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【浦ゼミナール】Vol.56「ウッドは試打せず買うなんてありえない!」

身長171cmで420Yという驚異の飛距離を誇る浦大輔が、スキルアップのコツを伝授する連載「解決! 浦ゼミナール」。FWは3番と5番、UTは2本、アイアンは6番から。先にそういう決め付けをしてクラブを選ぼうとするアマチュアは多いが、これは絶対NGだと浦さんは言う。

TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Hiroaki Arihara THANKS/√dゴルフアカデミー

前回のお話はこちら

浦大輔

浦大輔

うらだいすけ。身長171cmで420Y飛ばす飛ばし屋にして超理論派。東京・池上で√d golf academyを主宰

打ちたい距離が打てる
クラブを選ぶことが大事

――前回、FWとUTについてお聞きするつもりが、ずいぶん話がそれてしまいました。

 でも必要な話です。「自分が何番アイアンまで打てるのか」を知らずにFWやUTの構成は考えられませんからね。

――では今回改めて、FWやUT選びについて教えてください。まず基本的なことなんですが、番手構成はどうしたらいいでしょうか。3、5Wの下にUT1〜2本というのがオーソドックスだと思いますが、それをベースにしていいのでしょうか?

 その「番手の数字から考える」思考停止したやり方は絶対にやめてください。たとえばロフト15度の3Wって、タイガー・ウッズと同じスペックですよ? ホントにそれ、打てるんですか?

――その「打てる」は、アイアンの話と同じですね。

 はい。何となく3W、5W、4U、5Uって並べた結果、3Wと5Wの距離の差がないとか、それどころか逆転してしまっている人は多いですし、5Wと4Uの間や5Uと6番アイアンの間の飛距離が大きく離れてしまっているという人は多いと思います。ソールに書いてある番手が同じでも、モデルによって飛距離や弾道の特性はかなり違います。だから番手の数字をそろえればOKという発想は成立しないんです。私が教えている女子プロの平井亜実なんて、モデル違いの5UTが2本入っていますが、それで距離や弾道の打ち分けがちゃんとできています。


――では何を基準にすれば?

 打ってみるしかありません。実際に打って何ヤード飛んだかが基準です。ウッド類はとくに、試打せずに買うなんてあり得ません!

――試打してもどれがいいのか、よくわからないんですよね。

 いい悪いの判断なんて二の次です。単純に何ヤード飛んだかで考えることが先決。難しくて打てないとか自分に合わないモデルだったら飛距離が出ないし、室内の計測器でも明確に曲がったり当たらなかったりするので、一発でわかります。そのためにも、各番手で何ヤード打ちたいのかを決めてから試打に行ってください。ドライバーが230ヤードで6番アイアンが160ヤードだとしたら、その間の70ヤードを何本で埋めるか。試打してみて、「欲しい距離」が打てるクラブを買えばいいんです。番手の数字を先に決めて、そこに必要な距離を当てはめようとしたら、モデル選びからロフト調整、シャフト選びや長さの変更といったすごい手間が必要になりますよ。

最低3メーカーは試打をしてデータを見比べよう

FWやUT選びは、試打してちゃんと距離を計測することが大事。何から打っていいか迷うという人は、メーカーを絞って試してもいいが、1メーカーで完結させず、最低3メーカーは打って比較してみてほしいと浦さん。メーカーをそろえる必要はない。打ってよかったものを組み合わせよう

その距離をどんな弾道で
打ちたいかを考える

――番手選びの基本はわかりました。でも、たとえば180ヤード打てるFWとUTが両方ある場合や、6番アイアンと同じ距離を打てるUTがあるという場合などに、どっちを選べばいいのかという悩みもあります。

 そういうときは、距離の次の要素を考えます。その番手に何を求めるのか。どんな弾道を打ちたいのかというようなことです。大雑把に区分けするならば、重心深度が深くてヘッドも大きいFWは、球が上がりやすくソールはよく滑り、ミスヒットにも強いですが、その代わりラフなどでは抵抗が大きく抜けが悪い。アイアンはその逆で、高さは出にくいけれどラフからの抜けはいい。UTはその中間的な存在です。こういった要因の中から、自分に必要なものを選んでください。

――自分に必要な要因、ですか?

 たとえば、フェアウェイが狭く絞られ、密集したラフが長く伸びたトーナメントセッティングでスコアを出すことが求められるプロは、ラフからの抜けをかなり重視しますが、一般アマチュアの方で、ラフが深くてUTでは上手く打てないようなコースで頻繁にプレーする人は多くないと思います。そういう人にとって「ラフからの抜け」はあまり重要ではない。反対に、ヘッドスピードが遅くて球の高さが出にくい一般アマにとってはやさしく球が上がることは大きなメリットですが、ヘッドスピードが速くてロフトの立ったクラブでも高さとスピンが得られる男子プロにとって「球の上がりやすさ」はさほど重要な要素ではない。こういったことを考えれば、その距離を打つのにFWがいいのかUTがいいのか、はたまたアイアンがいいのかは自ずとハッキリしてきます。

――なるほど、そういうことを考えるんですね。でもその判断も難しそうです。

 いまや試打できる場所にはほぼ確実に弾道計測器があって、「打ち出し角」や「最高到達点」が出るじゃないですか。距離だけでなく、その辺のデータを見れば一発でわかります。ラフの抜けやすさは、フェースの長さを見ればいい。FW、UT選びなんて、これでできちゃうんです。カンタンなんですよ。

ヘッドサイズや重心が何に影響するのか考える

ヘッドの形状を見れば性能は一目瞭然。重心が深く低いものほど高い球が打ちやすく、ソールが広いものほどソールが滑ってダフリをカバーしてくれる。抜けや操作性がいいのは小さいヘッドだ

フェースの長さは
ラフからの抜けに大きく影響する

大きなヘッドはミスに強い反面、ラフからの抜けがよくない。フェース面の長さを見てみれば、芝から受ける抵抗は一目瞭然。男子プロが小ぶりヘッドのアイアンを好み、3、4番を入れる理由はここにある

月刊ゴルフダイジェスト2024年11月号より