元プロ野球選手の谷繁元信が青木翔とタッグを組み、日々、研鑽を積む本連載。シーズン3では、中日ドラゴンズ時代の盟友、“ベンちゃん”こと和田一浩が登場。「真剣勝負」のはずだったが、こちらも上達に貪欲な和田が青木翔を質問攻めにする展開に……。

PHOTO／Hiroyuki Okazawa　THANKS／カレドニアンGC

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  【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.34　特別ゲスト登場! つま先上がりから左へのミスを防ぐには?

  元プロ野球選手の谷繁元信が「日本ミッドアマチュアゴルフ選手権」出場を目指し、プロコーチの青木翔とともに奮闘してきた連載のシーズン3がスタート。今回は特別ゲストとして元チームメイトの和田一浩が登場! PHOTO／Hiroyuki Okazawa　THANKS／カレドニアンGC 谷繁元信　1970年広島県生まれ。1988年のドラフト1位で横浜大洋ホエールズに入団。2002年、中日……

“記憶の鬼”谷繁でも……
忘却するのがゴルフ

谷繁　ちょっと青木さん、ベンちゃんへのレッスンが長いんじゃないの?

青木　熱心な生徒さんなのでつい……（笑）。でも、谷繁さんは1打目、2打目、共にナイスショットでした。

谷繁　年明けにシャフト交換をしたじゃない?　それが、しっくりきだしたのよ。これまでは「クラブをしならせよう」という意識が働いて、スウィング中余計な動きをしていたんだけど、今はそれがなくなりました。道具に仕事をさせるってこういうことなのかとわかってきたんです。

青木　シャフトってほんとに大事なんですよ。そして、慣れるまで時間がかかる。半年余りが過ぎて、ようやくかみ合ってきたようですね。良かったです。

和田　一方で僕の3打目、また引っかかっちゃいましたよ。どうして、青木さん?

青木　フライヤーしちゃいましたね。ラフの球を「沈んでいる」と判断して、クラブを厚く入れたので引っかかっちゃったんですが、まずライをもう少し慎重に判断してほしかった。ラフで球は浮いていたんですよ。

和田　後で指摘されてわかりましたが、沈んでいるように見えたんです。

青木　夏ラフあるあるですよね。ボールがちょっと浮いているうえ、今回は、つま先上がりの左足上がり。つかまりやすい要素が重なっていたので、2打目の際に伝授した“吊り打ち”が使えたんですよ。

和田　ハンドダウンせず、吊り気味に構えてボールにやや近づいて打つ、でしたね。あー、ここでも使えたんだー。

谷繁　どこでどの引き出しを開けるか、だよね。野球ではそれができていたのに、ゴルフではそうはいかない。俺の3打目もまさしく、左を避けたいシチュエーションだったから吊り打ちが使えたのに、忘れてたー!

和田　ゴルフって本当に忘却のスポーツですよね。

谷繁　結果、2メートル余りのパーパットを残してしまって、しかもそれを外してボギー。

和田　僕も1メートル強のパーパットを外してしまって同じくボギー。

谷繁　泥仕合の様相だよ、まずいな。自分の反省点は3打目です。1打目、2打目はほぼ完璧でイメージ通りだったんだけど、3打目で吊り打ちするのを忘れてしまった。この一点のミスでボギーに転落。

青木　谷繁さんは3打目がすべてでしたね。2段グリーンの下の段からでは、パットの名手谷繁さんでもさすがに厳しい。

1、2打目がうまくいき過ぎ、3打目で油断が。吊り打ちを忘れていた谷繁の構え（左）と青木に指導され、修正した構え（右）

和田　僕は逆に1打目、2打目とも良くなかったんですが、グリーン上でチャンスが来たのに、決められなかった。「フックするかな」と読んだものの、「どうかな」という迷いもあり、迷ったまま打ったら全然ヒットしませんでした。もらったチャンスを決め切れない展開で勝てるわけないです。

青木　確かに、自分で作ったラインに打っているように見えましたね。

谷繁　ベンちゃんのこのシーン、よく見ます。

青木　野球ではヤマを張って打つことはよくあったと思いますが……。

和田　自分でラインを作っちゃダメですね。

谷繁　天才・和田一浩の苦悩。

和田　天才は言い過ぎですよ。

谷繁　いやいや、プロ野球で大学、社会人を経て通算2000本安打をマークしているのってベンちゃんを含めて4人しかいないんです。古田（敦也）さん、宮本慎也、現役の大島（洋平）。ベンちゃんはもともとキャッチャーだったんですけど、外野手に転向して、初めて規定打席に達したのがなんと30歳のとき。それで2000本安打を達成したのが42歳だもんね。

和田　42歳11カ月だから、ほぼ43歳。

青木　そのときの監督が谷繁さん?　

谷繁　監督兼選手ですね。ベンちゃんが2000本安打を達成したときのことはよく覚えていますよ。42歳11カ月での達成は最年長記録ですが、それまでの記録を持っていたのは俺だもん。42歳5カ月。

和田　記録を達成した後、谷繁さんに高級時計をプレゼントしていただきました。シリアルナンバー入りの限定モデルだったんですが、そのナンバーが「5」で。僕の背番号だから、わーって思って。

谷繁　もちろん5番を選んだんだよ!

和田　やっぱりそうでしたか。ありがとうございます!

青木　おお、今、明かされる球界秘話。次回は、和田さんの絶対的なお悩み「絶対に右に行きたくないとき」をやります。

谷繁　えー、「絶対に左に行きたくないとき」をやったばっかりじゃん（笑）。

週刊ゴルフダイジェスト2025年10月21日号より

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