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【対談】松山英樹×片岡尚之<前編>「こうすれば真っすぐ飛ぶ」その感覚をずっと探している

マスターズに14回出場し、2021年には優勝も経験している松山英樹を、今年初めてオーガスタを訪れる東北福祉大の後輩・片岡尚之が訪ねた。

PHOTO/Takanori Miki

松山英樹 まつやま・ひでき。92年生まれ、愛媛県出身。13年プロ入り、14年から戦うPGAツアーで11勝。16年には日本オープンでも勝利。22年にはグリーンジャケットに身を包み、前年優勝者としてシェフラーを称えた
片岡尚之 かたおか・なおゆき。97年生まれ、北海道出身。19年プロ入り、21年に日本ツアーで初優勝。昨年の日本オープン(日光CC)でプレーオフに勝利し自身2勝目を挙げ、オーガスタへの切符も手にした

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  • 昨年日本オープンを制し、今年初めてマスターズに挑戦する片岡尚之。2021年のマスターズチャンピオンにして東北福祉大の先輩・松山英樹に、マスターズの心得を引き続き聞いていく。 PHOTO/Takanori Miki、Tadashi Anezaki、Yoshihiro Iwamoto 松山英樹 まつやま・ひでき。92年生まれ、愛媛県出身。13年プロ入り、14年から戦うPGAツアー……

松山 今日はまずジャパンオープンについて話をする? 片岡が会話を回してくれるんだよね(笑)。

片岡 違います(笑)。でも、今さら日本オープンの話をしてもしょうがないですかね……。

松山 いや実は、プレーオフしたもう1人が、僕の小学校の頃からのライバルの原ちゃん(原敏之)だったので、片岡も後輩だから勝ってほしかったけど、そっちにも勝ってほしいなあと複雑だった(笑)。

片岡 そうですか。原さんは同級生なんですか?

松山 そう。小3から知っているかな。

片岡 松山さんが勝てなかった人みたいに言われていましたよね。

松山 (日本オープンは)確かテレビで生で見ていたかな。最終日、(清水)大成がまだ4打か5打リードしていたけど、多分このまま行かないなあ、下の人はチャンスあるなあという感じで見ていて。

片岡 そうなんですか。

松山 案の定そうなった。それでプレーオフに残った2人を見て「うわあ、複雑」って。でも、日本オープンみたいなセッティングは片岡のほうが僕より得意だよ。

片岡 いやいや、そんなことは……ただオープンを振り返ってみれば、ここ3年くらい最終日にいい位置でプレーしていたので、もしかしたらセッティングが自分のゴルフと合っているのかもと……。ところで昨年は、(ダンロップ)フェニックスでもう少し松山さんと話したかったんですけど。

松山 すみませんね。取り巻きが多くて話しづらかったかもしれないけど(笑)。

片岡 試合でも回りたかったです。

松山 僕、片岡のプレーを実際に見たことがないからわからないけど、いろんな人に聞いたらパターがとりあえず“えげつない”と言う。誰に聞いてもパターがめっちゃ上手いと言うので。

片岡 本当ですか。

松山 教えてほしいと思っていたら、(堀川)未来夢のYouTubeにたまたま出て来て、やっぱり上手いんだなあと思って。昨秋のフェニックスのときも遠目だけど練習を見て、ああ上手いなあと思ったから。

片岡 それは嬉しいですね。

松山も感じる“パット巧者”の片岡も、パットに不安があるという。「感覚でやっているなかでも、どこを意識しているのかなと自分で考えること。でも、困っていなければ考えなくてもいいし、考えすぎるとおかしくなる」(松山)

――22年の秋頃から、スウィングを180度変えたという片岡。スウィングの本質的なものを理解しながら、「7番アイアンのハーフショット」を練習し続け、基礎が大事だとわかったという。その変化を松山は見逃していなかった。

片岡 実は僕は、ショットについて聞きたいんです。技術は直接見たりして学びたいんですけど、松山さんが打つときにどういう意識でやっているのか知りたいです。

松山 ショット? でもスウィングめっちゃ変えたよね。

片岡 わかりますか。めっちゃ変えました。でもやっぱり気持ちの部分が大きいと思うので。

松山 「曲がるな!」と思ったら大丈夫。

片岡 はははは……根性論なんですか(笑)。

松山 根性論でしょう、最後は。理論的にはいろいろあるけどね。

片岡 僕的には、いい感覚でこういうスウィングだったら真っすぐ行くなあと、結構スウィング主体で考える感じなんですけど、そういう意識はありますか?

松山 基本的にはそっち。でも、こういう感覚で打てば真っすぐ飛ぶというものがあったら、皆、真っすぐ飛ぶからね。

片岡 そうですね。

松山 それは消えるわけだから。

片岡 消えますね。

松山 その消えるものっていうのは、基本的に使えないと思ってしまうから。その場その場ではあるけどね。それで僕は、消えないものを探そうとしている。実は消えちゃった人なんだよ。学生のときにあったものがなくなって、PGAに行って、やっぱり苦労している。今でもそれが見つからないし、その場に合ったものを、寄せ集めじゃないけど、このときのこれがよかったというものを集めてやっているだけだから。

片岡 消えないものはどうやって探すんですか?

松山 練習しかないでしょう。

片岡 そうですね、はい。

松山 そしてやっぱり、自分はどういうところで消えるのか、なども考えなければいけない。その日の体調によって消えることもあるし。

片岡 ああ……。

松山 一概には言えないけど、自分がこういう感覚で打ったら真っすぐ飛ぶ、いい球筋が打てるというところを認識したうえで、感覚が消えたとき、たとえば初日はすごくあったけど2日目はティーショットをスタートする前に消えていたりしたとき、どこかを変化させないと、消えたものが出てこない。

片岡 はい。

松山 変化させるときは、同じような意識だけど、少し違うものを加えてみようとか……。

片岡 少しアレンジして、昨日の感覚に近づけていく感じ。

松山 そうそう。違うことを意識してアレンジして、その日を乗り切ったら、終わったあとにもう1回、初日の感覚を思い出すような練習をして、それで戻らなかったら、またその次の日に備えなければいけない。備えるために、また1回忘れて、その日やったことに対して何を付け加えたらつながるかということを考えていく。そうすれば徐々に、いろいろ違う感覚ではあるけど真っすぐ飛ぶという感覚が出てくるわけだから。

片岡 はい。

松山 それは意識しているかな。

片岡 すごいです。松山さん、こんなに勝っていても、学生時代の感覚が消えたということが意外ですし、だから探し続けていることがもっとすごいです。日々練習しているのはそのためなんですね。

松山 ゴルフって答えがないわけだから。

片岡 答え、ないですよね。

感覚は消えるし、だから確かなものを探し続けているという松山。「松山さんも同じような感覚があると知れたのは大きい。あのレベルでも昨日よかったのに今日はないもの(感覚)があることがわかったのはよかったです」(片岡)

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  • 昨年日本オープンを制し、今年初めてマスターズに挑戦する片岡尚之。2021年のマスターズチャンピオンにして東北福祉大の先輩・松山英樹に、マスターズの心得を引き続き聞いていく。 PHOTO/Takanori Miki、Tadashi Anezaki、Yoshihiro Iwamoto 松山英樹 まつやま・ひでき。92年生まれ、愛媛県出身。13年プロ入り、14年から戦うPGAツアー……

週刊ゴルフダイジェスト2026年2月3日号より