました。翌年の16年に6UTが出るということで試してみると、アイアンよりもスピン量が800回転多くて球は上がるし、操作しやすいし、『なんだこれは!』と驚いたのを覚えています。

アイアンよりもやさしいのなら使わない理由がない。そこからUTは手放せない武器となり、今では私のクラブの中心になっています。クラブ構成もUTを中心に組んでいますし、UTのないセッティングもありえません。今となっては、ショートアイアンよりもUTのほうがピンに寄せられる自信があります。初優勝したときも、2勝目も同じセッティング。これからもUTが主体のゴルフです。

Q. いつからUTを使っている?
「初めて使ったのは中学生のとき。そこから使わなくなって、15年にスリクソンからやさしいUTが出てまた使い始めました」

Q. UTの飛距離は?
「6UTが153Y、5UTが163Yです。『え?』と思うかもしれませんが、何度測ってもこの数字なんです(笑)」

UTなら赤道に当たりさえ
すれば十分に球が上がる

GD UTのほうがショートアイアンよりもピンに寄せられるとのことですが、さすがに夏ラフでは使えないですよね?

青木 いえ、もちろん夏ラフでも使います。ミスヒットに弱いアイアンより、芯の広いUTのほうがオススメですよ!

GD え、そうなんですか? でもボール上がるかな……。

青木 UTならボールの赤道に当たればボールは上がるんです。フェース上下のミスに対する寛容性が高いので、ボールの浮き沈みが不安定なラフこそUTなんです。またアイアンだとネックに芝が絡んでフェースが閉じてしまいますが、形状の丸いUTは滑ってくれます。よっぽどのことがない限り、断然UTです!

GD でもラフだと、強く振らなきゃと思ってつい力んでしまいます。

青木 実は、夏ラフの場合はボールが沈んでいると思っていても浮いているんです。下の写真を見てください。右はラフに入ったボールで、少し沈んでいるように見えます。左はフェアウェイで、1センチのティーアップをしています。どちらも横から見るとボールの高さは同じですよね? つまり、ラフの抵抗はありますが、ボールは沈むというよりも、むしろ浮いているんです。

右のボールはラフに沈んでいるように見えるが、1㎝ティーアップした左のボールと同じ高さ。アイアンで打ち込みにいくと下をくぐってむしろ飛ばないケースも

GD 本当だ! そう考えると気がラクですね。

青木 ラフだからって力んで打ち込まないように注意ですよ! でもたまにスッポリとボールが埋まっちゃうこともあるので、そのときは無理をせずウェッジで脱出してください。

力むのはじゃなくて
お腹です!

ラフからはどうしても力んでしまいやすいが、そんなときはお腹に力を入れるといいと大西コーチは言う。

お腹に力を入れることで、軸が安定して体が回転しやすくなる。「お腹に力を入れにくいときは、『フンッ!』と声に出すだけで力が入ります」(大西コーチ)

大西 ラフから打つときはお腹に力を入れるのがポイントです。

GD なぜお腹なんですか?

大西 お腹に力を入れることで上体と腕が同調したスウィングができるようになります。肩や腕が力みがちなラフではとても効果的です。

GD ほかに気を付けるポイントはありますか?

大西 お腹に力を入れたらあとは夏ラフ用アドレスを作るだけ。ポイントは4つ。①クラブを少し短めに持つ、②少しスタンスをオープンに、③フェースを少し開く、④ボールを右足寄りに置く。この4つを意識してアドレスし、あとはコンパクトに振るだけで夏ラフは攻略できます。

夏ラフ用アドレスのポイント

グリップは短く
左手3本をしっかり握る

通常よりも2~3センチ短く持とう。「短く握ることで振りやすくなります。左手の下3本をしっかり握るとラフの当たり負けもなくなりますよ」(大西)

スタンスはややオープン
ボールは右足寄りに

体を回転しやすくするためにもスタンスはオープンに。「左足つま先を少しだけ開くと、より回転しやすくなりますよ」。ボールは右足寄りにセットすることで直接コンタクトしやすくなる。ただし打ち込むのではなく、横から払い打つようにする

フェースもややオープンに

フェースを少し開くことで、ヘッドがラフから受ける抵抗を少なくできる。「ラフからはサイドスピンがかかりにくいので、ボールが大きく曲がる心配はありません」

コンパクトなスウィングを心掛けよう

夏ラフ用のアドレスができたら、あとはコンパクトに振るだけ。トップは浅く、フィニッシュはフォローで止める意識でOK

クロウグリップで打ってみよう!

大西 それでは夏ラフ対策の練習としてとっておきの方法をご紹介します。右手を「クロウグリップ」にしてハーフスウィングで打ってみてください。

GD クロウグリップって、パットのときのグリップですよね?

大西 これで打つことで、自然と体と腕が同調したスウィングになります。夏ラフでのショットはとにかく力みやすいので手打ちになりがちです。手打ちを防止する意味でもこの練習は最適です。ショット前の素振りに取り入れても効果的。ぜひ試してみてください!

右手が使えないため、手打ちをしたくてもできない。自然と体と腕を同調させて打つようになる。これでしっかりと打てるようになれば、ラフでも難なくボールが打てる

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月13日号より

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