「多くの選手が離婚しているのを見ても驚かないよ」欧州ツアープロの過酷な労働環境
欧州ツアーの選手たちのストレスがたまっているというレポートが発表され、話題になっている。
イギリスの大学のジョン・フライという教授が20人のツアープロにインタビューした結果「メンタルヘルスの悪化が見られる」という。移動やトーナメント先で過ごす時間が以前より多くなり、孤独を感じたり家族などとの関係がギクシャクしたりしてメンタル面の疲労がたまっているという。
ある世界ランク1位経験者のプロは「家族から離れているのが一番辛い」と語り、メジャー優勝歴のあるプロは「(ツアープロの生活は)世界で最も素晴らしい人生になりうるが、最も難しい人生にもなりうる。自分が嫌いになる時だってある」と話したという。他の選手は「多くのプロたちが離婚をしているのを見ても驚かないよ。パートナーにも多くのプレッシャーがかかっているからね」という。
10年前の2011年には、欧州ツアーは36カ国で50を超える試合が開催されていたが、今年は30カ国で43試合の予定。試合数が減って楽なように見えるが、ヨーロッパ以外で開催される海外の試合が増えているうえ、かつてなら南アフリカで7試合や、中東で5試合などというふうに、ある地域で同じような時期に固まって開催されていたのだが、最近はバラつきが多い。さらに試合数が減るということは、それだけ選択肢が減るということでもあり、どうしても海外で過ごす時間が長くなる。
「プロゴルファーは、家族や友人たちと離れて移動先で過ごす時間が長くなっている。ツアー関係者と親しくなろうとしても、どうしても表面的な付き合いになるようだ」とフライ教授。
加えて、トッププロと中堅以下との格差が広がり、賞金だけで家族を養えないプロたちも増えてきているという。世界中で活躍し、華やかに見えるプロゴルファーだが、やはりそのぶん苦労も多いようだ。
週刊ゴルフダイジェスト2021年6月1日号より