【通勤GD】高松志門・奥田靖己の一行レッスンVol.31 「コースにだまされて笑う」ゴルフダイジェストWEB
「インパクトでヘッドが走るから、クラブが仕事してくれる」。今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第三十一話。
【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【ゴルフ芸人 高松志門】
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
【志門流一番弟子 奥田靖己】
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝
初めてのコースの楽しみ方
高松 ちょっときざな言い方するとね、オレはショットでもパッティングでも、コースをちらっと見るだけで狙う場所とかラインを自分なりに把握して、それで打つのが楽しいんよ。
奥田 ゴルフの楽しみの一つですね。
高松 そうやね。グリーンでもパッと見て、ラインとスピードを読んで、それがぴったりで入ってくれたらもちろん嬉しいし、それが全然違うラインとスピードで転がって外れてくれても嬉しい。
奥田 まだあなたは分かっていませんね、とコースに言われているような気になりますね。
高松 そうそう。そこが楽しい。
奥田 僕も初めて回るコースでは、キャディさんに「なんも聞きませんから、絶対コースについて僕に教えんといてください」と頼んでから回ります。
高松 最初に聞いて情報を入れてしもうたら、初めて回るコースの楽しみが減ってしまうからな。
奥田 はい。自分の感覚がどれだけのもんか測れるから、初めてのコースに行ったときはほんまに楽しいです。先生は初めてのコースに行ったときに、ちょっと水草が見えただけでそこに池があることがわかって、キャディさんがビックリしたとか、そういう話をよく聞くんで、ぼくもそういう部分まで見えるようになりたいんです。普通、水草なんて見ませんから。
高松 逆に今の時代はピンポジの紙があったり、ピンが奥か手前かピンフラッグに印が付いていたり、ちょっと親切が過ぎるわ。
奥田 そういうのなしでやった方が楽しめるし、ゴルファーとしての質も高くなるんですけどね。
高松 そうやね。親切すぎると、感覚を磨くとか、視野を広げるということができんようになる。例えばピンポジの紙なしで今のゴルファーに回らせたら、ピンが奥か手前かを図るのに、ピンとかグリーンをジーッとみるやろ。でもそこをいくら見てもなんも見えてこん。グリーン周りのバンカーとか木を見て、どっちが奥にあるかを見極めながら、ピンポジを測るということができんね。
奥田 そういうことはやっぱりコースにだまされることを楽しむ気持ちがないとあかんし、そもそもコースにだまされるということは、そのコースが上手く造られている証でもあるし。
高松 こないだもな、試合の初日でティから見たら、190ヤードから230ヤード地点までずっと池のホールがあった。おれは200ヤードくらいで池を超えると見たわけよ。それでその感覚どおりに打って、それなりにフィニッシュを取ったら、池のど真ん中にはまった。いやぁ、嬉しかったね。
奥田 ゴルフと向き合ってますね。
高松 でもな、そういう気持ちでこっちは回っとるのに、試合でついてくれるキャディは、「越えろ」とか「入れ!」とかいきなり大きい声出すやろ。いつも「あんた何一人で頑張ってるの。ビックリするからやめて」言うて頼むんやけど。
奥田 でも、先生はスウィングとか自分のこと考えてないから、自分の外のものに対しての情報がより正確ですよね。距離とか風とか傾斜とか、そういう感覚がずば抜けてる。
高松 スウィングとか自分のことを考えるということは、その時点でもう自分の中に心配事があるとか、スウィングがあかんとかそういうことやからな。考えてもしゃあないやろ。
奥田 それでも。その情報が探せないときはどうするんですか。
高松 諦めたらええねん。それでかなり楽になるわ。
【通勤GD・今日のことば】情報はないほうがゴルファーとしての質が高まるんよ
月刊GDより