【江連忠のPROJECT E】Vol.249 尾崎将司「誰も真似できなかったアッパー打法」
片山晋呉や上田桃子など、数多くのトッププロを世に送り出してきた江連忠が、自身の経験をもとに、レジェンドのスウィングに宿った“本質”を語る!
TEXT/Yumiko Shigetomi PHOTO/Blue Sky Photos、GD写真部 THANKS/オーシャンリンクス宮古島
●今月のレジェンド●
尾崎 将司
1947年徳島生まれ。通算勝利数113、賞金王12回は日本歴代最多。甲子園の優勝球児からプロ野球入りし、21歳でゴルフに転向。23歳でプロテストに合格してからは歴史を刻む活躍を見せた
インパクトで浮くけど
曲がらない特殊技術
ジャンボさんはプロ野球選手からの転身だったためまずは強い体という土台があり、球を遠くに飛ばす才能や指先の繊細な感覚もあり、圧倒的な飛距離だけじゃなく小技の技術も群を抜いていました。
あだ名の「ジャンボ」はドライバーの弾道がまるでジャンボジェット機が飛んでいくようだということで名付けられましたが、ハイドローで280ヤード先の5ヤードを打ち分ける技術は世界でも高く評価されていました。
当時のクラブで飛距離を出すためにはどうすればいいかを追求し、ロフト6~7度のドライバーで高いティーアップで下から振り上げるという豪快なスウィングになったわけですが、これはみんなが真似したけど結局誰も真似できないような技術だったと思います。
とくにインパクトで浮きながら打つのにフェースをスクエアに保ってボールを長く押し込めていたのは、ジャンボさんにしかできない特殊技能。
だからこそ飛んで曲がらないショットが可能だったのです。
参考にするというよりも見て堪能するスウィングです。
クラブや練習法を自ら開発してきた
SWとPWの間を埋めるPSを開発してそれがスタンダードになったり、J’sブランドはニクラスやフロイドも使う人気クラブだった。「ハゴミントン」などのゴルフ以外のいろいろな道具を使う練習法もジャンボが先駆けで、江連も真似した
ジャンボ尾崎の系譜を継ぐのはこの選手
ブライソン・デシャンボー
ハイティーで高打ち出しを実現
ジャンボと同じで柔軟な物理的思考を持ち、打ち出し角を高くして飛ばすために誰よりも高いティーアップで打っている。アイアンの長さを揃えたり、人がやらないことを思い付く能力も共通
江連忠
1968年生まれ。東京都出身。高校を卒業して渡米し、ミニツアーを転戦しながらジム・マクリーンに師事したのち帰国。日本のプロコーチ第一人者となり、片山晋呉や上田桃子を賞金王に育て上げた
月刊ゴルフダイジェスト2024年7月号より