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【岡本綾子 ゴルフの、ほんとう】Vol.833「新世代の選手たちがもう少しだけ活躍する期間が長くなるとさらに見応えあるツアーになりますね」

米国人以外で初めて米女子ツアーの賞金女王となった日本女子ゴルフのレジェンド・岡本綾子が、読者からの質問に対して自身の経験をもとに答えていく。

TEXT/M.Matsumoto

前回のお話はこちら


女子プロゴルフ界ではこのところ、新しいスターが毎年のように出てくることに驚かされます。中でも今年の竹田麗央選手は飛距離も目を見張るばかり。岡本さんの目にも将来有望でしょうか?(匿名希望・54歳・HC5)


1998年度に生まれた「黄金世代」という呼び名がありますが、まずは2014年のKKT杯バンテリンレディスで勝みなみ選手がアマチュアでツアー最年少優勝(当時の記録)を飾ったのを皮切りに、2016年の日本女子オープンで当時高校3年の畑岡奈紗選手がアマチュア優勝。2019年には20歳だった渋野日向子選手がAIG全英女子オープンに優勝するなど圧倒的なパフォーマンスで話題を独占しました。

いままでとは違う想像を超える快挙があったからこそ黄金世代の呼び名がゴルフファンの間にも深く浸透したのだと思います。

ちなみに、日本女子ゴルフ界はさらに年下の世代の参入が続き、黄金世代の次ははざま世代、プラチナ世代、新世紀世代……と名付けているみたいですね(笑)。

コロナ禍の影響で2シーズン統合となった2020-21年は稲見萌寧選手、2022年から2シーズン連続で女王の座に就いた山下美夢有選手は、ともにプロ入り後すぐに大ブレークした選手。

そして昨年からは岩井姉妹が活躍したかと思ったら、今年になってまた黄金世代の小祝さくら選手、新垣比菜選手、河本結選手、大里桃子選手、臼井麗香選手、天本ハルカ選手が優勝するなど、黄金世代の優勝者はこれまでで15人となったそうです。


優勝経験者がこれほど多い世代はこれまでにないそうですが、時代はもうその次に移っていきそうです。今年は21歳の竹田麗央選手が大爆発。

シーズン前半から優勝を挙げ、春先そして夏に2週連続優勝、そこに日本女子プロ選手権のメジャー初制覇を含むのですからスゴイの一言です。

竹田さんの同世代には川﨑春花選手、櫻井心那選手、尾関彩美悠選手など優勝者5人。合計で18勝を挙げている世代は「ダイヤモンド世代」と呼ばれているそうです。

同世代やプロ同期が互いに刺激し合うことは相乗効果となってきます。

編集部の方に調べてもらったのですが、昨年38試合のうち黄金世代以降の生まれでは延べ25人(リ・ハナを除く)が優勝しているそうです。今年の開幕から日本女子プロ選手権までの26試合では延べ23人(韓国のアマチュア、リ・ヒョソンを除く)が黄金世代以降の生まれで、例外は1994年5月9日生まれの鈴木愛選手のみというのですから、世代交代の流れは勢いを増しています。

少し前まで、女子ゴルフで「アイちゃん」といえば宮里藍さんと答えていたのに、今は鈴木愛選手というように世代は変わります。

ただ、少し気になるのはツアー全体を引っ張っていくような選手の賞味期限が、以前と比べるとかなり短くなっているのではないかという点です。

彗星のように現れるのは良いことですが、瞬く間に消えてしまうのは寂しすぎます。

それはどこに原因があるのか。

これからの選手たちには、先例をお手本にしてよく考えてほしいと思います。

先日、少しだけ竹田さんとお話をする機会があったのですが、おっとりした性格でした。

ブレークして注目されていることで浮足立ってはいないようです。

リズムのいいスウィングから繰り出す飛距離は魅力的だし、ショットの精度や巧みなショートゲームにもさらなる飛躍を予感させてくれます。

個人的には、公式戦のタイトルを制したことで得た3年シード権をどこでどんなふうに行使するかが楽しみです。時間が確保できた強みを使って海外へ挑戦するもよし、スウィングの課題に取り組むもよし。

ちなみに、彼女に私からのアドバイスは「今のうちに英会話のレッスンを受けておくのも、いいかもよ」ということでした(笑)。

「チャレンジし続けることの楽しさをいまの選手たちには感じてほしいですね!」(PHOTO by AYAKO OKAMOTO)

週刊ゴルフダイジェスト2024年10月15日号より

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