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“反力先生”クォン教授が男子プロのスウィングを分析「バックスウィングのスピードを上げればもっと飛ばせます」

下部ツアー1勝の伊藤有志プロが、地面反力研究の第一人者であるクォン教授のスウィング解析を受けた。クォン教授が指摘した飛距離アップのポイントとは?

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/ネクストベース・アスリートラボ

クォン教授 バイオメカニクスの権威でゴルフにおける地面反力研究の第一人者。テキサス女子大教授

伊藤有志 1994年生まれ。下部ツアー1勝。ショットの安定性は高いがもっと飛距離が欲しい30歳

ポイントは
バックスウィングのスピード

伊藤プロのスウィングデータを見たクォン教授は、スウィングプレーンや安定性は高く評価したものの、「バックスウィングがゆっくりで慎重すぎる」と評した。

バックスウィングで地面反力を使えていないため、スムーズな運動連鎖を損ない、手首の動きやリリースにも悪影響を及ぼしているというのだ。

クォン教授は、その元凶がバックスウィングの速度が遅いことにあると指摘。骨盤を横に回しつつ手でクラブを上げているので、もっと右足で地面を押した反力を使って骨盤を右上に切り上げるようにバックスウィングすべきだという。これによってバックスウィングとダウンスウィングが一体化し、運動連鎖の向上が期待できる。


また切り返しの後に沈み込むように踏み込む動作が強い点も改善の余地ありだという。切り返しの後は、踏ん張ることよりも「抜重」によってスピーディに体の回転を促すことが重要。伊藤プロは踏み込みすぎることで骨盤の動きが阻害されていたというのだ。

「バックスウィングをこんなに速く上げていいなんて驚きです。『抜重』の感覚もつかめて、新たな発見がありました!」(伊藤プロ)

伊藤有志の1Wスウィング

「“ちょっと”の改善でまだまだ飛距離は伸びますよ」(クォン教授)

POINT 1
骨盤を切り上げてバックスウィングを速く

右足を踏んだ反力で骨盤を右上に切り上げるように一気に回し、その勢いでスピーディにバックスウィングすると運動連鎖が整う

写真と比べてバックスウィングで右足で地面を押せておらず反力が弱いので、腰を回したり手を上げるという動きでバックスウィングしている

アマチュアこそもっとバックスウィングを速く!

バックスウィングが遅いのはアマチュアにも多い問題。右足を踏む反動で骨盤を切り上げ、トップまで一気に速く上げることが大事だ

POINT 2
沈み込もうとせずにシンプルに抜重しよう

切り返しで沈むように踏み込むよりも、一瞬で踏んだ力を上方向に解放し(抜重)、骨盤を切り上げていくほうが地面反力が使える

踏み込む力は強いがそれを解放する抜重が遅く、弱いため地面反力が大きくならず、上手く回転のエネルギーに生かせていない

「ロープ素振り」が有効!

クォン教授お手製のロープを連続で振る練習が有効。ステップしながらロープが体に巻き付くように振るのがポイントだ

<取材後記>
踏み込みよりも抜重が大事だったんだ!

「地面反力を生かすには、グッと踏むことよりも、地面を押した力を上に解放する『抜重』が大事だったんですね。バックスウィングの速度も上げていこうと思います」

月刊ゴルフダイジェスト2025年11月号より