【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.38 バンカーは“もっと”開いていい
競技ゴルファータニシゲwith青木翔
元プロ野球選手の谷繁元信が「ベンちゃん」こと和田一浩と対決しながらさらなるスキルアップを目指すシーズン3。ベンちゃんこと和田一浩との3Hストローク勝負はドローに終わった。2人の勝負師・谷繁と和田は延長してでも決着をつけたいような雰囲気を醸し出していたが、時間の都合であえなく終了。今回は対決&レッスンで得た2人の“学び”をおさらいしていく。
PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/カレドニアンGC

青木翔 1983年福岡県生まれ。2019年渋野日向子を全英女子オープン優勝に導いたコーチ。2020年、「レッスン・オブ・ザ・イヤー」受賞。ジュニアから一般アマチュアまで幅広く指導。「六甲国際ゴルフアカデミー」校長
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- 元プロ野球選手の谷繁元信が「ベンちゃん」こと和田一浩と対決しながらさらなるスキルアップを目指すシーズン3。和田一浩の1打リードで迎えた対決3ホール目のパー5。青木翔のレッスンを受けること約2年の谷繁元信は、いつも通り鷹揚な雰囲気を漂わせながら実は“絶対に負けられない戦い”と胸に炎を燃やしていた。 PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/カレドニアンGC 谷……
凡ミスは忘れた頃に
やって来る
青木 今回の結果はドローとなりました。
谷繁 ベンちゃんは最後のOBがねえ。ただ打ち直しでほぼグリーンオンとなったのはすごかった。
和田 あれが、最初から出たら良かったんですけど……。まあ、ゴルフあるあるですね。でも、今日はとにかく学ぶことが多かったです。
谷繁 特に印象に残ったのは、どの部分?
和田 バンカーでのフェースの開き方は、「はっ」としました。
青木 和田さんに「フェースを開いて」と言ったんですが、和田さんのやり方はロフトを寝かせているだけでした。だから「もっと」と何度も言いましたよね。
谷繁 でも、ベンちゃんの気持ちはわかったな。俺も同じことをやらされたけど、あんなに開いて打つの怖かったもん。
和田 でも「こんなに?」というほど開いて打ったら、きれいにアウトしてピンに寄っていきました。クラブが刺さらないどころか地面に当たった感覚がほとんどなかった気がします。
青木 バウンスが効いていた証拠です。地面にドンと当たった感覚はなかったでしょうが、砂は爆発していました。
和田 バンカーでクラブが勝手に滑っていく感覚。あれは、初めてだったなあ。
谷繁 スポンジベンちゃんがどんどん学んでいくよ……。
和田 ガードバンカーで、ピンまでの距離は10ヤードぐらいかな。グリーン奥は池だし、距離は抑えたい。そんなときは、フェースを思いっ切り開く。自分が思っている“開く”の倍ぐらい開くイメージ。
青木 あとはフィニッシュ低めも意識して。
和田 それでもう1回打ってみたら、またまたピンに寄っていった。
谷繁 ティーショットでもそうだったけど、俺たち、わりと器用なもんだから、どうしても手元で調整しようとしてしまうんだよね。青木さんにはそれを徹底的に直されました。
和田 バンカーの距離感も力加減で出そうとしていましたが、フェースの開き加減で調整できるんですね。
谷繁 力加減で調整していては再現性は上がらないよね。青木さんに教わるまでは、そんな引き出し、そもそもないわけよ。野球では引き出し多かったほうなんだよ(笑)。でも、ゴルフの引き出しはまだまだ。
青木 例えば、バンカーならフェースの開き方に、ハンドダウンを組み合わせたり、ハンドアップを組み合わせたり……組み合わせ方で引き出しはもっともっと増やせます。
和田 バンカーショットではフェースの開き方をアドバイスされ、打ち方についてはフィニッシュについて言われただけ。ティーショットでも同じで、青木さんは、打つ時にヘッドをこの位置に、腕をこの位置に、とかは言わないんですよね。修正したのは、アドレス時の足の位置、手の位置。これならできるんですよ。
青木 どうしても左が嫌なら、フックの要素を消す。吊り気味に構えて、ボールに半歩近づく、というのもやりました。
和田 吊り打ち……新たな引き出しを今回作れました。
谷繁 それを適時に引き出せるかはまた別問題だけどね。人って忘れるからさあ……。野球の話になっちゃうけど、プロ入り8年目、大矢(明彦)さんが横浜の監督だった時代ね。一度、東京ドームでピッチャーにホームランを打たれてしまった。完全に油断していたんだよね。で、大矢さんにはゲンコツをもらいました(笑)。それでもう絶対に同じミスはしまいと思うんだけど……。
和田 思うんだけど……?
谷繁 しばらくすると忘れてしまって、またピッチャーにホームランを……。本業の野球ですらやっちゃってたからね。
和田 今回の勝負でも、1ホール目の3打目。谷繁さんが吊り打ちを使うかなと、青木さんと注目していたんですけど。
青木 左を避けたいシチュエーションだから、谷繁さんなら使うだろうと思っていました。
谷繁 それが……まんまと忘れてしまった。1、2打目がほぼ完璧なショットだったから、ちょっと油断が……。東京ドームのときみたいに出ちゃったよ。
和田 大矢さーん、谷繁さんがピッチャーにホームラン打たれましたよー。
青木 打たれてないです(笑)。でも、それぐらいの感じで気を引き締めていきましょう。

日没ギリギリまでグリーン上に残っていた2人。来週は、谷繁の「関東ミッドアマ」奮闘編
週刊ゴルフダイジェスト2025年11月11日号より
CS放送のGAORAでは「谷繁元信×青木翔の勝つゴルフノート」がオンエア中


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