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2024日本女子アマ覇者・鳥居さくらさん<後編>1Wの大スランプにも「意味があった」 不調が生んだ副産物とは?

“女子アマ日本一”の称号を勝ち取った高校3年生の鳥居さくらさん。後編では、星野英正プロからのアドバイスや、17歳とは思えない卓越した思考法に迫っていく。

TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Hiroaki Arihara、Tadashi Anezaki THANKS/六甲国際GC

鳥居さくらさん とりい・さくら。2007年兵庫県生まれ。滝川第二高等学校3年。21年関西中学校ゴルフ選手権優勝。23年関西女子アマ2位、日本ジュニア3位。163センチ。ベストスコア64

>>前編はこちら

自分をコントロールする
すべを知っている

ドライバーのスランプを脱出できた鳥居さくらさん。星野英正プロの教えはどういうものだったのか?

「スウィングはとくに直されることはなくて、ドライバーのロフト調整をアドバイスされました。スランプのときに球が吹き上がっていたからロフトを1度立てて使っていたんですけど、それが良くなかったみたいで9.5度に戻しました。それとアドレスの入り方を直されて、そうしたら違和感がなくなって真っすぐ飛ぶようになったんです」

ロフトを立てたことでフェース面が見えにくくなり、アドレスでフェースの合わせ方が不自然なことを星野プロが見抜いたという。


「星野プロのアドバイスでドライバーとパターに不安がなくなりました」

ロングパットが寄らなくて悩んでいたら星野がパターをチェック。少し向きがゆがんでいるからと新しいパターを手配して、替えたら調子が良くなった

深いスランプも決して悪いことばかりではなかった。実はドライバーが曲がっていたことが思わぬ副産物を生んだ。

「ティーショットが毎回ラフや林に行ってスコアにならないから、林からアイアンで球を曲げて打つ練習をたくさんしたんです。木の左からスライスをかけようと思ってその通り打てると嬉しいし、球を曲げてスコアを作ることが楽しくなりました」

ドライバーが怖くて振れなくなるつらさはゴルフをやめてもおかしくないほどだろうに、アイアンの曲げ球を打つことを楽しんで乗り越えた“ポジティブマインド”も強みのようだ。

「いまはティーショットが林に行くことは少なくなったけど、フェアウェイからでもピンポジションとか風とかによってドローとフェードを打ち分けて攻めています。あのスランプにも意味があったんだなと感じています」

ピンをダイレクトに狙っていきたい

グリーンを狙うショットは手前から転がして寄せるよりもピンの根元にダイレクトに打ちたい。パー5なら飛距離のアドバンテージを生かして2オン狙いでいくことが多い

すでにゴルファーとして成熟しているような考えの17歳は、オンとオフの切り替えも上手だ。

「ゴルフ場を出たらゴルフの話は一切しないようにしています。帰ってからもその日のミスのことを考えたりすると脳が疲れちゃって次の日のプレーに影響が出るんです。だからスイッチをオフにする時間が必要なんです」

ドローを打つとき

インサイドアウトに振ってフェースを返す

持ち球がドローのため軌道もフェースターンも少し意識するくらいでいい。林から大きく曲げるときはもっとインサイドアウトに振ってフェースも返す

ボール位置は真ん中でややクローズスタンス

ボール位置はスタンスの真ん中で、少しクローズスタンスにしてインサイドアウトに振りやすくしている

フェードを打つとき

アウトサイドインに振ってフェースを返さない

持ち球と反対のフェードは少しおおげさにスウィングを変えていく。とくにフェースが返らないように振らないと引っかけてしまうので注意が必要

ボール位置は左足寄りでオープンスタンス

ドローのボール位置より1個半くらい左足寄りにズラしてセット。左足を開いてオープンに立ち、しっかり左に振り抜いていく

鳥居さくらさんの14本セッティング

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より