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【浦ゼミナール】Vol.57「クラブは14本」「1番手10Y」の常識を疑おう

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。今回は、クラブ個々の話から、14本を通したセッティングの話へ。「14本」「1番手10ヤード」という常識を疑えと浦さんは言う。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・池上で√d golf academyを主宰

キャディバッグに
14本入れる必要はない

――これまで個々のクラブの選び方についてお聞きしてきましたが、14本全体のセッティングってどう作っていけばいいのでしょうか?

 そもそも「14本」という枠で考えるのをやめたほうがいいですね。とくに100前後のスコアの人なら、14本なんて全然必要ありません。

――14本入れられるのに空けておくのは、もったいない感じがします。

 クラブをたくさん持っていても、悩んだり迷うだけで、普通のアマチュアにはメリットは小さいです。練習するにしても、たくさんの本数をあれこれなんとなく打っているよりも、少数に絞って練習して、そのクラブに自信を持ったほうがいい。コースでも、7番がいいか8番がいいか悩むより、得意なほうで自信を持って打ったほうが絶対にいい結果につながるんです。

――でもそれだとピッタリ打てない距離ばかりになりそうです。

 じゃあ7番150ヤード、8番140ヤードをいつもピッタリ打ち分けられているんですか? たとえばピンまで残り150ヤードだとして、ピン位置がグリーンセンターだったら、最近の大きい1グリーンなら140ヤードでも160ヤードでもグリーンオンです。150ヤードピッタリの番手を持っていたって、乗る確率なんて5割以下でしょう? まして、148ヤードのピンに「7番で少し抑えて……」なんて色気を出してつまらないミスをするくらいなら、最初から8番140ヤードでも、何なら6番160ヤードでも、迷わずに決め打ちしたほうがマシです。私はそもそも、「1番手10ヤード」で考えているアマチュアには、その距離の階段を疑ってかかれと言いたい。


――1番手10ヤードって変ですか?

 ヘッドスピード45m/sの人も、40m/sの人も38m/sの人も、みーんな「1番手10ヤード」の間隔でゴルフしていませんか? それ絶対におかしいでしょう? パワーのない人ならもっと間隔が詰まっているはずだし、上の番手も下の番手も全部同じ10ヤード刻みなんて、あり得ますか? そんな根拠のない距離の階段でたくさんのクラブを持つよりも、100前後の人なら、ドライバーの下に180ヤード打つ番手、あとはアイアンを3番手間隔くらいで2本。そしてウェッジの5本にパターを足した6本で十分。むしろそのほうがシンプルでスコアもまとまります。「180ヤード打つクラブ」は、2打目でもティーショットでも活躍しますし、アイアンは6番とPWがあれば、さっきの考え方ならどの距離が残ってもグリーンキャッチはできる。これで足りないと感じるレベルになったら、間の番手を増やしていけばいいんです。

「1番手10Y」って誰が決めたんですか?

誰もが基準にしている「1番手10ヤード」の間隔は幻想にすぎない。本当に上手くなるためには、この常識を疑い、各番手の正確な距離を知ることが不可欠。そしてこれを知れば、アイアンを全番手そろえることの無意味さがわかるはずだ

クラブの重量は
シャフトで管理する

――クラブセッティング全体を見たときに、そろえたり整えたりするべき要因はありますか?

 重さですね。長いクラブほど軽く、短いクラブほど重くなるような重さの階段がちゃんと整っていないと、振り心地がバラバラになってしまいます。厳密に言えばバランスや総重量も整えるべきかもしれませんが、キリがないので、とりあえずはシャフトの重さがちゃんとフローするようにしてください。14本で考えるなら、ドライバーのシャフトが50グラム台なら3Wは60グラム台、5Wは60~70グラム、7Wは80グラム台。アイアンは100グラム前後になるでしょう。5番アイアンが上手く打てないという人は5番だけ90グラム台にするというような手もあります。

クラブ重量の階段はシャフトの重さで作る

クラブセッティングにおいて、重量の階段が整っていることは絶対条件。重さのフローは、シャフトの重さで作るのがシンプルで簡単だ。長いクラブほど軽く、短いクラブほど重いことが大前提。苦手なクラブがある人はここにエラーがあるケースも多い。シャフトの選択肢は増えているが、まずは重さを正しく選ぶことが最重要ポイント。

――構えたときの「顔」はどう考えればいいでしょう。

 顔は好みもあるので難しいですが……そうですね、「ミスショットしたときに顔のせいにしないクラブ」ならいいんじゃないですかね(笑)。

――どういう意味ですか?

 「顔が気に入らない」っていうのは、上手くいかなかったときの言い訳です。そこで顔のせいにしちゃうとミスの原因をごまかして思考停止するので、そうならないように自分で「納得できる顔」のクラブを使ってください。

――顔の判断って、どこを見たらいいんでしょうか?

 本来、クラブの顔には機能が表れます。分厚いトップブレードは「ミスヒットに強いけどニブいよ」、グースネックは「球がつかまるよ」、長いネックは「重心が高くてスピンが入るよ」というように、「私はこういうクラブです」という主張が表れる。これを読み解けるようになると、自分が求める機能が備わっているかどうかを見極める目安になります。

――どうすれば読み解けますか?

 知識と経験ですね。これって書道に似ていて、ハネとかハライとかの細部がその文字にどういう意味を持たせるか、ある程度のルールというか共通認識が存在します。お手本のような「基準」になる形と、それらの「違い」を知れば、文字に与えられた意図を読み取れる。ゴルフクラブもある程度の「基準」を知って、それに対してヘッドが大きいのか小さいのか、グースが強いのか弱いのか、そういうことが読み取れるようになると「顔」の違いが理解できるようになるんです。とにかくたくさんのクラブを見て、試打する経験を積んでください。

クラブの機能はやはり顔に表れる

ミスに強いのかコントロール性が高いのか。球がつかまるのか左に行きにくいのか。顔を見ればある程度機能をイメージできる

月刊ゴルフダイジェスト2024年12月号より