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【当たるも八卦当たらぬも八卦】Vol.62「マスターズ優勝の陰にあった“雷の水入り”」

ゴルフを愛する気象予報士・森田正光氏による気象コラム「当たるも八卦 当たらぬも八卦」。第62回はオーガスタの気候と雷についてのお話。

オーガスタは雷の巣!?

ゴルファーにとってプレー中の雷は大敵ですが、場合によっては雷中断がそれまでの流れを変えたり、気分転換につながることもあるようですね。松山英樹選手のマスターズ優勝は本当にうれしい出来事でしたが、その優勝の一因に、ひよっとしたら「雷」があったかもしれません。

3日目の前半ハーフのプレーは「少しドタバタした」とのことでしたが、その後11番のティーショットを打った後に雷による中断になったのは皆さんも覚えているかと思います。マスターズの行われるオーガスタは、大西洋から200キロほど内陸に入った所にあり、日本でいうと北関東のようなイメージで、雷が起こりやすい場所と言えます。

今回は一時的に寒冷前線が通過したようです。この雷中断は1時間ほどでしたが、降った雨によって「グリーンのスピードが落ちて、いい感じで打てるようになった」と松山選手も言っていました。実際、雷中断後に連続バーディを取り、さらにイーグルも決めて単独首位に立ったわけですから、雷が何らかの好影響を与えたと言えるのかもしれません。

イラスト/マタキサキコ

日本では旧暦六月のことを、水無月と言います。なぜ雨が一番多い季節なのに「水が無い月」なのかと質問を受けることがありますが、実は水無月は、雷月(かみなりづき)が変化して「みなづき」になったと言われています。そう考えると、まさにこれからが雷の季節ですから合点がいきます。雷に遭遇したときの行動は、とにかく早めに逃げることに尽きます。少しでも雷鳴が聞こえたら、雷雲は自分の10キロ圏内に入っており、雷からすると射程距離です。

最近はゴルフ場でも雷監視の方法が進んでおり、昔のようなプレー中の事故は少なくなりました。とはいえ、雷が近づいてきたらゴルフ場の指示にすぐにしたがうことと、雷の音が鳴ったらすぐに中断ということが大切でしょう。

森田正光
TBS報道番組「Nスタ」でお馴染み。監修した書籍『空の手帳』が人気。ツイッターは@wm_moritaで検索

月刊ゴルフダイジェスト2021年7月号より