【ヘッドデータは嘘つかない】抜けよし、打感よし、操作性よし!「スリクソン ZX7」アイアン
多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員氏が最新クラブを徹底的に計測・分析する「ヘッドデータは嘘つかない」。今回はダンロップの『スリクソン ZX7』アイアンを取り上げる。
操作性と安定感が向上
スリクソンのフラッグシップモデル「ZXシリーズ」のアイアンは、飛びの『ZX5』と操作性の『ZX7』がメイン。今回紹介する『ZX7』は「新・TOUR・V. T. SOLE」で全番手のバウンスフローを再検討。ソールのトウとヒール部を丸くし、段差をつけることでインパクト時の抜けの良さが向上。またショットのばらつきを抑え、安定性と操作性をアップさせたという。
さらにターゲットユーザーの打点位置付近を厚肉化した「ツアーキャビティデザイン」は、オフセンターヒット時でもソフトな打感を実現し、操作性も向上している。
いつもどおり、7番アイアンのヘッドとクラブを実測した。クラブ長さは36.75インチとやや短いが、標準シャフトのダイナミックゴールドでクラブ重量は437.2gと重く、スウィングウェートもD2.5とやや大きめなので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが275万g・㎠と大きくなり、ドライバーのヘッドスピードが48㎧くらいとパワーがあるゴルファーがタイミング良く振れる設計になっている。
Point 1 クラブ長が36.75インチとやや短い
Point 2 クラブ全体慣性モーメントが275万g・㎤と大きくパワーが必要
Point 3 クラブ重量が437.2gと重い
抜けがよく球を思い通りに操れる
では細部を見ていこう。まずヘッドは、『ZX5』に比べてフェースが短く、ソール幅も狭く、そしてストレートネックが特徴だ。そして、『ZX5』と同様にソール面のトウ~ヒール方向の丸みが少なくストレートなリーディングエッジで、よりスクエア感が出ています。
構えてみると、ツアーモデルらしく小ぶりでオーソドックスな形状で、操作性が高そうな印象を受ける。また『ZX5』よりも逃げ感もあり、ストレートネックで、ターゲットに構えやすいと感じた。
標準のダイナミックゴールドDST(S200)は重くしっかりしたシャフトなので、パワーのあるゴルファーがスウィングしやすく、重い球を打ちやすくなっている。そして、短めのフェース長で深いラフからでもヘッドの抜けが良く、さらに狭めのソール幅でフェアウェイバンカーや悪いライからでも球をとらえやすい。
フェースは軟鉄で打感が良く、かつ球が飛びすぎる心配がない。『ZX5』よりもスピンがかかってグリーンで球を止められ、ピンをデッドに狙うことができ、スコアメイクに良さそうだ。また、ヘッドのネック軸周りの慣性モーメントが5286g・㎠と小さめなので操作性が良く、インテンショナルにドロー、フェードと打ち分けやすくなっている。そして、ソールのバウンス角もしっかりあるので、7番でターフをとるようなダウンブロースウィングでもソールの抜け感は良好だ!
ダンロップ
スリクソン ZX7
<試打モデルスペック>※メーカー公表値
●ヘッド素材/軟鉄+タングステンニッケルウェート(#3~7)、軟鉄(#8~SW)
●ロフト角/32度
●ライ角/62度
●長さ/36.75インチ
●シャフト/ダイナミックゴールド DST(S200)
●総重量/約424g(#5、S)
●価格/11万8800円(5Ⅰ~PW)
クラブ&ヘッドデータ(実測値)
クラブ長さ | 36.75インチ |
クラブ重量 | 437.2g |
スウィングウェート | D2.5 |
クラブ慣性モーメント | 275万g・㎠ |
ヘッド重量 | 268.3g |
リアルロフト角 | 32.0度 |
ライ角 | 62.3度 |
フェースプログレッション | 4.3㎜ |
バウンス角 | 7.0度 |
重心距離 | 36.8㎜ |
重心深度(フェース面から) | 1.5㎜ |
スイートスポット高さ | 20.8㎜ |
ヘッド慣性モーメント(左右) | 2375g・㎠ |
ネック軸周り慣性モーメント | 5286g・㎠ |
松尾好員
まつおよしかず。往年の名手、S・バレステロス、I・ウーズナム、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰
s週刊ゴルフダイジェスト2021年6月29日号より