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上級者向けイメージの「LS」(ロースピン)ドライバー 実は一般ゴルファーにもオススメだった! 厳選8モデルを試打

現在、ドライバーには「LS」(ロースピン)タイプがラインナップされているモデルも少なくないが、ヘッドスピードが速い飛ばし屋が使うイメージが強い。しかし近年、女子プロの間でも使用者が増えつつある。では、我々アマチュアにとってはどうなのか? 「LS」タイプ8モデルを打って確かめた。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/クレアゴルフフィールド

解説/堀越良和

豊富な試打経験に裏打ちされた知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発に携わる、“キング・オブ・試打”。クレアゴルフフィールド所属

アマチュアでも
武器になる可能性がある

パワーヒッターが使うドライバーとしてのイメージが定着している「LS(ロースピン)」モデルだが、近年、国内の女子プロの使用者も増えている。果たして、アマチュアゴルファーにも親和性のあるクラブなのか? 堀越良和プロによると

「LSモデルのドライバーの特徴として、ノーマルモデルに比べて、ヘッドが小さい傾向にあります。ヘッドを小さくすることで、重心が浅くなるので、スピンを減らすことができるのがその理由です。重心が浅くなることで、ボール初速も速くなりやすいです。続いて、近年のドライバーではフックフェース、いわゆる“つかまり顔”のモデルが多いですが、LSモデルはそれに比べオープンフェースである点も特徴です。また、ヘッドが小さいことが影響して、空気抵抗が小さく、振り抜きやすいという点もLSモデルの特徴です」

では、アマチュアゴルファーにもLSモデルは使いこなせるのか?

「PGAツアーや国内男子の選手が多く使うLSモデルですが、ヘッドスピードが速い“ハードヒッター”に向いているというイメージが先行し、アマチュアゴルファーには不向きという風潮があります。しかし、アマチュアゴルファーにもLSモデルがフィットする要素はあります。

まず、構えた時の顔ですが、長くゴルフをやっていると近年の大型化したヘッドに違和感を拭いきれないゴルファーも多いと思います。そんな方にはLSモデルの投影面積が小さいヘッド形状は、すっきりした顔立ちでしっくりくる可能性は高いです。加えて、つかまり顔の傾向が強い近年のドライバーヘッドに対しても、LSモデルのフェースアングルはややオープンめになっていて、構えやすいです。

また、アマチュアゴルファーは、ヘッドのカット軌道が強くなりスピンが多くなってしまうことで、スライスになってしまい飛距離が思うように出ない人も多いと思います。LSモデルは単純にスピン量が少なくなるので、スピン過多でお悩みのゴルファーにもオススメですね」


「近年のLSモデルは、かつてのモデルに比べてヘッド体積が大きくなっています。体積が大きくなることで、重心は深くなりますので、球が上がりやすいです。近年、国内の女子プロもチョイスする選手が増えているのも、納得できます。ボール初速と寛容性が両立したLSモデルはアマチュアにも手が届きやすくなっています」

アマチュアにもLSモデルをオススメする5つの理由>
①ヘッドが小さく顔がすっきりしている
大型化している近年のドライバーヘッドだが、LSモデルは軒並み投影面積が小さく、すっきりした顔立ちで構えやすい
②“つかまり顔”じゃないので構えやすい
ノーマルモデルに比べ、フェースアングルがやや右に向いたオープンフェースになっていることで目標方向に向かって構えやすい
③空気抵抗が小さく振り抜きやすい
ヘッドサイズが小さいことで、スウィングの際の空気抵抗が少なくなり、振り抜きやすくなる。ヘッドスピードの向上が期待できる
重心が浅いので、ボール初速が出やすい
ヘッドのフェース寄りに重心があることで、ボールをヒットする際に分厚くヒットすることができ、ボール初速も速くなりやすい
スピン量が多い人は適正になる
カット軌道でスピンが多くなりがちなゴルファーにとっては、スピンが減り、適正値になることで飛距離アップが期待できる

“初速が出やすい”4モデル

<計測方法>
ヘッドスピード42m/sで試打を実施し、トラックマンで計測。各モデル5球の平均値をとった。シャフトは60g台のフレックス「S」で統一

「今回8本のLSモデル試打をしましたが、大きく分けて『初速が出やすいモデル』と『つかまりやすいモデル』に分類されて、それぞれで特色があり打っていて面白かったです。

まずは、キャロウェイの『エリート♦♦♦』。構えても、いい意味でクセがないヘッド形状で、据わりもよい。実際に打ってみたら、非常に振り抜きやすくて、初速も出て、しっかり球も上がってくれました。構えやすく振り抜きやすい、強いボールも出る、バランスが取れたLSモデルです。


続いて、テーラーメイドの『Qi35 LS』。ヘッド体積は460㏄ですが、それを感じにくいすっきりした顔立ちで構えやすい。力強い球が出ながら、つかまりがいいのも素晴らしいですね」

今回、試打したなかで一番ヘッド体積が小さいタイトリストの「GT4」と斬新な機能を搭載しているコブラの「DSアダプト LS」はどうだったか。

「『GT4』はシャープな顔つきにディープフェース。今回試打したなかで一番LSモデルらしいクラブですね。他と比べて、0.5度ロフトが立っている影響も少しあると思いますが、明らかに強い球が出ます。適度にスピンも入るので、球も上がるし、実戦的なLSモデルに仕上がってますね。

