【森守洋の適当力】<後編>スウィングは適当でいい、でも「基準線」は外せない。スコアを出す三角形の秘密
月刊ゴルフダイジェスト
ここまでサポートしている選手たちの証言を交えながら、“適当”と呼ばれる森守洋コーチを丸裸にした。一方で原理原則といった最低限のポイントを重視しながら、シンプルな指導を心がけていることが分かった。最後にスコアメイクのためのコースマネジメントにも抑えるべきポイントがあるという。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Getty Images ILLUST/Hideki Kamekawa


森守洋
1977年生まれ。静岡県出身。高校でゴルフを始め卒業後に渡米。帰国後は研修生となり故・陳清波プロに師事しつつ指導者を志す。2010年、東京・三鷹市に「東京ゴルフスタジオ」を開設
- 昨年堀琴音、柏原明日架、菅沼菜々という3人の女子プロを復活優勝に導き「再生工場」とも評される森守洋コーチ。周囲の人間は「森さんは適当」と口をそろえるがその「適当さ」にこそ上達の真実があるのではないか。人間・森守洋を観察しつつ、その真相を探った。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Getty Images ILLUS……
- 2025年に3人の女子プロを復活させた森守洋コーチは「アマチュアの人は考えすぎている。“棒を振る”ことがすべて! ほかは適当でいい」というメッセージを送る。その真相をひも解いた。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Getty Images ILLUST/Hideki Kamekawa 森守洋……
三角形さえ正しく置ければ
あとは棒を振るだけ
スウィングについては「適当」な森だが、それはスコアメイクをし、試合で勝つためには、スウィングの役割は限定的だと考えているからでもある。なぜならゴルフとは、スウィングの美しさを競うスポーツではなく、あくまで打数を減らす「ゲーム」だからだ。2025年に柏原が復調したのも、マネジメントのレベルアップが大きい。頭の中を整理し、「どこを狙うか」を明確にし続けたことがスコアの安定に貢献したという。
これに関して森に聞いたところ「ターゲットを狙う際の『基準線』の設定に尽きる」と話す。「実はこれもシンプルで、ひと言で言えば持ち球に応じてフェードなら左を向き、ドローなら右を向くというだけの話なんです。その基準線をどこに設定し、そこから生まれる『三角形』をコース内にどう合わせていくかがゴルフというゲームの本質の一つだと思っています」

重要なのは基準線を作ること!
自分の打ち出し方向を基準線(矢印のこと)とし、それに対して、自分の持ち球と曲がり幅に応じて三角形をイメージすることで、狙いがワンサイドに絞れる。この三角形をコース内のどこに置くか、そのために基準線をどこに向けるかが大事。
ドローならボールは打ち出し方向よりも左にしか行かず、フェードなら打ち出し方向よりも右にしか行かない。だから打ち出し方向を「基準線」として明確にし、自分の持ち球なりに曲がる可能性のあるエリアで三角形のゾーンをイメージ。この三角形をホール内のどこに置くかを考えて、基準線を向ける方向を決める。これが森流のマネジメントだ。考え方はとてもシンプルだが、これをコースで徹底するのは容易ではない。持ち球を信じること、コース情報に応じて三角形を正しく設定すること、そして基準線に正確に構えること。柏原がDプレーン理論を学んだのは、自分のスウィングをきちんと実行すればこの方向にボールが出てこのくらいフェードするということを、物理的な事実として理解するうえで必要だったから。
この三角形の描き方が天才的に上手いのが堀だと森は言う。
「実際はコースでは視覚的なプレッシャーや風、ライなどの影響で基準線に正しく向けないことも多いんです。でもこれも『あのバンカーには届かない』『この番手なら木の高さは越える』というように、正確な情報をもとに事実を積み重ねることで向けない理由を消していく。僕がキャディを務める際は、この点をサポートするのも重要な役割なんです」

“向けない要素”をいかに排除するか
理屈ではわかっていても、コース内ではさまざまなプレッシャーで基準線どおりに向けない。これは、視覚情報や先入観に引っ張られないように、コースレイアウトや自分の飛距離、持ち球などの情報を正確に処理し、意志で克服するしかない
ここまでできればあとはプレッシャーに負けずに「自分のスウィングをきちんと実行する」だけ。まさにこの場面でこそ、細かいことを考えすぎず「棒振り」に集中すること、つまり「適当さ」が生きてくる。だから森流は強いのだ。
頭に入れておきたいポイント!
「本能に逆らわないことも大事です」
本能的に体が嫌がる要素に必要以上に逆らわず、ときには「できない」と捨てて諦める潔さも、ゲーム攻略のうえでは重要だ
※写真は「TPCソーグラス18H」

- 昨年堀琴音、柏原明日架、菅沼菜々という3人の女子プロを復活優勝に導き「再生工場」とも評される森守洋コーチ。周囲の人間は「森さんは適当」と口をそろえるがその「適当さ」にこそ上達の真実があるのではないか。人間・森守洋を観察しつつ、その真相を探った。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Getty Images ILLUS……
- 2025年に3人の女子プロを復活させた森守洋コーチは「アマチュアの人は考えすぎている。“棒を振る”ことがすべて! ほかは適当でいい」というメッセージを送る。その真相をひも解いた。 TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Shinji Osawa、Hiroyuki Okazawa、Getty Images ILLUST/Hideki Kamekawa 森守洋……
月刊ゴルフダイジェスト2026年3月号より


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