【インタビュー】リランキングで躍進! 田辺ひかり「短く握るのはジュニア時代の名残です」
PHOTO/Yujiro Kawatani、Tadashi Anezaki
「ワールドレディス・サロンパスカップ」後にノーシード選手の出場優先順位の入れ替え=リランキングが行われ、5位に躍進した田辺ひかり。1~4位は優勝者のため、未勝利選手では堂々の最上位となった田辺に話を聞いた。
オフに取り組んだ
パッティングの成果が出ている
GD リランキングで一気にジャンプアップしましたね。
田辺 QTランク46位で昨年から本格的にレギュラーツアーに参戦しましたが、コロナの影響で海外選手が出場できなかったこともあり、昨年はほとんどの試合に出られました。今回のリランキングで5位に入れたことは嬉しいですし、この制度があって正直ありがたいという気持ちです。ただ、立場が違っていたら、たとえばQTランクが上位であったなら(順位を落としたくないという)相当なプレッシャーがかかっていたと思うので、違った結果になっていたかもしれないです。そう考えるとリランキング自体は厳しい制度ともいえるのかもしれませんね。
GD 昨年は日本女子プロ選手権で2位タイに入り、今年もその好調を維持できていますね。
田辺 今年に入ってのプレーを考えると、自分でもよく頑張っているかなって思います。開幕戦(ダイキンオーキッドレディス)で3位に入れましたから。いい感じでラウンドできているのですが、その翌週になると予選落ちとか、調子を崩すことは多かったです。だからリランキングはクリアできましたけど、まだまだ安心できないというか、悩んでいるほどではないですけど、気を引き締めていかないと、とは思っています。
GD 好調の理由を自分ではどう分析していますか?
田辺 もともとショットでスコアを作っていくタイプなのですが、今年はアプローチとパットに助けられています。オフに集中して練習をした効果もありますが、とくにパットのフィーリングはよくなっています。外したときの気持ちの持ち方も、以前は1メートルを外すと次のパットが怖いって思うこともありましたが、今年は外しても気持ちを切り替えられる感じです。キャディさんにもパット上手いって言われるんですけど、少しずつ自信がついてきたのかなって思います。実際、バーディパットが決まる率も高まっています。以前はスライスラインで右に外れることが多く、つかまえるパットを練習したことも大きいかもしれません。以前よりもつかまえて打てている気がします。
GD 田辺選手といえば、かなりクラブを短く持つのがトレードマークになっています。
田辺 ジュニアの頃、長いクラブを持たされていて、それを短く持っていたのがきっかけだと思います。その名残というか、ずっと短く持ってきたので、今さら変える気はありません。実は飛距離アップを狙って、これまでに2回くらい長く持つことも試したのですが、全然しっくりこなくて、すぐ止めてしまいました。
「気を張りすぎず
ゆっくり前に進んでいきたい」
GD ツアーでは黄金世代やプラチナ世代の選手が活躍していますが、どう見ていますか?
田辺 それほど歳は離れていませんから、今活躍している黄金世代、プラチナ世代は知っている選手も多い。正直にいえば、みんな上手いですね。ナショナルチームの子も多く、マネジメントや考え方などプレーの中身もしっかりしていて、あのくらいのゴルフをしないと勝てないのだろうなって思います。
GD 今後の目標は?
田辺 目標はメジャー優勝ですが、まずは1勝を挙げること。そのためには技術うんぬんより、気持ちのコントロールやマネジメントなど、メンタルの部分をしっかり築いていきたいです。昨年からレギュラーに出始めたので、まだまだツアールーキーですから、あらゆる面で経験不足というか、焦って空回りするみたいなところがあって、昨年の日本女子プロや今年のダイキンのように調子がよかった大会の翌週は調子が悪いというのも、それが原因かなと思うんです。気持ち的にがっかりしてしまって、よくない流れになることも多いんです。だから気を張りすぎないよう、ゆっくりでもいいから前に進んでいきたいです。たくさん優勝争いを経験し、気持ちの面で強くなる。そうすれば優勝もできるかなって思います。(コーチの)佐伯(三貴)さんに相談することも多いのですが、そのたびに「絶対に勝てるから焦ってはダメ」と言われています。試合に対する考え方、マネジメント、心の余裕など、メンタルを安定させることが今の課題ですね。
週刊ゴルフダイジェスト2021年6月1日号より