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【イザワの法則】Vol.58 「誰と回るか」はとても重要。いちばん回りづらい相手は…

ゴルフ仲間の中にも、馬が合うタイプと何となく反りが合わないタイプがいるはず。プロの試合では同伴競技者を選べないが、どうやって自分のプレーのリズムを保っているのだろうか?

TEXT/Daisei Sugawara ILLUST/Kenji Kitamura PHOTO/Hiroyuki Okazawa THANKS/福岡レイクサイドCC(PGM)

>>前回のお話はこちら

プレーが遅い人は
遅くなる理由が必ずある

プロアマの優勝スピーチの定番に、「今日は同伴競技者にも恵まれて……」というのがありますが、確かに「誰と回るか」というのは、試合でも遊びでも、ゴルフのすごく大事な要素という気はします。むしろ遊びのゴルフのほうが、もし同伴競技者とトラブルになったり、何かイヤな思いをしたとしたら、一日の「台無し感」は強いのかもしれません。

プロでもアマチュアでも、やっぱり一番困るのは「スロープレー」でしょう。スロープレーヤーは結局、何が遅いかというと、準備が遅いか、決断が遅いかの2パターンです。準備が遅いパターンはたとえば、セカンドショットの順番が「3番目」とか「4番目」なのに、自分の順番がきてからヤーデージブックを何度も見るようなケースですね。自分の前に打つ人がいたんだから、「その間にヤーデージなんていくらでも確認する時間はあったじゃないか」と言いたくもなりますが、大抵はそれをグッと我慢して、なぜか自分がストレスを溜めてしまうということも多いんじゃないでしょうか。 


決断が遅いパターンは、キャディと散々話し合って、いざアドレスに入ったと思ったら、急に思い直してクラブを替えるといったケースです。もちろん、1ラウンドに1回か2回くらいならそういうことは誰でもあるかもしれませんが、スロープレーヤーの場合は、これをほぼ毎回繰り返すのでタチが悪いです(笑)。

プロのトーナメントでは、前の組との間隔が空きすぎると、スロープレーの警告が入りますが、仮に「スローじゃないほう」の2人が頑張ってプレーを早めても、その稼いだ時間をスロープレーヤーが1人で使ってしまうので、結局あまり早くなりません。ただ、これにいちいち反応してしまうと、やっぱりこちらのリズムにも影響するので、私はショット音がするまではそのプレーヤーのほうをなるべく見ないで、キャディと他愛もない話をしたり、何か別のことを考えたりするようにしています。あまり「一緒に回るのが苦手なタイプ」というのはいないほうなのですが、それでも自分とプレーのリズムが似ている人のほうが「回りやすい」ことは確かです。 

その日のプレーの流れに
あらがわないこと

アマチュアに聞くと、同じ組に1人調子が悪い人がいて、それに影響されて自分のプレーもボロボロになったりすることがあるということなのですが、プロの場合はこれはほぼないと思います。リズムが崩れるとすれば、それはやっぱり自分のプレーが原因で、たとえば、ドライバーが曲がる>>ラフからハイブリッドで打ってグリーンに30Yくらい届かず>>アプローチもあまり寄らず>>パーパットが入るもナイスプレーの実感は湧かず、といったホールが続くとさすがに雰囲気が悪くなってきます。だからといって、流れを変えようと無理やりバーディを狙いにいっても、そういう日はうまくいかないことが多いですから、なるべく心を波立たせずに、流れに任せるのが一番という気はします。 

もうひとつ困るのが、あまりにもおしゃべりな人ですね。これはもう距離をとるのに限ります。たまたまボギーを打ったりしたら、ちょっと「怒ったフリ」をしてスタスタと次のホールへ……ということも時にはありますよ。

「同伴競技者の中で1人だけ調子が悪くても
それが原因で崩れることはない」

自分にできることしかやらない!

プロとキャディの関係は、基本的にプロがすべてひとりで決めるパターンと、ショットごとに2人で相談して決めるパターンに分かれる。伊澤プロは前者。相談して決めるタイプと比べ、決断にかかる時間が短くなるのでプレー進行も早くなるのが特徴

伊澤利光

1968年生まれ。神奈川県出身。学生時代から頭角を現し、プロ入りしてからは、プロも憧れる美しいスウィングの持ち主として活躍。2001年、2003年と2度の賞金王に輝く。また、2001年、マスターズで日本人最高位の4位入賞(当時)。現在はシニアツアーを中心に活躍中

月刊ゴルフダイジェスト2025年9月号より