Myゴルフダイジェスト

【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.198「生ショットのすごみ」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

前回のお話はこちら

男子のヨーロピアンツアー(DPワールドツアー)ではこの1年間ほどで、久常涼くん、星野陸也くん、中島啓太くん、桂川有人くんの4人の日本人の初優勝者が誕生しました。

アメリカの女子ツアーでは今年、笹生優花さんと古江彩佳さんがメジャー制覇しとります。PGAツアーでは松山英樹くんが今シーズン2勝を挙げ、しかもパリ五輪で銅メダルを獲得。

これだけ多くの日本人選手が海外で優勝をするようになったのは、ネットによってあらゆる情報が手に入りやすくなったからやという意見は多くありますね。確かに、松山くんはともかく、今、世界で活躍する選手は、世間でいうデジタルネイティブのZ世代とかぶります。


そら世界を知らないと世界では通用せんやろうし、その意味では、今はいろんな映像が即時に見られるわけやから全然違います。ただ、僕なんかの経験からすると、一番影響を受けたんは“生”のスウィングです。これは間違いない。もちろん、僕らの若い時代もニクラスやパーマーの映像はありました。白黒やけどね。そら何回も見ました。

でも、生でアーノルド・パーマーを見たときの感動には及びません。昔、日米対抗という試合があって、学生のときにバイトで練習場にいたらパーマーが来てね。えぐかったですよ。パーマーはもう50歳を超えてましたけど、そらものすごい球でした。ドライバーで260ヤードを低いライナーでいってね、最後にちょっと浮いて落ちるという。それを生で見たらね、ウワァ~! すごいなぁってなりますよ。当時はパーマーはもう全盛期ではなかったけれど、スウィングを間近で見て「コレが世界のスウィングなんや」って、速さや音を肌で感じるわけです。

あと、ゴルフがちょっとわかるようになってきてから見た(リー・)トレビノのショットね。ピンが右やったら左からスライス、左やったら右からフックで狙っていく。ああやってボール曲げてくるんやというプロの攻め方を目の前で見た感動です。

自分の目で見て肌で感じたものは一生残ります。お子さんにDVD買って見せるんもいいですが、プロの試合やショットを間近で生で見せてあげて肌で感じる感動を味わわせてあげたってください。

「プロのショット、間近で見たら、一生もんでっせ!」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年10月22日号より