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【名手の名言】デズモンド・ミュアヘッド「コースの戦略性はセントアンドリュースにすべて集約される」

GDライブラリ
2024.08.12

レジェンドと呼ばれるゴルフの名手たちは、その言葉にも重みがある。ゴルフに限らず、仕事や人生におけるヒントが詰まった「名手の名言」。今回は、独創的な設計で日本でも多くの名コースを手掛けたデズモンド・ミュアヘッドの言葉をご紹介!

グリーン手前に卍型のバンカーを配した富士クラシックの16番パー4


コースの戦略性は
セントアンドリュースにすべて集約される。
あれを超えるホールデザインは不可能だから
私はもっとデザインの新領域に挑戦したい

デズモンド・ミュアヘッド


ミュアヘッドは実はゴルフコース設計家ではなく都市空間デザイナーで、ゴルフコースデザインはその延長線上にあった。ゴルフコースはセントアンドリュースを不可侵の“理想郷”として、そのうえに価値を付加したコース設計を追究した。ミュアヘッドのデザインは革新的かつ独創的で、伝統的なゴルフコースの概念を超えてアートや自然との融合を図るものが多かった。

「世界の神話、民族芸術、音楽からコース設計のテーマを選ぶ。日本には浮世絵、有田焼陶器などがあるじゃないか」

日本では葛飾北斎の『富嶽三十六景』を具現化した富士クラシック。セゴビアGCはスペインの都市を彷彿とさせ、オークビレッヂではアーサー王伝説、若木GCでは酒田柿右衛門の陶器をテーマとした。

他に新陽CCなど全国に10カ所。いずれも異世界にいるようなホールデザインに度肝を抜かれる。池にギザギザ背びれ魚の島あり、ギターの形が花道であったり、バンカーのなかに卍の丘があったりする。

米国ではカリフォルニア州のミッションヒルズCC、フロリダ州のスタンフォードCCなどがある。いずれのコースも独特の美しさと挑戦的なレイアウトで高く評価されている。 ミュアヘッドは、ゴルフコース設計における革新者としての地位を確立し、その作品は今なお多くのゴルファーやデザイナーに愛されている。

ミュアヘッドの手練手管の芸術の世界で球を追って、非日常を過ごすのも悪くない。

■デズモンド・ミュアヘッド(1924~2002)

英国生まれ。ケンブリッジ大で建築工学、カナダ、米国の大学では造園学を学ぶ。アリゾナで都市プランナーとして住宅開発、その延長としてゴルフコース設計を手がける。ジャック・ニクラスとのミュアフィールドヴィレッジGCの共同設計を皮切りに、10年沈黙の後アバディーンGC設計で一躍、世界の耳目を集める。米国・アジアに約100コースを設計した。日本の伝統芸術に魅かれ、それをテーマにして10コース設計。78歳で没。