【傾斜地アイアン】夏ゴルフ、つま先上がりの斜面ラフに止まった…。さあ、どう打つ?(前編)
スライサーがつい打ち込んでしまう右ノリ面。冬ならフェアウェイにボールが落ちてくる”お助け斜面“も、夏はつま先上がりのラフから2打目という「鬼の斜面」に豹変する。この状況、うまくリカバリーできるか、ミスを重ねてダボトリコースに進むのか運命の分かれ道。そんなピンチを市原建彦プロが救います。
打つ前に、傾斜とライを「素振り」で確認
── 打ち込んではいけないとわかっていても、左サイドが危険だとどうしても右のノリ面に逃げてしまいます。
市原 右のノリ面で、まず確認することは何だと思います?
── グリーンまでの距離は?
市原 それよりも大切なのは、傾斜とライの確認です。つま先上がりの傾斜は「軽く振ればOK」ぐらいのつもりで振るとバランスを崩して必ずといっていいほどミスします。まずは、どのくらいの強さでスウィングできる傾斜なのかを確認するんです。もちろん、ライの状況を見て、何番ならヘッドが抜けるかも素振りでチェックします。
どれくらい振れる傾斜か素振りしてみる
市原 どの番手までヘッドが抜けるか、ボールのライを素振りで確かめます。また、傾斜がきつくなるほど、フルスウィングできなくなるので、どのくらいの振りの大きさならバランスを崩さずに振れるかを素振りで確認しておきます。
── そのうえで番手を決めるんですね。
市原 たとえば、8割のスウィングしかできない傾斜だなと素振りで感じたら、7Iのところを6Iというように1番手上げる。こうやって、グリーンまでの距離と相談しながら、傾斜に応じて番手を決めるわけです。
芝の長さは? 沈み具合は?
市原 ラフの長さやボールの沈み具合も重要な要素。夏ラフに深くボールが沈んでいて、素振りでラフの抵抗が大きいと感じたら、残り距離にかかわらず、ショートアイアン以下を選択したほうが確実に脱出できます。
ノリ面は上にいくほど傾斜がきつくなる
【頂上近く…斜度30度】2番手上げる
30度のつま先上がりでは、5~6割程度でしかバランスよく振れない。そのため、2番手は上げる。
【中度あたり…斜度20度】1番手上げる
20度のつま先上がりは、フルショットの7~8割程度で振れる。1番手大きいクラブを持つのが基本。
【裾野あたり…斜度10度】番手はそのままでOK
10度のつま先上がりなら、ほぼフルショットに近い振りが可能。番手は変えなくてもOK。
傾斜10度&20度
── 傾斜とライを素振りで確認して、使うクラブが決まったとして、どうやって打つかです。
市原 ポイントは3つあって、どれも傾斜に対応したものです。まず、足元よりもボールが高いわけですから、クラブを短く持つことが大切です。
── 短いほうが振りやすいですよね。
市原 次に、傾斜がきつくなるほど、重力にクラブが引っ張られてボールよりも下を振りやすくなります。つまりダフりやすくなるんです。そのため、いつもよりボール2個右に置きます。
── なるほど。
市原 3つめは、大振りしないでコンパクトに振ること。素振りで行ったリハーサルどおりの強さでスウィングするんです。
── 打つときには、つい力を入れてしまいそう。
市原 それをやると、ほぼミスショット確実ですよ。
── 肝に銘じておきます。
【ケース1…斜度10度】ライはOK、ピンまで180ヤード
市原 傾斜が10度くらいなら、ライがよければどの番手も使えます。ただし、フェアウェイウッドよりもシャフトが短いユーティリティのほうが振りやすく、方向性も出しやすいはず。ライナー弾道でグリーンを狙います。
【ケース2…斜度20度】ライはOK、ピンまで140ヤード
市原 傾斜が20度になると、7~8割のスウィングしかできないので、1番手上げます。傾斜の影響で左に飛びやすくなるため、持ち球がフック系の人はとくに引っかけに注意して、狙いをやや右にとります。
つま先上がりで忘れがちな3つのポイント
【ポイント①】クラブを短く持つ
市原 ボール位置が高いため、当然、クラブを短く持つほうが振りやすくなります。傾斜がきつくなるほど「クラブは短く」が鉄則。シャフトギリギリまでOKです。
【ポイント②】ボール2個右に置く
市原 つま先上がりは、ボールの下をクラブが通りやすく、ダフりやすくなります。そのため、いつもよりボール2個ぶん右にセットして、ダフリを防止します。
【ポイント③】コンパクトにスウィング
市原 トップもフィニッシュもコンパクトにします。バランスを崩さないスウィングの大きさを素振りで確認して、その素振りどおりのスウィングで打ちます。
週刊GD7月16日号より
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