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【スウィング研究】渋野日向子「軸を右に保ちながら球を強く押し込んでいく」

一昨年はフルシードから陥落したものの、米ツアー3年目となった昨年は、全米女子オープンで優勝した笹生優花に続く単独2位、全米女子プロ選手権でも7位タイに入るなど、大舞台での強さを発揮してシードに返り咲いた渋野日向子。ドライバーショットのスウィングを南秀樹プロに解説してもらった。

解説/南秀樹
PHOTO/Tadashi Anezaki

ふところが広くなって
動きがスムーズに!

まず、渋野選手の特徴が出ているのがバックスウィングです。始動からクラブを超ワイドに上げていきます。腕が長いこともありますが、手元位置の遠さは女子選手の中でもひときわ目立ちます。バックスウィングで左ひざを内側に動かしてトップの位置に入ります。クラブは低めのレイドオフの状態に見えますが、一昨年と比べれば高い位置に手とクラブが収まっています。


切り返しは、下半身を下に沈み込ませながらクラブを引っ張っています。この時に左手の甲を張るように掌屈させるところも特徴のひとつ。この動きによってクラブが下りて抜けていく空間、いわゆる“ふところ”が大きくなり、一時のような窮屈そうな印象が消えています。ハーフウェイダウンでの左ひざや手元の位置は理想的で、そこからシャロー軌道でボールを押し込んでいきます。ふところが広いことでフォローでも腕を上手く回旋させ、体を回転させることができています。

どちらかというと軸を右に保ったスウィングで、上半身の回転の上手さを感じます。前傾姿勢が最後まで保たれてボールを押し込んでいるところはさすがです。渋野選手の上半身と下半身の動かし方は、決して単純ではなく独特なのですが、それを上手くこなしています。

プレー上の魅力はセカンドショットでピンをデッドに狙っていけること。その点、アイアンはまだばらつきが見えるので、アイアンの“当て感”さえ戻ってくれば、19年の全英女子オープンを制した時のような強さが戻ってくると思います。

渋野日向子の1Wスウィング(正面)

渋野日向子の1Wスウィング(後方)

週刊ゴルフダイジェスト2025年1月28日号より