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森守洋「レッスンは受けるな」Vol.5 めだかクラブの奇跡その1 「椅子打ち」でスウィングの原理原則が自然と身に付いた

堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのプロを指導する森守洋が、自身が行きついたゴルフスウィングの本質を語り尽くす。

>>前回のお話はこちら


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めだかクラブの奇跡その1


椅子に座って打つ練習にこそ
スウィングの大事が詰まっている

横峯良郎さんらが立ち上げた鹿児島の『めだかクラブ』というゴルフスクールがありました。鹿児島県の大隅半島の鹿屋市といういわゆる田舎町にあった『めだかクラブ』ですが、実はたくさんのプロが輩出されているのをみなさんはご存じでしょうか?

良郎さんの娘の横峯さくらプロをはじめ姉の瑠衣プロ、香妻琴乃・陣一朗の姉弟プロ、池村寛世プロ、出水田大二郎プロなどツアーでシードを獲れるだけでなく勝てる選手を、鹿児島の端の端にある小さな町の練習場から輩出しているのです。

さくらプロだけで23勝していて、香妻琴乃プロが1勝、陣一朗プロが3勝、池村プロが3勝、出水田プロが 1勝とめだか出身のプロだけでレギュラ―ツアーでなんと31勝もしているのですから、これは本当にスゴイことで奇跡と呼ぶほかありません。

では具体的に何が奇跡なのか。

それは良郎さんが発案して、子ていた練習法がゴルフスウィングの原理原則に沿っていたということだとボクは思っています。


例えば、脚の高い椅子に座ってボールを打たせる練習法が有名ですが、これはさくらプロが高校生の時に左足を骨折してしまって、それで椅子に座った状態で振る練習をしたことがキッカケで始まった練習だったそうです。実はこれが1つ目の奇跡なのです。

その理由は、椅子に座った状態で打つためには腕を振らないとボールを打つことができないから。怪我の功名(?)なのかゴルフのスウィングにおいて一番大切な棒を振る動作を、椅子に座って打つことで自然に身に付けることがこの練習法によってできたわけです。

ゴルフのスウィングで何よりも優先しなければならない棒を振ることを、自然に体に叩き込まれていたわけですね。

当時、さくらプロの大きなトップの形を見て変則だと言う人はいたとは思います。でもそれは“形”だけでスウィングを評価していたからではないでしょうか。

レッスンのなかでオーバースウィングが良くないと言われますが、オーバースウィングは悪いわけではありません。ではなぜオーバースウィングを直そうとしたり、直したいと思ったりするのか。その答えは、“形”が目的になってしまい腕振りができていないからです。

オーバースウィングの状態からダウンスウィングで体を回すことを優先したら、頭の位置が右へ大きく傾きいわゆる振り遅れの状態になってしまいます。言い換えるとクラブは地面に落ちやすくなり、結果、多くのアマチュアの悩みであるアーリーリリースになりやすい傾向があります。

しかし彼女は椅子で打つ練習をしていたため、腕を振ってクラブを振る動きができていたから、オーバースウィングでもギッコンバッタンという動きをせずクラブを振ることができていたのです。ではどうしてオーバースウィングになったのか。

おそらく椅子に座った状態でより強い球を打つため、より飛ばすためにヘッドの助走距離がどんどん長くなっていったからだと思います。でも椅子に座って打つ練習をしていたおかげで、腕を振り棒を振るというゴルフスウィングの原理原則を徹底的に身に付けることができたから、理にかなったオーバースウィングを手に入れられたのだと思います。

大事なポイントはオーバースウィングだからアーリーリリースになるわけではないということです。 もし彼女がケガをしていなかったら、このような練習法は生まれていなかったかもしれない、まさに奇跡です。次回はめだかクラブが起こした2つの奇跡についてお話ししたいと思います。

横峯さくらが足をケガしたことで生まれためだかクラブの定番練習『椅子打ち』。偶然なのか必然なのか、ゴルフスウィングの一番大事が詰まった練習だと森コーチは言う

解説/森守洋

もり・もりひろ。1977年生まれ。静岡県出身。堀琴音、柏原明日架、香妻陣一朗ら多くのツアープロを指導。原理原則を謳い文句にゴルフスウィングの核心に迫る

週刊ゴルフダイジェスト2026年3月3・10日合併号より