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完全マスター! 地面反力<後編>踏み込む直前は力を“抜く” 正しい踏み方を覚えよう

難しいと思われがちな「地面反力」の正しい使い方を分かりやすく解説! 後編では、左足を踏み込む際に意識すべきポイントを教わるとともに、実際に取り入れて飛距離がアップしたという青木瀬令奈プロに話を聞いた

TEXT/Daisei Sugawara PHOTO/Hiroaki Arihara、Shinji Osawa、Blue Sky Photos THANKS/FOXY GOLF、六甲国際GC、越谷ゴルフリンクス プライベートスタジオ

解説/泉岡翔

横田真一などツアープロのキャディの経験を積みティーチングプロとなる。麻布十番にある「FOXY GOLF」代表

>>前編はこちら

踏み込む直前は力を抜く

支点を真上に引っ張って振り子を加速させるのが縦の地面反力。ゴルフのスウィングの場合は、それに回転を加えるとさらにヘッドを加速させられる。そのために重要なのが、切り返しで圧力をかける(左足を踏む)方向。単に真下ではなく、ややつま先方向にかけることで、左ひざを伸ばすときの地面反力を左腰が回転する力に変換できる。

「踏み込む直前は、左足の指が地面から少し浮くくらい、足裏の力を抜くことが大事です。足裏をずっと踏ん張っていると、それ以上踏み込むのが難しくなります。切り返しの瞬間に、左足小指の付け根を踏み込むイメージを持つと、うまくつま先側に圧力をかけられます」と泉岡コーチ。左足を踏み込んでも重心(頭)は左にずらさないのがコツだ。


Point 1
トップで左足裏の力を抜く

左足で地面をギュッとつかむような感じで、ずっと左足裏に力を入れていると、そこからさらに踏み込むのは難しい。トップで一旦、左足裏から圧力が抜けることで、次の瞬間に鋭く踏み込める

Point 2
右ひざを左ひざに寄せる

左足を踏み込む際に、右ひざが前に出た状態になると、せっかくの反力が伸び上がりや前傾角の喪失につながってしまう。右ひざを左ひざに静かに寄せるように動かすと、反力を最大限に利用できる

Point 3
左足内側の筋肉に力を入れる

アマチュアは、左に踏み込もうとするときに重心も一緒に左に動いてしまいやすい(上体の突っ込み)。踏み込む際に、左足の内側の筋肉(内転筋)に力を入れることで、軸をずらさずに踏み込み、反力を受けることができる

伸び上がりを防ぐには?

①腹筋に力を入れておく

アドレスの安定にも腹筋は重要だが、地面からの力を受け止めてスウィングスピードに変換するのにも重要。スウィング中に腹圧が弱まると、地面からの力に体が「起こされて」しまう

②ダウンで右肩をボールへ向ける

上体の前傾角を保った状態で、肩を縦に回転させることで、地面反力をヘッド速度に変換しやすくなる。トップから右肩をボールに近づけて回すと、上体の起き上がりを防げる

ここもPoint!
左ひざを伸ばして左腰を引く

左足を踏むのは地面からの反力をもらうため。反力を得るには、踏んですぐ左ひざを伸ばしながら、左腰を後ろに引く。すると、踏んだ力が腰の回転→ヘッドスピードに効率よく変換される

「私も“反力アップ”に
取り組んでます!」(青木瀬令奈)

青木瀬令奈

あおきせれな。1992年生まれ。15年より連続シードを保持し、昨年はキャリアハイとなる2勝を挙げた。現在、メルセデスランク17位

青木はツアーの中では決して飛ぶほうではないが、オフから“反力を高めた”ことで飛距離が伸びたという。

「スウィングは変えずに、反力をより使えるように自分に合ったトレーニングを行っているだけなんです。振っている感覚は一緒なのに踏む出力がアップしたことで、飛距離と安定感、両方アップしました。反力を生かそうすると、“踏み込む”だけのイメージが強いと思いますが、それだけではダメなんです。踏んだ後の“ブレーキ力”を鍛えないとダウンスウィングで体が流れて反力を受け取り切れません。その両方を鍛えられるのがボックスジャンプ。一度、地面に落ちることで、力を吸収して耐える力が身に付けられます。落ちるほうが結構大変だったりするんです(笑)」

なぜ反力を鍛え始めた?
「データを取ったら縦方向の力が強いタイプと知ったからです」

自分はもともと回転系のタイプだと思っていたという青木。「データを取ったところ、縦の力が強く、踏んで振るタイプだとわかったんです。長所を伸ばす作戦です!」(青木)

ボックスジャンプで踏み込みとブレーキ力を上げる

30センチのボックスからジャンプして下りて、そこから45センチのボックスに向かって高くジャンプして飛び乗るトレーニング。1回地面に落ちることで力を吸収して耐える力が鍛えられ、上がるときに瞬発的な踏み込みができるようになる

ここが変わった①
左足が我慢できるようになった

踏み込みとブレーキ力を高めたことで、左足にしっかり重心を乗せたまま振り切ることができるようになった。ブレーキ力が弱いと踏む込みができても力が流れて十分な反力を得られない

ここが変わった②
以前よりクラブが振れるようになった

「自分では振れている感覚は微々たるものですが、周りの方からはよく振れるようになったと言われるようになりました。結果的に数値も上がってきているので、スウィングは変えなくても勝手に出力が上がりました」

青木瀬令奈の1Wスウィング

月刊ゴルフダイジェスト2024年9月号より