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【PGAツアーエキスプレス】Vol.42 ニコ・エチャバリア「コロンビアの家族に捧げる優勝」

ゴルフの最先端、PGAツアーの旬なネタをお届けする「PGAツアーエキスプレス」。第42回は、ZOZOチャンピオンシップで初優勝を挙げたニコ・エチャバリアについて。

PHOTO/Getty Images 取材/コーリー・ヨシムラ(PGAツアー アジア担当ディレクター)

Photo by Yong Teck Lim/Getty Images

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1勝目の経験が
2勝目を引き寄せた

日本で開催されたZOZOチャンピオンシップで優勝を果たしたコロンビアのニコ・エチャバリア。開催を控えた水曜日の夜、ガールフレンドのクラウディアとステーキを共にした。それは彼が今まで味わったことのない最高のステーキだったという。そして日曜日、2人は再び同じ店を訪れようとしていた。今度はPGAツアー2勝目を飾った“お祝い”だ。

コロンビアで生まれ、23年のプエルトリコオープンでPGAツアー初優勝を飾ったエチャバリアの2勝目への道は最後まで険しかった。

ジャスティン・トーマス、マックス・グレイサーマンとの争いになった最終日、トーマスはバックナインでパットが決まらず8ホール連続でパーが続く。最終ホールでバーディを奪い19アンダーでホールアウト。グレイサーマンは最終ホールでバーディを奪えずこちらも19アンダー。

「最後までいいゴルフができた。勝負どころで結果が出せなかったが、ニコは意地を見せ素晴らしいゴルフをした。彼が自らつかんだ勝利だ」(グレイサーマン)

エチャバリアは最終ホールで1メートルのパットを冷静に沈め、両手で力強いガッツポーズをした後、クラウディアを強く抱き締め喜びをかみ締めた。

「1日を通して接戦だったが楽しかった。最後まで誰が勝ってもおかしくない展開だったが、上がり3ホールでいいプレーができた。とても特別なことだ」とエチャバリアは話した。

大会最少スコア記録を更新しての優勝だったが、その要因は“プエルトリコでの優勝”だと言う。

「プエルトリコでの最終日にたくさんのことを経験したからこそ、今回は辛抱強く、冷静にプレーができた。今回のコースはとても難しく、厳しいホールが多かったが、過去の経験が生きて2人の素晴らしい選手を相手に勝ち切ることができた」

故郷であるコロンビアではくぎ付けになって応援を続けていた。電話で優勝を報告すると、涙をこらえ切れなかった。

「ずっと寝ずに応援を続けてくれた両親に優勝する姿を見せることができてよかった。この素晴らしいスポーツをプレーするきっかけを作ってくれた両親には感謝しかない。その気持ちを伝えることができたのはとても嬉しいし、喜びで胸がいっぱいになったよ」

大会直前にパターグリップをチェンジ

パッティングの調子が上がらなかったことから大会前の火曜日にグリップを替えた。その試みが見事、結果につながった

6年間のZOZOの歴史に幕

2019年に始まった“ZOZO”は今回で終わりを迎えた。19年にはタイガー、21年は松山英樹など、名選手の優勝で大会を盛り上げた

月刊ゴルフダイジェスト2025年1月号より