【ゴルフの急所】Vol.57 いつも叩いてしまう! “苦手なホール”を克服する方法は?
寺西明「ゴルフの急所」
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部

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- 30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。 PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/美奈木ゴルフ倶楽部 >>前回のお話はこちら 近年……
私は、いつも同じホールでティーショットをミスしてしまいます。寺西プロには、そういう苦手なホールというのはありますか? そういう苦手なホールを克服するにはどうしたらいいのか、アドバイスをお願いします。(多田健二さん・40歳・平均スコア100)
苦手という言葉は使わない!
まず、ボクには苦手なホールというものが、ありません。
もちろん、嫌だなぁと思うホールはあるし、ダボ、トリを叩くホールもあります。でも、そこでミスをしたら、ボクは同じミスを繰り返さないために、考え、練習し、それを克服します。だから、苦手という認識にならないのです。
さらに言えば、ボクは意図的に「苦手」という言葉を使わないようにしています。なぜなら、その言葉を口にすると、苦手をずっと苦手にしてしまうからです。
「苦手」という言葉には、「苦手だからミスをした」「苦手だからミスをしても仕方がない」という言い訳が隠れています。そうやって言い訳をして、闘う(克服する)ことから逃げているから、いつまで経っても苦手が苦手なままなのです。
どうせなら、苦手なホールほど「ここが一番得意なんだ」と言ってみてはいかがでしょうか? そうすれば、苦手なままではいられないから、闘う心構えができてきます。そのうえで、そのホールを克服する方法をよく考え、そのための練習をするのです。
では、具体的にどうするのか? まず、苦手なホールと言いつつも、実は苦手なクラブがあるだけだったりするものです。
たとえば、スライスに悩んでいる人の場合、右サイドがOBや池のホールを苦手にする傾向があります。それでも、必ず右に曲がるのであれば大きく左を向けばいいのですが、左を向くと今度は引っかけて左にOBを打ってしまう。だから、そのホールが苦手ということになるわけです。
この場合は、どんなときでも自信を持って打てる持ち球を身に付ける必要があります。スライスでもフックでもいいから、絶対に逆に曲がらない球。プレッシャーがかかった場面でも必ず打てる持ち球を身に付けるのです。
ただ、それはすぐに身に付くものではありません。その場合は、絶対にOBにならないクラブで打てばいいのです。ドライバーが不安ならフェアウェイウッド。それでダメならUT。それでもダメなら7IやPWで打つのです。
そんなのはカッコ悪い、笑われるという人がいますが、いいスコアで回りたいなら、スコアが悪いほうがずっとカッコ悪いはず。ティーショットはドライバーで打たなければいけないというルールはないのですから、堂々とレイアップすればいいのです。
嫌だ、怖いと感じたときほど、自分のできることだけをやることが大切です。人に何と言われようと、自分の決めたことを言葉に出してやり切る。そういう勇気のある人のほうがゴルフは上手くなると、ボクは思いますよ。
Point 1
絶対にOBにならないクラブを選択しよう!

「『ティーショットを刻んだら、パーが取れないから嫌だ』という人がいます。しかし、スクラッチプレーヤーならともかく、スコアが100前後の人であれば、パーが取れる確率はそれほど高くないはず。それならば、苦手なホールは初めからボギーでいいと考え、絶対にOBにならないクラブで打つ。そういうマネジメントができるようになると、ゴルフが上手くなると思いますよ」
Point 2
徹底的にレイアップ
ティーショットでOBや池、林が嫌な場合は、絶対にそこに打たないクラブで打つ。寺西プロも、パー4を3Iでティーショットをして、2打目を5Wで打ったり、5Iでティーショットをして、2打目で3Wを打ったりしたことがあるという

練習法①
ミスが出やすいホールの景色を思い浮かべる

ミスをしたホール、ミスが出やすいホールがあったら、練習場でもその景色を思い浮かべながら球を打つ。この場合、ティーショットを何番で打ってどこに置くのか。2打目を何番で打ってどこを狙うのか。具体的にイメージしながら一球、一球丁寧に打つことが大切
練習法②
持ち球を磨く

右に曲がる球でも、左に曲がる球でも構わないので、どんなときでも自信を持って打てる球を磨く。そういう球を作ることができれば、狭いホールも、OBやハザードのあるホールも、狙いどころを変えるだけでクリアできる
「苦手という言葉は使わない」
「ボクは、『パターが苦手だ』と言う後輩や教え子には、『パターが一番得意だと言え』とアドバイスしています。言霊という言葉がありますが、苦手だ、下手だと言っているうちは、決してパターは上手くならないからです。それは震えるほど怖いかもしれない。でも、そういうものを克服した先に、本物の強さがあります。それは、苦手ホールも同じではないでしょうか」

月刊ゴルフダイジェスト2025年12月号より


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