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最新アイアン試打<後編>「7番でロフト30度以上」はアベレージゴルファーでも打ちこなせる? 徹底検証

最新アイアンの中から、グリーン上でボールを止めやすい「7番のロフトが30度以上」の8モデルをピックアップ。堀越良和プロとHS40m/s前後のアベレージゴルファーが打って性能を確かめた。

PHOTO/Yasuo Masuda THANKS/クレアゴルフフィールド

解説&試打/堀越良和

週刊ゴルフダイジェスト試打企画でおなじみの“キング・オブ・試打”。ドライバーからパターまであらゆるクラブを試打するスペシャリスト。TPIレベル3を習得。巻頭カラーの技術特集に引き続き登場

海外2大ブランドの
ツアー系アイアン

昨年はタイトリストのTシリーズアイアンが話題を集めた。堀越プロは現在、「T100」(7番のロフト34度)を使っているが、今年の注目はテーラーメイド、キャロウェイのニューアイアンだろう。その特徴はどちらもプロや上級者を意識したツアーモデルだということ。4モデルを試打した堀越プロは、

「アイアンの機能は満たしたうえで、ツアーモデルに求められるものは、まず操作性です。ドローやフェードといった球筋のコントロールだけでなく、球の高低を操れるかも重要です。とくにプロは高い球より、低く抑えて打てる球がほしいはずです。そう考えると必然的にヘッドは小ぶりになります。アイアンはあらゆるライから打つため、ヘッドが大きいほど、抵抗が強くなり、どんな球が出るか、わからなくなるからです。

テーラーメイドの『P7CB』はロフト33度ですから球が上がりやすく、落下角、スピン量ともに完璧でした。芯が明確なので球筋もコントロールしやすいです。

キャロウェイの『APEX Tiフュージョン』は、ちょっとびっくりしました。ロフト30.5度ですが、ボールは上がるし、スピンも入って落下角も十分。黒ヘッドはとても構えやすかったです」

今回はスコア90台、1Wのヘッドスピード39のアマチュアも試打。データを見た堀越プロは、

「落下角に関しては45度以上をクリアしていますが、スピン量に違いが出ました。これはヘッドの入射角が原因でしょう。簡単にいえば、ハンドファーストにとらえられていないのです。入射角が整えば、十分に使えると思います」

試打方法
試打データはラプソード「MLM2プロ」で計測。ミスヒットを除く5球の平均をとった

テーラーメイド「P7CB」
7番のロフト:33度

打感がソリッドで芯がよくわかる
「打感はソリッドな感じで芯がよくわかります。ロフト33度なので球はラクに上がりますし、スピン量は6000回転以上、落下角は48度に近いです。弾道データがすごく安定していました。ピンをデッドに狙える、プロ好みのモデルです」

テーラーメイド「P770」
7番のロフト:33度

ミスの許容性が高く機能性も十分
「中空構造なので芯が広めな感じがあり、ミスに対する許容性の高さを感じました。弾道のバラつきも少ないです。P7CBと同様、ヘッドがすっきりしていて非常に構えやすく、落下角、スピン量も十分です。飛距離もしっかり出ています」


キャロウェイ「APEX Tiフュージョン」
7番のロフト:30.5度

締まって見えて構えやすい
「黒いヘッドは引き締まって見えて、とても構えやすいです。中空構造のため、許容性が高く、弾き感もあってボール初速が出ています。落下角、スピン量はともにクリアでヘッドスピード41m/s前後で十分に性能を発揮できそうです」

キャロウェイ「APEX Ai200」
7番のロフト:30度

機能性が高く飛距離性能も高い
「構えたときが特徴的で包み込むような感じがあり、グースっぽさがあります。ボールがつかまりそうです。ロフト30度ですが、球は上がります。もう少しスピン量はほしいところ。アイアンの機能を維持しつつ、飛距離性能が高いです」

打感に定評がある
国産2大メーカー

続いては、打感に定評がある国産メーカー、ブリヂストンとミズノの最新アイアン。ブリヂストンはツアーモデルの「241CB」、「242CB+」の2モデル。一方、ミズノは「JPX925」シリーズから2モデルをセレクトした。

「『241CB』は非常に打感がよかったです。これぞ軟鉄鍛造といった軟らかさがありました。芯がはっきりしているので球の高低や球筋のコントロールもできます。

ミズノはミズノプロがツアー系の位置づけですが、最近はJPXを使用するプロも多いです。今回打った『925フォージド』はミズノらしい打感。重くて軟らかく、フェースに乗る感じが気持ちいいです。JPXは球筋を操るより、オートマチックにボールを運ぶイメージがぴったりハマります」

全モデルを試打した堀越プロに最新アイアンの総評を聞いた。

「個人的にですが、ツアーアイアンはロフト33度以上と考えていました。ですので、30~32度は信じられない部分もありました。ところが、今回の4メーカーはどのモデルも落下角45度以上、スピン量5500回転以上をクリアしています。タングステンやキャビティ構造など、さまざまな工夫により、最適な重心位置を実現しているのでしょう。今回のモデルでいえば、1Wのヘッドスピードが41m/sあれば、十分に扱えます。ただ、すくい打ちやアーリーリリースが強いとロフトが寝てしまい、ボール初速も出ず、スピンもかかりづらくなります。多少でもハンドファーストに打てれば、アイアンの機能を引き出せるはずです」

ブリヂストン「241CB」
7番のロフト:32度

ツアー系らしい打感の良さ
「打感が本当にいいです。構えた感じやヘッドサイズなど、オーソドックスなツアー系という印象です。操作性が高く、ドローやフェードの打ち分けもしやすいです。抜けのよさなのか、上から打ち込めるのでスピンがしっかり入ります」

ブリヂストン「242CB+」
7番のロフト:31度

ヘッドがやや面長で許容性が高い
「241CBと比べるとわかりますが(下写真)、ヘッド長がやや面長です。重心距離が少し長めですが、構えづらさはありません。操作性よりミスをカバーしてくれる許容性が高い印象です。弾き感のある打感で、ボール初速は速いです」

ミズノ「JPX925 フォージド」
7番のロフト:30度

重くて軟らかいミズノらしい打感
「フェースにグッと食い込むような重くて軟らかい、ミズノらしい打感です。非常に気持ちがいいです。ロフト30度ですけど、スピン量、落下角はちゃんとキープできています。ボール初速も速く、飛距離も出せるアイアンです」

ミズノ「JPX925 ホットメタルHL」
7番のロフト:31度

カーボンシャフトとの相性が良い
「ボールがつかまる、上がる印象が強いです。操作性というより、オートマチックに打てる、やさしさを感じました。スピン量も落下角も十分すぎるデータが出ています。許容性が高く、カーボンシャフトとの相性がよさそうです」

週刊ゴルフダイジェスト2024年10月8日号より