【ゴルフの急所】Vol.45「パットは振り子」というけれど、打ち方に正解はあるの?
30歳からゴルフを始め、トップアマとして活躍したのち、49歳でプロ転向。会社経営の傍ら、2020年には日本シニアオープンを制するまでに至った異色プロ・寺西明が、自身が考える「ゴルフの急所」について、読者からの疑問に答える形で解説していく。
PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/美奈木GC
「パターは振り子のように打て」などと言われますが、本物の振り子のようにヘッドの重さだけでブランコのように動かしたほうがよいのでしょうか? 寺西プロの考えを聞かせてください(仲谷紘一さん・59歳・HC18)
これはもう、ひと言でいえば、「そんなことはない」という答えになります。
もちろん、パターを吊って構え、本物の振り子のようにヘッドの重さで左右にブラン、ブランと揺らして打っているプロはいます。また、フェースバランスのマレットパターなどは、そういう打ち方をすると、打点や動きのブレが少ないのも事実でしょう。
ただ、そういう打ち方だけが正しくて、そうしなくてはいけないのかと問われたら、「そんなことはない」のです。
有名なプロやコーチの理論を聞くと、その打ち方だけが正解に感じるかもしれません。しかし、大事なのは自分にとって一番動きやすい打ち方であること。自分の狙ったところに、イメージしたスピードで球を打ち出せる打ち方であることです。
そういう打ち方であるなら、誰かのセオリーと違っていても何の問題もない。むしろ、それこそが自分にとっての正解で、それを見つけることが上達につながるのですから、ひとつの理論に縛られないでほしいのです。
ここで、質問者の方にやってもらいたいのは、「ありとあらゆることを試す」という作業です。
パターを吊って、振り子のイメージでストロークする。手首を使ってパチンとタップ式で打つ。手首の動きを抑えて肩でストロークする。そうやって、様々な打ち方を試し、自分が一番動きやすい打ち方を探るのです。
打ち方だけではありません。もっと細かいところまで、何もかもを試してみてください。
たとえば、握る強さ、握り方、手首の使い方、スタンスの広さ、両足のつま先の向き、重心の位置、軸の作り方、テンポの速さやリズムなどなど。それらすべてを試し、一番タッチと方向性の出しやすい、自分に合った自分だけの打ち方を見つけるのです。
よく、「パットに型なし」と言われますが、プロでも打ち方は人それぞれです。ただ、パターの上手い人は間違いなく自分が気持ちよく打てる打ち方をしていて、他人の打ち方に左右されません。
いくら強いプロのマネが上手くできたとしても、それは所詮モノマネでしかない。自分が動きやすい自分オリジナルの打ち方を見つけ、それを貫ける人には、やはり敵わないのです。
ですから、みなさんも、まずはいろいろ試して、自分のオリジナルの打ち方を探る。これを試してみてください。
寺西プロの打ち方1
体重移動して手首も使う
寺西プロの打ち方2
ラインによってスタンスを変える
「ボクは、スライスラインとフックラインでスタンスを変えています。スライスのときには、両つま先をラインと直角にして、左足を少し後ろに引き、球を押し出さないようにしています。それに対して、フックラインは、スタンスはほぼスクエアですが、右つま先を開いて、球を引っかけないようにしているのです」
あらゆることを試してみよう
自分にとって一番気持ちのいい打ち方を見つけるには、ありとあらゆることを試すことが大切。練習場だけでなく、コースの中で試し、自分の狙ったところにイメージしたスピードで打ち出せる打ち方を見つけよう
<試すポイント>
●テンポ メトロノームなどを使い、自分の動きやすいテンポを探る
●リズム ワン・ツー、1・2・3など
●握る強さ 強めに握るのか、弱く握るのか(強く握りすぎるのは勧められない)
●手首の使い方 手首を固める、柔らかくしておく
●握り方 指で握るのか、手のひらで握るのか、どの指を意識して握るかなど
●軸の作り方 体の前側を支点にするのか、背中を支点にするのか
●スタンスの広さ 広めにする、狭める
●両足のつま先の向き ラインに直角にする、逆ハの字にする、左右で変える
●重心の位置 右足重心か、左足重心か
月刊ゴルフダイジェスト2024年12月号より