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ジョセフ・ダイ「ボールが打てるだけでは半人前、ルールがわかってやっと一人前だ」

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回はPGAツアー初代コミッショナーでルール・マナーの普及につとめたジョセフ・ダイの含蓄のある言葉を2つご紹介!


ボールが打てるだけでは半人前
ルールがわかってやっと一人前だ

ジョセフ・ダイ


ジョセフ・ダイはペンシルベニア大学卒業後、ジャーナリストの道へ。フィラデルフィア新聞などでスポーツコラムを書き始める。

その見識の高さにUSGA(全米ゴルフ協会)が目をつけ、スタッフとして働くことに。そこで彼は「ゴルフは紳士のスポーツ」として、ルール・マナーの普及につとめ、米国アマゴルフ界の高潔として長くエグゼクティブ・ディレクターの地位にとどまった。表題の言葉はその時のものだ。

その後、PGAツアーの初代コミッショナーに就任したダイは、この言葉通りプロゴルファーにも良識と高潔を求めることになる。

最後はアマの最高の栄誉ともいうべきR&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ)のキャプテンもつとめ、91年に没した。

USGAはこのダイの功績を讃え、「ジョセフ・ダイ賞」を創設。日本からは2013年度に川田太三氏(コース設計家。全米、全英オープンの競技委員も務めた)が受賞し、米国人以外では初の栄誉に服すことになった。


いかなる規則も
そのうしろに精神がなければ
単なる用語上の混乱に陥るだけ
この精神こそゴルフの生命であり
支柱なのだ

ジョセフ・ダイ


USGAの良心と謳われたダイが、英国のルールの権威ジェフリー・カズンズの著書の冒頭にのせた推薦文の一部。

ゴルフルールの精神とは端的にいうと「あるがままのライで打つこと」、「迷ったら自分に不利になる判断をすること」。そこから外れると、用語上の解釈について混乱が生じるというわけ。

1945年全英オープン。アイルランドのプロ、ハリー・ブラッドショーのドライブは口の割れたウイスキーの空き瓶の中に入ったが、彼は3番アイアインでその瓶ごと打った。瓶は割れ30ヤードしか飛ばず、そのホール6を叩き、2位に甘んじることになったが、各新聞は彼を讃え、優勝以上の栄誉を得た。

「動かせる障害物は無罰で取り除くことができる」という新しいルールができたのはその翌年のことで、このことは「ブラッドショー・ボトル」の名で今に残る。 ダイのいう「精神」とは、つまりブラッドショーのような判断とプレーをいうのだろう。

■ ジョセフ・ダイ(1907~1991)

米バージニア州ノーフォーク生まれ。ニューオリンズで育ち、ペンシルベニア大学卒業後、フィラデルフィア新聞や雑誌のスポーツライターに。USGAに誘われ、ニューヨークオフィスに勤める。1934~1968年、エグゼクティブ・ディレクターとなりルール・マナーの普及に努める。その後、PGAツアー初代コミッショナーに(1969~1974)。1975年、R&Aキャプテンに就任。1991年3月3日没。