ティーショットでも「お先」はアリ? 稲見萌寧が試合中に「レディーゴルフ」を実践
プレー進行を早めるために規則書にも盛り込まれた「レディーゴルフ」(準備ができた者から打つ)がプロの試合においても実践されている様子がテレビ中継で映し出された。
稲見萌寧が今季5勝目を飾ったフジサンケイレディスの最終日。4番ホールと10番ホールでオナーである申ジエより先に稲見がティーショットを放った。
このときの様子を稲見のコーチでキャディも務めた奥嶋誠昭氏は「3番で先にグリーンを終えた稲見がティーグラウンドに上がろうとしたとき、競技委員から『何かトラブルがあったの? 少し遅れているからペースアップしてください』というような要請を受けました。そこで、すでに準備の整っていた稲見がそのまま打ちました。10番も同じような状況でした」と話す。
2019年に改訂された「ゴルフ規則6.4 ホールをプレーするときのプレーの順番」に「6.4b(2) 安全を間違いなく確保できる方法で違う順番でプレーする(レディーゴルフ)」の条項がある。そして、この方法は「認められ、推奨される」とある。つまり、プレー進行を早めるために準備のできた者から打つことを推奨しているわけだ。ティーショットだけでなく2打目以降にも適用され、「遠球先打」の原則が絶対ではなくなっている。
ただしそこには「マジョリティ(大多数)が納得するような“間”、タイミングが必要で、すでに準備ができている者を押しのけてまで打つのはまた別の話」とは、USGA(全米ゴルフ協会)のルールコミッティー、川田太三氏。
プレーを早めるためのこれらのシーン、一般アマチュアが見習うきっかけにもなるので、テレビ中継でしっかり映した功績は意外なほど大きいかもしれない。
週刊ゴルフダイジェスト2021年5月25日号より