【名手の名言】ジョン・ムーア=ブラバゾン「わが人生を顧みて、最も多くの歓喜と興奮を与えてくれたのはゴルフである」
レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回はゴルフをこよなく愛した英国の政治家、ジョン・ムーア=ブラバゾンの言葉を2つご紹介!
わが人生を顧みて
最も多くの歓喜と興奮を
与えてくれたのはゴルフである
ロード・ブラバゾン・オブ・タラ
ジョン・ムーア=ブラバゾンはゴルフを最も愛した英国の名門貴族の政治家だ。
「ゴルフはスポーツのエスペラント(人工言語)」が持論で、人種、言語、宗教、習慣まで超越して世界中の老若男女に愛されるのは共通の愉悦、話題が宿るためだろうと説いた。
「世界一の名手とダッファーが“互角”にプレーできる唯一のゲーム」と、ハンディキャップの貴重さを回顧録のなかで讃えている。
その回顧録を72歳で執筆しているのだが、その間にも1日3コース歩き、3ラウンドプレーしたと語っている。
運輸大臣など要職を歴任しているが、「R&Aキャプテンとプロゴルフ協会会長以上の名誉と誇りを得たことはない」と告白している。
これらのエピソード、さらに彼の“言葉”からもわかるように、英国発祥のボールゲーム――サッカー、ラグビー、テニスなど――は数多いが、ライフスポーツとなるとゴルフに圧倒的軍配があがるのである。
かかる名コースに砲弾をぶちこむとは
まさにレンブラントの名画に
泥を投げつけるのと同じだ
ロード・ブラバゾン・オブ・タラ
ブラバゾン卿は、1952年度のロイヤル&エンシェントGCのキャプテンであり、死去するまで英国ゴルフユニオンの会長であった。
そのブラバゾン卿が、第一次世界大戦中にスコットランドの名門コースのひとつ、ロイヤルセントジョージスGC(サンドウィッチコース)が、空軍の爆撃演習場に指定されたと知って、激怒した時の言葉が表題のそれだ。
当時、卿は運輸大臣だったが、すぐさま陸軍大臣に猛抗議して、ついに指令を撤回させてしまった。
戦争のさなか、軍隊の意向を変更させるとは、双方に“ゴルフクラブ”の重要性の認識がなければできない芸当。
ゴルフクラブとは英国にとって、単にプレーを楽しむ場というより、アイデンティティそのものなのであろう。
■ ジョン・ムーア=ブラバゾン(1884~1964)
英国・ロンドン生まれ。名門貴族の政治家。飛行機とゴルフをこよなく愛し、飛行機では英国の民間飛行機操縦免許第1号。ゴルフでは1952年度のロイヤル&エンシェントGCキャプテン。また生涯英国ゴルフユニオンの会長でもあった。ゴルフ雑誌にもしばしば登場するゴルフ評論家であり、自伝『ザ・ブラバゾン・ストーリー』には評論はじめ、ゴルフのエピソードがあちこちに開陳されている。