【競技ゴルファー・タニシゲ】Vol.18 打ち下ろしのパー3で引っかける理由は?
母校の石見智翠館高校が夏の甲子園の島根県予選の決勝で敗れるという悲しいニュースが入るが、谷繁はいつまでも気落ちはしていられない。「苦手」と断言するパー3でのレッスン開始。後輩たちの分も頼みます!
PHOTO/Tadashi Anezaki THANKS/立野クラシックGC
ストップ引っかけ!
打ち下ろしで目線を下げ過ぎない
谷繁 アプローチ苦手告白に続いて申し訳ないんだけど、僕、パー3も苦手なのよ。特に打ち下ろしがダメ。
青木 夏休みが終わる直前になって「実は宿題をしていない」と言い出す子どもみたいな雰囲気が漂いますが……。
谷繁 お母さん、手伝って……じゃなくて、教えて翔くん!
青木 パー3はちょっとのミスでダボになりますから、苦手にする気持ち、わかります。で、実際に打ち下ろしのパー3に来てみました。ああ、いかにも引っかけが出そうなシチュエーション。
谷繁 さすが察しがいいね(笑)。
青木 谷繁さんはもともとカット軌道でクラブが外から入りやすいので引っかけやすいうえに、打ち下ろしの場合、自分の立っている位置よりもピンが下にあるので、目線が自然と下がります。すると右肩が出やすくなり、ますます引っかけをしやすくなってしまう。
谷繁 確かにそうだ。
青木 簡単にできる対策として、まずは目線を下げないことです。地面をグッと高くするイメージでもいいし、ピンを長ーくするイメージでもいい。とにかく目線に気を付けてほしいです。
谷繁 それを意識して打ってみました。ピンが右サイドに切ってあるからフェード打ちの僕にとって、そこはラッキーシチュエーションでした。で、185ヤードを6番で少し抑え気味に打ってみました。で、出たね、いつものやつ。引っかけ。
青木 ミスショットでガッツポーズをする人を初めて見ましたよ(笑)。目線が下にならないようという意識は伝わってきましたが、まず、思いっきり左にティーアップしましたよね。
谷繁 で、左サイドは消したつもり。ミスをしてもなんとか花道へ……という思いがミスを呼んで……。
青木 左手首をこねる悪い打ち方出ちゃいました。
谷繁 ならばと今度は右にティーアップしてグリーン右サイドのピンを狙ってみたけれども。
青木 手前のバンカーが気になってオーバー。6番でしっかりピンにキャリーで運ぼうとしているのに、グリーン手前のバンカーを気にするのはナンセンスです。考えていることと体がバラバラになっちゃいました。
谷繁 意図とスウィングがちぐはぐ。手前のバンカーこそ意識から消すべきだったのに。
ティーアップの
初歩的ミス
青木 あと、もうひとつ、ティーアップの時点ですごく単純なミスが起きていました。
谷繁 え、何? ティーアップの位置じゃなくて?
青木 ティーアップ、高過ぎです。
谷繁 ウソー、いつもこんなものだけど。
青木 谷繁さん、正面に来て見てみてください。
谷繁 こんなもんじゃない?
青木 いえいえ、まだ高い。芝が伸びているから、構えたところから見るとちょうどよく見えちゃうんです。芝が伸びている所だったら芝より押し込むぐらいのイメージでいいぐらい。ティーアップの高さが揃っていないから打点も微妙に揃わないんですよ。
谷繁 それで青木さんにティーアップしてもらったら、びっくり。ディボット跡に沈んでいるみたいだった。
青木 いえいえ、それでも球は浮いていますから。
谷繁 で「ほんとにー?」と思いながら打ったら、本当にちょうど良かった。アプローチのときも同じような浮き芝の罠に引っかかったな、確か。野球では罠に引っかける側だったのに……。
青木 ピッチャーをリードするときですか?
谷繁 そうそう。何を隠そう僕のリードはあの故・野村克也さんに「続きの谷繁」と呼ばれて評価されていたんです。キャッチャーって普通、球種やコースをバラけさせるんですよ。「このコース投げたら、次はこっち。この球種を見せておいて別の球種で打ち取る」とか。それがセオリーですし。だけど僕は、打者がその球を狙っていないと思ったら同じ球種を続ける。一方で、投げ続けると思わせて続けない。そのスタイルを、野村さんから谷繁は「観察力と洞察力を駆使している」と評されて光栄でした。
青木 それがゴルフでは……。
谷繁 ティーアップが無意識にどんどん高くなるなんて初心者みたいなミスを……。芝が伸びているのに気付かないなんて……。
青木 しょ、初心に帰りましょうか。
谷繁 本番の関東ミッド予選まで1カ月切っていますけどね。わーはっはは。
青木 そんなドヤ顔をされましても(笑)。
谷繁 今、気付いて良かったということですよ。本番の関東ミッド予選は8月。芝も元気いっぱいかな。いや、暑すぎてぐったりしている可能性もある。観察力と洞察力を駆使します。
青木 次回はパー3でよくある風が巻いていて読みづらいシチュエーション対策、やります!
「ティーアップが高過ぎです」と青木に指摘され、低くした谷繁。「低すぎてムズムズする」と言いながら、打ってみたら「あれ、いい感じ」
週刊ゴルフダイジェスト2024年8月20・27日合併号より
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