『DSアダプト LS』も特色がはっきりしたモデルで、今回試打をしたクラブのなかでスピン量が最も少なかったです。今回10.5度のヘッドで試打しましたが、軒並み2000回転前後。ドライバーのスピン量が多くて悩んでいるゴルファーには、フィットしそうなモデルですね。顔立ちがスッキリしていて構えやすいです」

キャロウェイ
「エリート◆◆◆」

「構えやすくて、振り抜きやすい」
マットなクラウン部分が構えやすさを引き出し、クラブを置いた時の据わりもよい。振り抜きやすく強い初速が出る一方で、打点ブレにも強く、少々芯を外しても飛距離ロスと方向性のバラつきが少ない、バランス型LSモデル

テーラーメイド
「Qi35 LS」

「初速とつかまりが両立したモデル」
今回試打したクラブのなかでライ角が最もフラットな54度だが、ボール初速が出ながら球のつかまりがよいのが特徴。ヘッド体積は460ccだが、振り抜きも良く、カーボンフェースから繰り出されるボール初速は今作も健在だ

タイトリスト
「GT4」

「小ぶりなヘッドで強い球が出ます」
今回試打したなかで最もヘッド体積が小さくディープフェースなモデル。ボール初速、キャリー、総飛距離において最も優れた数値だった。小さなヘッドで見た目は一見難しそうだが、ミスヒットにも強く、安定感もある

コブラ
「DSアダプト LS」

「最もロースピンなモデルでした」
今回試打したなかで最もスピン量が少なかった。弾きの強い打感で、低スピンの強い球を繰り出す。ヘッドはシャープで構えやすい。今回10.5度のロフトで試打したが、9度の場合、重心位置がさらにフェース寄りになり、さらに強弾道になる

フェース寄りのウェイト位置をチェック

LSモデルの中でも、初速に特化したモデルなのか寛容性が高いモデルなのかを見分けるポイントがあると堀越プロ。「おしなべて、LSモデルはソールのフェース寄りにウェイトがありますが、よりフェース寄りにウェイトがあるモデルは初速が出やすく、後方にあるモデルは比較的やさしく球が上がりやすくなっています」

“つかまりのいい”4モデル

続いて、LSモデルのなかでもつかまりのよかった4本を紹介しよう。

「キャロウェイの『エリート♦♦♦ TD』はドローバイアスのモデルにもかかわらず、フェースアングルが左に向いておらず、♦♦♦同様に構えやすいです。ただ、打ってみたら違いがはっきりしていて、ドローボールが出やすいモデルになっています。

ブリヂストンの『BX1 LS』はヘッドを置いて構えてみると、丸型のヘッドでスッキリしているので構えやすいです。弾くような打感で、ある程度ボール初速も出てくれますが、つかまりもよく、打っていて心地よかったです」

女子プロも多く使用するスリクソン「ZXi LS」と発売当初から人気のピン「G440 LST」も打ってみた。

「スリクソンの『ZXi LS』は、LSモデルでありながら難しすぎない安心感があるヘッドです。打ってみても、球が上がりやすくて、つかまりも良い。突出していたのが方向性。比較的スピンも入るので、初めてLSモデルに挑戦するゴルファーにはおすすめのモデルかもしれないですね。

ピンの『G440 LST』も、LSモデルとしてはやさしいモデルです。特に前作から比べると、非常にやさしくなった印象です。構えやすさがありながら、球も上がりやすくて、つかまりやすい。LSモデルを使ってみたいが、球が上がるか心配な方にはぜひともおすすめしたいモデルですね」

堀越プロからの総評として。

「全体的にLSモデルはつかまりやすさを感じました。近年の大型ヘッドで、右プッシュなどつかまえるのに苦労してる人はつかまりやすいLSモデルへの変更もいいかもしれないですね」

キャロウェイ
「エリート♦♦♦ TD」

「ドローバイアスだけど、構えやすい」
「エリート♦♦♦」の形状や構えやすさの系譜を引き継ぎながら、ドローが出やすいLSモデル。通常の「♦♦♦」と比べ、つかまりと球の上がりやすさはこちらに分があり、それらの要素を心配する人にはおすすめのモデルだ

ブリヂストン
「BX1 LS」

「弾いた打感でつかまった強い球が出ます」
洗練されたスッキリした丸顔ヘッドが構えやすい。また、弾き感の強い打感から強い球が出る。つかまった球が出やすいが、つかまり過ぎて左のミスを恐れるほどでもない。オフセンターヒットにも強い

スリクソン
「ZXi LS」

「つかまりがよく方向性が抜群です」
460ccには見えないシャープなヘッド形状。つかまえやすくて、球も上がりやすく、“程よく”スピンが入り、LSモデルでは寛容性が高い。加えて、方向性にも優れる。松山英樹をはじめ、多くの女子プロも使用する

ピン
「G440 LST」

「つかまり、球の上がりやすさ◎」
LSモデルの中では比較的スピンが入りやすく、球も上がりやすくて、つかまった球が打ちやすい。シリーズで引き継ぐ顔の良さはそのままに、今作から10cc大きくなったヘッドで寛容性もプラスアルファされた

「初めて買う人は10.5度をオススメします」

「LSモデルの購入を検討している方には、まずロフト10.5度のヘッドをおすすめします。9度の場合、球が上がりにくく、ある程度のヘッドスピードを要します。LSモデルの要素を引き出すためにも、最初は10.5度を購入し、それでも弾道が高すぎるなどの場合は、必要に応じてロフト調整して立てるなどしたらいいでしょう」

週刊ゴルフダイジェスト2025年11月25日号より