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【ゴルフはつづくよどこまでも】Vol.197「クラブの進化と自分の変化」

高松志門の一番弟子として、感性を重んじるゴルフで長く活躍を続ける奥田靖己。今週もゴルフの奥深い世界へと足を踏み入れていく。

PHOTO/Masaaki Nishimoto

前回のお話はこちら

最近のクラブの進化がすごくて、性能がどんどんとよくなっているといいます。

ここのところは、「10K」とかいう慣性モーメントが最大限に大きなドライバーヘッドが開発されて、ミスへの寛容性が高いクラブいうんが各メーカーから出てます。言うたら誰がやってもある程度、真っすぐ飛ぶというくらいのもんですから、それでも曲がる人はどないなんねん、ということです。あるいは、そういうクラブが合わんいう人は、どないしたらええのかということなんですよ。


実は僕が、そうです。まったく合わない。この前の試合で、最新のスプーンを持っていったけど、まったく合わんかったです。

今のクラブは圧倒的にスライスが打ちにくい、特に低いスライスが打てないんです。全部真っすぐ行く。元々ちょっとつかまるような設計にしてあるクラブが圧倒的に多いんや思います。

それこそ「ドローバイアス」なんていうコンセプトのドライバーを買ったら、僕なんか全部左に引っかけますよ。つかまるのが気持ちええというけれど、それはつかまらん人の話で、普段つかまらんからつかまるクラブがいいということが前提にあるわけです。

そもそも、この「普段」を直さなあかんわけです。でもつかまる道具があるんやから、直さんでもそれを買えばええやろということになる。

以前、Sヤードいうクラブがあって、アマチュアゴルファーの7割ほどはスライサーなので、4度のフックフェースのドライバーを作ったんです。4度はかなりかぶったフェースですが、振り遅れの人が打つと、インパクトでちょうど真っすぐに当たるいうコンセプトで、これが爆発的に当たった。

僕なんかは、それでええんかと思うけど、まあ次から次へとそういうコンセプトを持ったクラブが出てきて、ミスがカバーされて回れるんやから、それでええんやいうことです。

でも本当は、ゴルフを楽しみたいんやったら、自分が変わっていくほうが面白いと思います。道具に救われるゴルフが身につくと、新しいんが次出たら、またコレやって、ずっと品評会せなあかんいうことになりまっせ。

「クラブを替えるより、自分が変わっていくほうが面白いです」

奥田靖己

おくだせいき。1960年、大阪生まれ。93年日本オープンなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂び、温故知新を追求する

週刊ゴルフダイジェスト2024年10月15日号より