なぜ、プロゴルファーのスポンサーに?<女子プロ編>
トーナメント開催から個人のサポートまで、プロゴルフの世界は多くのスポンサーがあってこそ成り立っている。選手たちは援助を受ける代わりに、企業のロゴなどをキャディバッグやキャップ、ウェアに付けて戦っているが、企業はなぜその選手のサポートを決めたのか。探ってみた。
PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Tsukasa Kobayashi
- トーナメント開催から個人のサポートまで、プロゴルフの世界は多くのスポンサーがあってこそ成り立っている。選手たちは援助を受ける代わりに、企業のロゴなどをキャディバッグやキャップ、ウェアに付けて戦っているが、企業はなぜその選手のサポートを決めたのか。探ってみた。 PHOTO/Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、Tsukasa Kobayashi ……
藤田さいき
「金銭的な契約じゃなくてお魚契約枠です!(笑)」
趣味の釣りが縁となった2つのスポンサー
所属先のJBS、日本シャフト、NEXUS、オノフ、パスタとピザの店base、ライフネット生命、おにやんま君などは金銭契約。キャディバッグの下にある深川水産、UMITOMA、ゴルフスタジオ「Boum」はモノの契約だと藤田。栃木県鹿沼市にある「Boum」は藤田の実兄が経営するインドアスタジオで、「ボール打ち放題契約です」(藤田)
福井のプライベートヴィラ
「Umitoma Ocean View Resort Echizen」
越前海岸の目の前に22年に誕生。一棟貸し切り型で全室オーシャンビュー。徒歩数十秒のところに海岸が広がり、釣りも楽しめる絶好のロケーション。社長の髙木秀樹さんの家族が藤田のファンで、昨年福井で行われた日本女子オープン終了後に藤田がヴィラに宿泊して海釣りなどを楽しみ、「また宿泊させてくれたら」と、藤田自らワッペンを作ってスポンサーに。海を望むサウナ付きプライベートヴィラと、天然ジャグジー付きのキャンプホテルの2タイプから選択可能。
魚の養殖や加工品を製造
「深川水産」
熊本県天草市で魚の養殖や鮮魚の卸業を営み、真鯛100万匹、シマアジ36万匹、ブリ4万匹の養殖をメインに加工品の製造も行う。常務の深川大史氏がかつて藤田が練習していたコースのメンバーで、練習に来ていた藤田に「天草の美味しい魚を食べさせたい」と支配人が頼んだことから交流が生まれた。それ以来、プロ仲間たちと天草に来ては一緒に釣りを楽しんだり、お歳暮などで深川水産の商品を送ったりしている。
石井理緒
「試合中も食べてリラックス」
米どころ新潟を代表する創業77年の老舗米菓メーカー
「岩塚製菓」
「私が新潟出身なので、新潟の企業に応援していただくことが多いんです。岩塚製菓さんのお菓子は、昔から食べていて、スポンサーに付いてほしいなって思っていたんです。そしたら知り合いの方がつなげてくださって、スポンサーを引き受けていただけるようになりました。試合中も宿泊しているホテルによくお菓子を送ってくださるので、それを食べながら試合に挑んでいます」。岩塚製菓は初来社の際、石井が同社の「新潟ぬれせんべい」が好きで食べているという話を聞いて縁を感じて契約。以降、全社を挙げて応援しているという。
竹内美雪
テレビ番組の密着取材中に制作会社がまさかスポンサーに
広告や番組の制作会社
「K’s PROJECT」
「K’sプロジェクト」は広告やテレビ番組などの制作を手掛ける会社で、15年1月から翌3月まで東京MXテレビで放送された、プロの世界で奮闘する19歳の5人の少女たちの1年間を追いかけたドキュメント番組「戦闘未来少女19→20」を手掛けた。竹内のほかにキックボクサー、テニスプレーヤー、サーファー、アーティストが出演。取材を始めて半年ほどでプロアスリートの過酷な現実に直面し、社長の小辻富明さんが「それならば我々がサポートしよう」とスポンサーを名乗り出た。竹内以外にもテニスプレーヤーとサーファーのスポンサーも買って出たが、竹内以外はすでに引退を選択している。「番組制作中に、制作会社がスポンサーになるのは聞いたことがありません(笑)」と小辻社長は話すが、それ以来、竹内とは家族同然の関係を築いてきた。「彼女が現役を引退するまで応援は続けていくつもりです」(小辻社長)
小林夢果
出身地のさいたま市に本社を置く世界的レンズメーカー
1950年創業の光学機器メーカー
「タムロン」
1950年に浦和市で「泰成光学機器製作所」として創業すると、57年には世界初の一眼レフカメラ用マウント交換方式”T”マウントを開発。以降もいくつもの「世界初」を作り出してきた技術を武器としたモノづくりの会社で、写真用の交換レンズをはじめ、監視カメラ用レンズ、FAマシンビジョン用レンズ、車載用レンズ、医療用レンズなど産業用レンズを製造。ゴルフカメラマンの中にも、軽量でコンパクトながら品質が良いと愛用者が多い。同社は小林の生まれ育った場所に本社を置くことから「遠征費等金銭的な面でとても苦労されていると伺っていたので、若く、才能を持った選手を少しでもバックアップさせていただき、埼玉から国内外のゴルフ界へ羽ばたいていただきたい」と契約を締結。同社のレンズを借りて、プライベートで小林は使用しているという。
新海美優
幼少期から通う地元の病院
地元・大分市で地域密着
「神矢内科胃腸クリニック」
かつて病院の目の前に新海の実家があり、新海の父親とゴルフ練習場で顔見知りだったという院長の神矢丈児さん。「子どもの頃からお腹が弱くて……。ずっと通っていました」(新海)と、医師として新海の体をサポートしてきた。その後、プロになった新海を医療以外でもサポートするために、3年ほど前からスポンサーに。新海は今年2月に結婚して拠点を関東に移したため、体のケアをすることは少なくなったが、「これからも美優ちゃんのスポンサーとして支えていきたいと思っています」(神矢院長)
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週刊ゴルフダイジェスト2024年7月30日号より