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10年にわたりUSGAを率いてきたマイク・デービス氏が退任へ

USGA(全米ゴルフ協会)は4500万ドル(約50億円)を投じ「ゴルフコース持続可能研究プロジェクト」を発足させるが、その名称を、今季限りで引退する組織のCEOにちなみ「マイク・デービスプログラム」とすると発表した。

ルールを統括し全米オープンなどの競技を主催するUSGAのトップとして10年にわたりリーダーシップを発揮したデービス。彼が重視したのはゴルフを未来永劫持続可能なゲームにすること。

ルールの簡素化や環境への配慮をしつつ、いかにゴルフの伝統を守りながら新しい層を拡大しファンを取り込むかをテーマにしてきた。今後は長期的展望と将来への懸念払拭のため「マイク・デービスプログラム」で議論と対策を講じることになる。

退任間近のため、先週トーリーパインズで開催された全米オープンの指揮を執ったのはLPGAコミッショナーから転身したマイク・ワン次期CEO。デービス氏は2011年、ワン氏は2010年と、ほぼ同時期にそれぞれUSGAとLPGAのトップに就任している。

「(前任者の)デビッド・フェイに『僕がやることをよく見ておきなさい。いずれ君が僕の代わりになるのだから』と言われていた。当時はありえないと思った。自分はただ純粋にゴルフが好きなだけ。フェイがやっていた理事会の統率から財務会議、予算、人事、IT関連は自分の専門外だと思っていたから」と、来し方を振り返るデービス氏。しかしフェイ氏の後継者となり、今度は自身が今年、ワン氏にバトンを渡す。

デービス氏が抱えていた問題は競技における公正性。SNSが普及するとUSGAは、特にコースセッティングに関して批判にさらされることが多くなった。たとえば18年シネコックヒルズで行われた全米オープンではミケルソンがグリーン上でまだ動いているボールを打ち、公平さを欠いたセッティングと抗議して話題になった。また、15年のチェンバーズベイや17年のエリンヒルズはこれまでの全米オープンのテイストと異なると物議をかもした。

伝統と近代化の両立に頭を悩ませるゴルフ界。ワン氏の手腕に注目が集まる。

退任後は本業のコース設計に専念するというマイク・デービス氏(PHOTO/Nakaya Nakai)

週刊ゴルフダイジェスト2021年7月6日号より