【ぴったりパターの選び方】<後編>自分に合うヘッドの条件は“真っすぐ構えられる”こと
悩める「パター難民」に贈る、自分に合ったパターの選び方を指南。後編では、ヘッド形状を選ぶ基準について教えてもらった。
TEXT/Kosuke Suzuki PHOTO/Tsukasa Kobayashi、Hiroyuki Okazawa、Shinji Osawa THANKS/FOXY GOLF
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ヘッド選びで大切なのは
「真っすぐ構えられる」こと
パター選びの第一歩はネック選び。しかしヘッド形状もさまざまなタイプがあって悩ましい。ヘッド選びはどうすればいいのだろうか。
「大型で慣性モーメントの大きいヘッドはオートマチックでミスヒットに強く、小ぶりで“薄い”ものはコントロール性が高くシャープという傾向はあります。そのためミスへの寛容性を求める人は大型ヘッドがいいのは確かですが、それ以上に大事にしてほしいのが『真っすぐ構えられること』です。人によって真っすぐ構えやすいパターというのはバラバラで、同じ感覚で構えているのにパターが替わると向きが大きくズレてしまうことは多々あります。自分が狙ったところにフェースを真っすぐ向けられるパターこそが、自分に合った形状と言えると思います」
真っすぐ構えられるかどうかは実際に構えてみないとわからない。そのためスマホや手帳などを使って下のようなテストをしたり、第三者に「真っすぐセットできているか」を見てもらう必要がある。
こういったチェックを繰り返すことで、自分が何に構えやすさを感じているかがわかってくる。パター選びが上手な人は、そういった自分の傾向を把握しているのだ。
「たとえば自分のスタンスの向きを『真っすぐ』の基準にしがちな初心者や、ボール幅の『帯』をイメージして構える人は、ターゲットラインと平行な線がたくさんあるヘッドに安心感を覚える傾向があります。平行に平行を重ねて構える人ですね。ターゲットラインの1本の線をイメージし、そこにヘッドを『平行』にセットしたい人は、ヘッドのセンターに1本の線が入っているものを構えやすく感じると思います。一方、フェース面の意識がクリアで、フェースをターゲットラインと『直角』にセットする感覚がある人は、トップブレードなどの『タテ線』が強調されているヘッドを構えやすく感じる傾向が強いと思います」
なお、パター巧者と呼ばれる人には、これらのような「補助線」があえて入っていないほうが構えやすいという人も多いという。このほかでは、ヘッド後方のボリュームは、ヘッドの入射角と関係があるという。お尻側にボリュームがあり重そうに見えるものほど、お尻の下がったアッパーなインパクトを、お尻側に空間があったり薄い形状のものは前が下がったダウンブローなインパクトをイメージしやすい。
このように自分のストロークの傾向と自分が「構えやすい」と感じるものの相関関係をハッキリさせていくと、真っすぐ構えられるパターに出合える可能性が高まるのだ。
あなたはどれが構えやすい?
“お尻”のボリュームは入射角と関係がある
ヘッド後方に厚みやボリュームがあるヘッドは、ヘッドのお尻側が重いイメージが湧きやすく、アッパー軌道と相性がいい。反対に後方が薄かったり欠けた形状のものはお尻側が軽いイメージが湧きやすく、ダウンブロー軌道と相性がいい。自分のインパクトイメージやボール位置などを考えてみると、「構えやすさ」の一助になり得る
「強調型」をエースにし
「中和型」をサブにする
実際にパターを選ぶ際には、ここからさらにもう一歩踏み込んだ悩みが出てくる。それは自分のクセとパターの機能の相関関係だ。
たとえばアークの弧が強い人が重心角の大きいパターを使うと軌道が極端化し、方向性が損なわれるのではないか。ダウンブローなインパクトをする人が、お尻が軽いデザインのパターを使うと入射角が鋭角になりすぎ、転がりが悪くなるのではないか。そう考えると、動きが極端になりがちなアマチュアはとくに、自分のイメージと逆のパターを使うメリットもありそうな気がする。
渡邊プロは、パターの上達のためにはその考え方は有効だと認める一方で、スコアを出すためのエースパターは、自分のクセと機能が一致するもののほうがいいと話す。
「スタンスと平行な線のあるパターで『真っすぐ』構えやすい人が、フェース面が強調されるモデルを選ぶことで希薄だった『直角』の感覚が養われたり、入射角が鋭角な人がお尻が重いパターを使うことで相殺されて転がりがよくなるということはあります。その意味では、自分にない感覚を取り入れたり極端な部分を中和するために、少し違和感のあるパーツを持ったパターを使うのは有効です。しかし、自分のクセと機能が一致する、いわばクセを強調するタイプのパターのほうが、好調時にハマると結果が出やすいとは言えます。そのためそういう『強調型』はエースパターとして大事にして、ときどき『中和型』にスイッチするという使い分けを、私はおすすめします」
プロを見ても、石川遼といえば「L字マレット」の印象が強いが、先日の「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」では「ツノ型」を使って優勝している。これはスイッチが奏功した好例と言えるだろう。
エースパターは「強調型」が◎
「強調型」と「中和型」では、好調時にハマりやすいのが「強調型」。ここぞという場面で使うエースパターにしたいのはこっちのタイプ。「中和型」はパター上達のためや不調脱出に有効なのでサブとして選ぶならこっちのタイプ
パター選びでは、重さや長さ、フェースの種類も悩ましいところ。渡邊プロは、構え方やストロークタイプ、使用ボールとの関係もあるので一概には言えないと前置きしつつも、タッチの微調整要素として考えるのがいいだろうと話す。同じ感覚で振ったときに、重くて長いものやフェースが硬いものは飛ぶ、軽くて短いものやフェースが軟らかいものは飛ばないという傾向を利用しよう。
「パターは、こういった機能だけでなく、道具として気に入った『使いたいもの』であることも大事です。デザインなども含めて、本当に気に入った一本を見つけてください」
同じように振っても長くて重いものは距離が出やすく、短く軽いものは距離が出にくい傾向はあるので、タッチのアレンジに有効。一方、短いほうが腕が伸び背中を使ってストロークしやすく、長いほうがひじを曲げて腕でストロークしやすいので、動きのイメージ作りに利用することもできる
フェースの硬さもタッチに影響大
傾向としては硬いフェースのほうが飛び、軟らかいフェースのほうが飛ばないが、ボールとの相性を含めた打感の好みも大事
「2ボール」は初速をイメージしやすい
「2ボール」は、インパクト時にボールが3つ連なる姿がボールの残像のように見え、ボール初速をイメージしやすいと渡邊プロ。タッチ重視派におすすめだ
「真っすぐ」イメージの人はアップライトがいい
ライ角は自分の構えに合わせることが大前提だが、「完全真っすぐ派」の人は、適正以上にアップライトにするとヘッドの直線的な動きをイメージしやすい
月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より